
渋イケ医師から「まだまだ若い」と12回も言われた千明。久々に肯定されたことで、最近静かになっていた”怒り”が再熱!やる気がみなぎりはじめた。
少しずつセカンドライフが動き出してゆく千明や和平。
心地よい会話に癒される。ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』第2話。あらすじと感想レビューをまとめてみました!
『続・続・最後から二番目の恋』第2話あらすじ&感想レビュー
第2話あらすじ
鎌倉市観光協会に新たなスタッフとしてやってきた早田律子(石田ひかり)に挨拶する長倉和平(中井貴一)。彼の名前を聞いた律子は、亡き父の残したタイトルが「未亡人」の成人雑誌やDVDの箱に書いてあった「くらちゃん」という文字が頭をよぎる。
一方、胸の動悸を感じて病院に来ていた吉野千明(小泉今日子)は、目の前に現れた医師・成瀬千次(三浦友和)の爽やかさに心惹かれ、成瀬も千明の顔を見て、亡き妻とそっくりな千明に驚いていた。
和平と律子は観光地を見て回る。律子は緊張しながらも「今日が私の第二の人生のスタート」という言葉を聞いて、和平は自身の定年後の再任用のことを思い出し、律子をそっと応援する。
その頃、病院を後にした千明は、その後の蕎麦屋でもたまたま成瀬と相席になる。そこで成瀬の人柄を知り、心を捕まれる千明であった。
そして和平は、今は課長となった田所勉(松尾諭)の相談飲みに付き合わされ、千明は友人の荒木啓子(森口博子)と水野祥子(渡辺真起子)と成瀬の話で女子を謳歌するのだった。
そんな中、長倉万里子(内田有紀)は、「月9企画募集」というチラシを見つめている。
水谷典子(飯島直子)はベランダで一人煙草を吸い物思いにふけ、長倉真平(坂口憲二)は家族との幸せな時間を過ごし、それぞれが様々な想いを抱える長倉家の面々であった。
そしていつも通り古民家カフェ・ナガクラでの朝。いつも通り、千明と和平は顔を合わせるが…。
引用元:Tver
第2話感想レビュー
生きる原動力はそれぞれ違う
十人十色。人はひとりひとり感じ方も考え方も違う。
生きていくための原動力。これもまた人によって全然違う。『続・続・最後から二番目の恋』では、そこが華麗に描かれていて素晴らしかった。
まず吉野千明(小泉今日子)。
昔は怒りが原動力となっていた千明。だけどここ数年、年を重ねたからか心がいくぶん穏やかになっていたもよう。
イケ渋医師・成瀬千次(三浦友和)に「まだまだ若い」と12回も言われたことで、肯定された気分になった千明は、自分もまだまだやれるという気持ちになっていく。さらに、それにともなって眠っていた怒り再熱。
長倉和平(中井貴一)からもらった日めくりカレンダーも、あんなにうんざりしながら破っていたのに、やる気がみなぎってからはなんだか楽しそうに破る。
朝ごはんの席もルンルンで登場する。落ち着いた千明もいいけど、やっぱり恋にときめく少女のようなキュートさ。仕事やってるで~!というパワフルさ。これらがあってこその吉野千明!
一方、長倉和平はというと、困っている人を助けることが原動力になっている。
1話で、コロナにかかった千明を一晩中看病していたのも、もしかしたら”助けたい”という想いが原動力だったのかもしれない。
2話でも冒頭、仕事初日で緊張気味の早田律子(石田ひかり)に声をかけていた。不安そうな律子を放っておけなかったんでしょうね。和平らしい。
元部下・現上司の田所勉(松尾諭)に「相談にのってほしい」と頼まれるとなんだかんだ聞いてあげちゃうところも和平らしい。
困っている人のために何が出来るか。それを考えているとき、和平は突き動かされるんだろう。
早田律子なんかは原動力がわかりやすい。
きっと誰かに認められること。それが頑張る気になるんだろう。
仕事初日。緊張していた律子に声をかけてきた和平。そんな和平に律子は「優しくしないで。厳しくして」と言うのだけど、これはたぶん、”ちゃんと認めて欲しい”という想いからだったんじゃないかな。と。
だから、律子の仕事ぶりを見た和平が”グッドサイン”を送ってくれたとき、律子はあんなに嬉しそうにしたんじゃないかな。と。
ああ認められた!嬉しい!という心の声が聞こえてきそうだった。
少女のように和平のもとへかけて行ったり、「私も未亡人です」と自己申告したあたり、たぶんですけど和平のこと好きなっちゃったっぽいですよね?わかりやすい律子があまりにもかわいくて。見ているこっちが自然とにやけてしまう。
あと個人的にとっても共感したのが典子(飯島直子)。
きっと典子は、自分にかまってくれる、ちやほやしてくれる人がいると頑張るタイプだと思う。
旦那も息子もかまってくれないし、周りの男もアラ還の典子をチヤホヤしてくれない。だからいつも満たされない。たぶん、雑誌の熟女グラビアのスカウトをされたことは、正直どうでもいいんだと思う。久々にチヤホヤしてくれる人に出会って嬉しかったんじゃないかな。と。
もし典子が雑誌のグラビアをやったとしたら、撮影してくれるカメラマンの「いいよ~綺麗だよ~」って言葉に一瞬満足するだろう。でも、雑誌に載ったからって典子がチヤホヤされることはなくて、結局「なんかやっぱり飽きた」と言って、再びグータラする未来が目に見えるんですけど、そこんところいかがでしょうか?
典子はおとなしく近所のスナックで働いたほうがいいよ!身近にチヤホヤしてくれる男が1人でもいれば、たぶんそれで十分満たされると思うから。
それと真平(坂口憲二)の原動力にはちょっとうるっときてしまった。
真平は毎日「幸せだなぁ」と言うらしい。だけどこれが”不安にならないよう”言ってるんじゃないか?と、真平の妻・知美は和平に相談する。
生きるか死ぬかの病気を抱えていたら、それは不安がつきまとう。だからこそあえて「幸せだなぁ」と自ら口に出す。そうすることで不安を和らげてるんじゃないか。と。
真平の本心はわからない。だけどもしそれが本当だとしたらと思うと、なんだか胸がきゅっと締め付けられる。
自分で自分を鼓舞することで動く。それも立派な原動力だ。
『続・続・最後から二番目の恋』の2話は、それぞれの原動力が丁寧に描かれている。見ていたらつい、自分の原動力ってなんだろう?と考えてしまった。
興味を持って話を聞いてくれる。それってめちゃくちゃ大事よね
このドラマを観ていると、つい人と会話をしたくなってくる。そんな魔力を秘めていると思う。
それはきっと、千明をはじめ登場人物たちの会話があまりも心地よいからなんだと思う。
なぜ心地よいのか?たぶん”相手に関心をもつ”という大切なことを自然とやっているからなんじゃないだろうか。
こんなシーンがあった。
千明は、月9ドラマの企画を考えたい!と同じ部署にいる同僚たちの前で宣言。同僚たちの人生の物語を聞いて、ぜひ参考にさせてほしいとお願いする千明。
手始めに千明は、いつも気だるそうというか合理主義っぽい発言をしている若手の男性社員を指名する。
「面白いかわかんないですけど…」と口ごもる男性社員に、千明はすかさず「つまんなくていいんだよ!つまんないことが面白いんだよ。愛おしんだよ!」と後押しする。
男性社員はしぶしぶ自分の人生を同僚たちの前で語りだす。それをみんな興味深そうに聞いている。自然と男性社員の声のトーンが上がってなんだか楽しそう。聞いているみんなも楽しそう。
興味を持って話を聞く。真剣に聞いてくれる人がいる。それってすごい大切なことなんじゃないだろうか。ちゃんと聞いてくれているって思えると、安心して素直な気持ちでどんどん喋れる。素直な気持ちで喋ってくれると聞いてる方も相乗効果で楽しくなっちゃう。
楽しい会話の基本には、安心して話せるがあるんじゃないかな。
そういえば2話冒頭の千明と医師・成瀬の会話で、成瀬が、自身が患者として病院へ行ったとき、自分の辛さを真剣に聞いてくれた医者のおかげで救われたという話をしていた。
相手の話を聞く。当たり前なことなんだけど、最近その当たり前ができない人が増えているように思う。それはもちろん自分も含めて。その最たるがスマホ。平気でスマホを見ながら話す人いるけど、ああいうの本当に嫌だ。このドラマにはもちろんそんな人出てこない。
千明と和平の会話が毎回心地いいのも、きっと2人の会話を見ていると、お互い相手の話に興味を持って聞いていることがヒシヒシ伝わってくるからだと思う。
ドラマ後半の2人の会話を注意深く観察してみる。
すると、千明がかかりつけ医を見つけたことがきっかけで人生動き出したという話をしたとき、和平は何気なく「かかりつけ医?」と千明に聞く。
和平はその後も、千明が話している様子を何度も伺ったり。かかりつけ医からの肯定によってやる気が湧いて眠っていた怒りが呼び覚まされ、肯定と怒りのハーモニーで人生が再び華やいだと話す千明に、「表裏一体」という合いの手を入れたり。
相手の話を素直に聞いているというのが、会話のふしぶしから伝わってくる。
もちろん逆もしかり。和平が困りごとを抱えているという話を聞いた千明は、「何に困ってるんですか?」と質問する。
和平が、頑張らなくても勝手に観光客が来るからと、日本文化遺産のアピールを怠る鎌倉市の現状を話せば、「基本モテる前提なんですね。人気者前提の鎌倉」と茶化す。
茶化しても平気という安心感があるから言えること。2人の弾む会話を聞いていると、ついついつこちらも笑ってしまう。
ああこんな関係の相手がいたらどんなに幸せなんだろう。普通に楽しく会話できる人と出会うって奇跡みたいなもんだなと毎回しみじみ感じてしまう。
『続・続・最後から2番目の恋』を見ていると、会話を楽しむ基本的なことを改めて思い知らされる。