
原作 | 水谷緑 コミックエッセイ『まどか26歳、研修医やってます!』 |
脚本 | 前川洋一、船橋勧、松井香奈、村野玲子、原野吉弘 |
演出 | 井村太一、山本剛義、大内舞子 |
キャスト | 芳根京子、鈴木伸之、高橋ひかる、大西流星、佐藤隆太、木村多江、奥田瑛二 ほか |
あらすじ | 医師1年目のイマドキ研修医・若月まどか(芳根京子)。 昔から勉強ができたため、周囲におだてられ医学部に入学。 研修医の第一歩を踏み出したものの、令和の働き方改革で変わりゆく医療現場のまさかの逆境に戸惑いを隠せない。 研修医の2年間は、医師として女子としての人生の2大選択が一気に訪れる大切で大変な時期であるが、「なんとかなるっしょ!」が口癖ののん気なまどかは、同期の研修医たちと日々過ごす中で自分の仲間が将来のビジョンや考えをしっかり持っていることに驚きを隠せずあたふたしてしまう。 悩みが尽きない限られた2年間という歳月の中で、イマドキ研修医のまどかは、数々の試練と立ち向かいどう成長していくのか。 引用元:『まどか26歳、研修医やってます!』公式HP |
放送局 | TBS系列 |
放送時間 | 火曜日 22:00~ |
ポイント①
今作で主演を務めるのは芳根京子さん。
芳根さんがTBSで主演を務めるのは、2015年7月期に放送された、自身初の主演作品『表参道高校合唱部!』以来およそ10年ぶり。
キー局ゴールデン帯連ドラの主演を務めるのは、2023年4月期放送の日テレ制作ドラマ『それってパクリじゃないですか?』以来およそ2年ぶり。
ポイント②
今作で脚本を務めるのは前川洋一さん。
前川さんはWOWOW制作ドラマの脚本を多数手がけています。
中でも『アキラとあきら』や『正体』など、原作のある脚本を多数執筆。
今作『まどか26歳、研修医やってます!』もまた、2015年にKADOKAWA発売された同名のコミックエッセイ作品が原作です。
この記事では『まどか26歳、研修医やってます!』の各話あらすじ紹介と、感想レビューをしていきます!
もくじ
まどか26歳、研修医やってます! 1話あらすじ&ネタバレ感想レビュー
1話 あらすじ
研修医1年目の若月まどか(芳根京子)は、清桜総合病院での勤務が始まった矢先に、院内のコードブルー現場に遭遇。
そこで謎の男・角田茂司(奥田瑛二)に声をかけられるままその場に誘われ、至近距離で先輩医師たちの迅速な対応を目の当たりにし感動していた。
しかし、研修医生活が始まると勤務時間は9時5時、ノーハラスメントという清桜総合病院での“お客様待遇”にモヤモヤが募る。
一方、外科医の西山正樹(赤堀雅秋)や救命救急センター長の城崎智也(佐藤隆太)、内科医の手塚冴子(木村多江)らベテラン医師たちも、医師不足という現状、研修医たちの未熟さに対する苛立ちをグッと抑えながら指導に当たっていた。
そして同期の研修医・尾崎千冬(髙橋ひかる)、五十嵐翔(大西流星)、桃木健斗(吉村界人)、横川萌(小西桜子)と共に、“スーパーローテーション”と呼ばれる仕組みのもと、各科を回る研修が始まる。最初に外科へ配属されたまどかの指導医は、外科医の菅野尊(鈴木伸之)だ。しかし現実は希望とは裏腹で、点滴の針がうまく刺せない、手術中にトイレに行きたくなる、おまけに看護師に間違われるなど、立ち塞がる壁は多かった。
そんなある日、担当となった入院患者・湯川茜(田中真弓)のもとを訪れるまどか。
腰の痛みを訴える茜に、菅野に相談しようとまどかが提案すると「寝違えただけだから大丈夫」と言われてしまう。
だが、それが後に大変な事態に発展してしまい……。
引用元:Tver
1話 感想レビュー
『ハコヅメ~たたう!交番女子~』に似た面白さ
1話を観た率直な感想は「想像以上に面白い!」ということ。
これはあの時の感覚に似ている…。
そう、あの日テレ制作ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』を観たときの感覚…。
「研修医」がドラマで取り上げられることはままあることだ。
オーソドックスな展開といえば、
・主人公がやる気に満ち溢れていて空回る
・想像以上にやることがてんこ盛りで、仕事に追われる
・先輩や同僚たちにもまれ、たくさんの失敗を経て成長していく
こんなところだろう。
しかし今作は毛色が違う。
そもそも主人公が医療にさほど関心がない。(笑)
主人公・まどかが医師を目指したのは、子どもの頃にたまたまテレビで観ていた医療モノの人形劇内のセリフに感化されたから。
「人を救うために!!」などという強い気持ちは持ち合わせていない。
そんなゆるい感じで医師になったのは、まどかだけではない。
同じく研修医として働く千冬や萌もまた、
「医者になったら結婚できない!研修医の内に結婚して子どもも産んでおきたい!」
など、仕事よりも自身のワークライフの充実が大切だと思っている。
医師不足に悩む病院側は、とにかく研修医を辞めさせないことに必死。
嫌々、研修医を「お客様扱い」する医師たち。
…と、そういった現代の「研修医事情」をコミカルかつリアルに描いているのだ。
まさに「交番勤務事情」をコミカルかつリアルに描いていた『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』に近しいものを感じる。
『ハコヅメ』が好きな人なら、おそらく今作も面白く観られるはず。
まどか26歳、研修医やってます! 2話あらすじ&ネタバレ感想レビュー
2話 あらすじ
研修医としてあっという間に1ヶ月半が経ちながらも未だ悪戦苦闘中のまどか(芳根京子)は、砂田直人(渡邊圭祐)とのデートで楽しく野球観戦…のはずが、頭は仕事のことで一杯。
ビールを煽りながらも、資料を開いてベテラン医師から言われたことを愚痴っていると、応援に集中できないと砂田から苦言が。
2人は険悪なムードになってしまう。
翌朝の出勤中、デートで起きたことを千冬(髙橋ひかる)、五十嵐(大西流星)、萌(小西桜子)に相談するまどか。
そこへ桃木(吉村界人)が合流し、朝のカンファレンスでの報告準備は出来ているのかと尋ねられ、まどかは顔面蒼白になる。
申し送りにあった「資料を暗記し空でプレゼンする」という、清桜総合病院にある“地獄のカンファレンス”ルールを読み飛ばしていたのだ。
付け焼き刃で暗記しようとしたものの、演台に上がってベテラン医師たちの視線を一身に受けた瞬間に頭の中が真っ白になってしまい…!?
引用元:Tver
2話 感想レビュー
代々受け継がれる「最近の若い奴は」「俺たちの時代は」は、やっぱりイヤミったらしくてムカつく
社会人経験のある人だったら、おそらく誰もが一度は耳にするであろう枕詞「最近の若い奴は」と「俺たちの時代は」。いやはや伝統芸能ですね。
ご存じでした?
実はこの言葉、さかのぼれば古代ギリシャ時代でも使われていたらしいです。日本では、「枕草子」や「徒然草」にも似たような言葉が書かれているんだとか。いや~長い歴史の中でいつの時代も”若者”たちは「最近の若い奴は…」と言われ続けてきているんですね…。
ただ、そういったイヤミが実は重要な助言だったりするから無視できない。
ドラマではこんなシーンがありました。
上司から「担当患者以外のカルテを覚えることが、俺たちの時代じゃ当たり前だった」と言われたまどかは、「なんでいちいち覚えなきゃいけないの?電子カルテに全部書いてあるじゃん」と心の中で噛みつく。
ところがある日、病院のシステムがダウン。電子カルテの類が見られなくなってしまう事態が発生。自分の患者のカルテすらまともに覚えていない研修医たちは、電子カルテが見れないことには仕事にならない。
そんな中、上司たちは自分の担当患者はもちろん、担当ではない患者の状態もちゃんと把握しており、電子カルテを見なくても問題なく診察していく。
研修医たちは、上司たちの言う「俺たちの若い頃は…」「俺たちの時代は…」という枕詞にウンザリしていたものの、この時ばかりは「俺たちの時代もあなどれないな」と思い知ることになる…という展開。王道といえば王道なんだけど、なんだか身に染みたなぁ。『普段は鬱陶しいけど、経験を重ねているだけあって頼りになる上司』をうまく描いていたからだろうか?
ドラマを観ながら何度も「あ~わかるわ~」と言ってしまいましたよ。
とはいえ。
やっぱり「俺たちの時代は」という枕詞はイヤミったらしくてムカつく。
普通に「電子カルテが突然使えなくなることもあるから、カルテはきちんと記憶しておいてね」と言ってくれればそれでいいのに、とも思うんですけど…いかがでしょう諸先輩方。
まどか26歳、研修医やってます! 3話あらすじ&ネタバレ感想レビュー
3話 あらすじ
新たな科に配属されたまどか(芳根京子)と同期の研修医たち。
消化器内科に配属されたまどかの目の前では、指導医・冴子(木村多江)と外科医・西山(赤堀雅秋)が患者の治療方針を巡り、壮絶な舌戦を繰り広げていた。
ドラマのようなやり取りに羨望のまなざしのまどかだったが、実際の冴子の指導はとても厳しいものだった。 だが、ランチタイムには看護師や他スタッフと楽しく会話して過ごす冴子。その輪に加えてもらったまどかは、冴子に意外な一面もあることに気づいていく。
そんな中、まどかは腹痛を訴える外来患者・中山勇人(小久保寿人)の診察に立ち会うことに。
付き添ってきた妻・美波(田畑智子)や幼い娘との仲睦まじい光景に笑みをこぼすが、その後の検査結果で、医師として決して逃げられない辛い現実と直面することに…。
引用元:Tver
3話 感想レビュー
医療ドラマでは避けて通れないもの。それは患者の死
特に「研修医」や「新人ナース」の物語を描く場合、必ずと言っていいほど患者の死が描かれるものです。それはコメディドラマでも変わらない。
過去の医療コメディ作品でいえば、『ナースのお仕事』(フジテレビ系)はゴリッゴリのコメディだったけど、患者の死がしっかり描かれていました。
「患者の死」というのは、なんとなく仕事をこなしている研修医や新人ナースたちに対して、「病院と言う場所がどういう所なのか」「医療という仕事はどういうものなのか」ということを、改めて考えさせる力があるんですよね。
なので3話の『まどか』は、研修医たちが医療に改めて向き合う真面目な回だった印象。
亡くなってしまうことがわかっている患者さんと、その家族たちとどう接していくか。悩みながらも懸命に自分のできることを考えるまどか。彼氏に浮気されていたショックもそっちのけで、患者に向き合うまどかは、すでに立派な医療従事者!
五十嵐(大西流星)の人間関係構築力がすごい!
3話は「同期の絆」も描かれていましたね。
医師の仕事に対してどこか舐め切った態度を取る桃木(吉村界斗)と横川(小西桜子)。医師の仕事に対してわりと真剣に向き合うまどかと尾崎(高橋ひかる)。両社は、互いの考え方の違いに度々衝突する。そしてその仲裁をする五十嵐(大西流星)。
まあ5人も人間がいれば、そりゃあ対立することもあるよねぇ。同期は友達ではないし。いや、友だちとだってケンカするわけだし。でも最終的には仲直りして、前よりももっと仲が深まるっていうね。お約束なんだけど、実際そういうもんですよね。
それにもしても五十嵐の人間関係構築能力が素晴らしすぎる。たぶん一番大人。
言い合いになりそうな空気を察したら、「そういえばさぁ、」と別の話題を振ったり。落ち込んでいる様子の人がいたら「どうした?」とさりげなく声をかけたり。空気を読む能力すごい。五十嵐はどこでもやっていける。
まどか26歳、研修医やってます! 4話あらすじ&ネタバレ感想レビュー
4話 あらすじ
まどか(芳根京子)の3科目となるスーパーローテーション先は泌尿器科。新たな指導医は、清桜総合病院の泌尿器科を国内トップクラスに押し上げ、院内では「神」と呼ばれている角田(奥田瑛二)だ。
早速、角田と共に外来患者の診察を行うも、下半身の診察ということもあり、まどかは男性患者からのセクハラまがいの発言に辟易する。
さらに、その様子を見た冴子(木村多江)から「女子か、医師か」と禅問答のような問いを突きつけられ、頭から離れなくなってしまう。
そんな中、外資系の金融コンサル会社で働くいわゆる“バリキャリ”の成田友梨(佐々木希)が、泌尿器科の外来を訪れた。男性医師に対する困惑を見てとった角田は、まどかに診察を任せて席を外す。
戸惑いながらも友梨と向き合うまどかだったが、のちにその病状を巡って葛藤を抱くこととなり…。
角田がまどかに診察をゆだねた真の目的、そして冴子から受けた問いにまどかが出した答えとは?
引用元:Tver
4話 感想レビュー
女子か医師か
男性患者にセクハラまがいの言葉をかけられ辟易してしまうまどか。
まどかだけでなく、看護師や介護士などエッセンシャルワーカーの多くが直面する壁だと思うのです。
冴子(木村多江)からの「女子か、医師か」という問いに対して、最終的にまどかは「医師であると同時に女子なんだって思いました。女性の医師にしかできない仕事もあるから」という答えに行き着きました。
女性であるからできること。医師であるからできること。女性医師であるからできること。
白か黒かで語れる問題ではない。どんな仕事も良い部分もあれば嫌な部分もあるもの。そことどう折り合いをつけていくかが大事なわけですね。
自分には何ができるだろうか?
今作を観ていると、「自分には何ができるだろうか」と考えることが、働くうえでいかに大切かということを思い知らされる。
清桜総合病院で「神」と呼ばれている角田(奥田瑛二)の言葉が響きました。
不治の病だった腎不全も透析の発達により長く生きられるようになった。ところが週3日の病院通い、それも毎回半日以上かかることから、ある患者が「こんなことなら死んだ方がましだ」と漏らす。
それを聞いた角田は思う。「僕にはそのつらさが理解できていなかった。そこで考えた。自分には何ができるだろうか?そして思ったんだ。患者さんにドラマを作るのはどうだろう?」と。
なんでもない毎日が続く透析の患者だからこそ、「日常のなかで刺激的な何かを見つけてもらえないだろうか」という想いで、出会う患者さんたちに声をかけていた角田。
患者さんの気持ちを変えたいなら、患者さんに「気持ちを変えてくれよ」と思うのではなく、まずは自分が動いてみる。そうしなければ患者さんの気持ちは変わらない。
これはどの仕事にも言えることですよね。「自分には何ができるだろうか?」という気持ちが結果的に良い仕事につながる。
まどかは角田の言葉をヒントに、手術の後はストーマ(人口膀胱)をつけなければいけないことを知り手術を受けたがらない成田友梨(佐々木希)に、ドラマを作ろうと思い立つ。
まどかは、友梨が好きなプロレス選手の復帰戦を一緒に観戦し盛り上がる。
友梨は、再びマウンドに立ったそのプロレス選手と自分を重ね合わせ、手術を受けることに決めた。
まさに「自分には何ができるだろう?」という気持ちが良い仕事につながったわけだ。
働く楽しさを改めて思い出させてくれる今作は、仕事でなにかぶち当たったときにもう一度見返したい。
まどか26歳、研修医やってます! 5話あらすじ&ネタバレ感想レビュー
5話 あらすじ
砂田(渡邊圭祐)とベイスターズの日本一を嚙み締めたまどか(芳根京子)は、ローテーションで既に3つの科を経験したことで、次なる研修先の救急センターも「なんとかなるっしょ」と気楽に考えていた。
だが、一緒になった千冬(髙橋ひかる)といざ現場に臨むと、そこはまるで戦場。
城崎(佐藤隆太)をはじめとする医師や看護師が目まぐるしく動き回る中、まどかも千冬も何をすればいいのか分からない。
ふり出しに戻ったような感覚に陥ったまどかは、救急搬送されてきた患者のルート確保を指示されるも、点滴の針を血管に通すことができず、突如“点滴スランプ”に。
それ以来、救急での研修に身が入らないまどかに、城崎は「なぜ医者になったのか」と問うのだった。
そんなまどかを菅野(鈴木伸之)は、救急あるあるだと励ますが…。
そうした中、クリスマスイブに当直となったまどかの前に救急搬送されてきた患者が思いもよらない人物で…!?
一方、千冬たち研修医メンバーは、各々の思惑が交錯する中、イブの夜を過ごすことになる。
引用元:Tver
5話 感想レビュー
救急センターは社会の縮図
自ら飛び降りて重症な人。銃創の患者。日本語がわからない外国人観光客。オーバードーズで意識不明の若者。救急センターに次々と運ばれて来る人たちを見れば、日本の社会の縮図が見えてくる。
救急センターでは患者が運ばれてきたその瞬間、すぐさま診断を下さなくてはいけないため、豊富な知識と経験が要求される。一瞬でも気を抜けば事故につながるそこはまさに戦場。
その中にいきなり放り込まれたまどかは、おろおろするだけで何もできない。さらに環境にひるんでしまったのか、これまでできていたことさえできなくなってしまう。
終始彼女のもどかしい気持ちががひしひしと伝わってくる回だった。
自分の心に意識が向きすぎていると何事もうまくいかない
うまくいかない時って、たいてい自分のことばかり考えている時なんですよね。
まどかは救急センターに来てから、今までできていたことができなくなってしまったことに焦ってしまった。そうして自分の心にばかりフォーカスした結果、患者さんのことを考える気持ちがすっぽり抜け落ちてしまったのだ。
そんなとき、まどかの彼氏が救急センターに運ばれて来る。
頭から血を流している彼氏を見たまどかは、自分の不安や焦りなんかすっかり忘れ、気づけば彼氏の治療だけに専念していた。
そんな体験を経てまどかは気づく。他の患者さんのことも家族や彼氏と同じくらい、親身になって救いたいと思うことが大事なんだと。
これはどんな仕事でも言えることですよね。
自分の心を守ることばかり考えていたら行動なんて起こせない。失敗するのは怖いですからね。でも行動しなければ状況は変わらないし成長もしません。
働くうえで大事なこと気づかせてくれる良いシーンでした。