食事を決める時、なぜかいつも相手に決定権がある。
急遽相手に呼び出されてわざわざ出向いたら、結局相手の愚痴を聞かされて終わってしまう。
つかなくてもいいような小さな嘘をついてしまって、その嘘をずっとつき続けなければいけなくなる。
愛想笑いばかりしてしまう。
「なんだか、気づいたらいつも誰かに振り回されてしまう…。」
そんな風に思うことはありませんか?
実はそれ、「危険な会話スタイル」をしていることが原因かもしれません。
振り回されてしまう人になる「危険な会話スタイル」とは一体何か?紹介していきます。
もくじ
人づきあいが苦しくなる 危険な会話スタイル
5つの「危険な会話スタイル」
心療内科医の海原純子さんは、著書『誰でもできる!アサーティブ・トレーニングガイドブック』の中で、5つの「危険な会話のスタイル」を紹介しています。
(引用抜粋)
1 逃避:幼さをよそおい他人に決めてもらう行動スタイル
自分で決定する責任から逃げてしまう方法
・私はよくわからないからお任せするわ
・私はただの主婦ですから
・私は決められないから
・「みんなと同じです」と言って自分の意見を言わない
2 表面的に服従・裏で反対の行動スタイル
・嫌なのに相手に合わせるものの、裏で影口を言ったりする
・あのときは本当は嫌だったけど仕方なかったの、と後から相手に愚痴を言う
3 言い訳スタイル
・私は才能がないから
・子どもがいるから
・夫の収入がないから、などとできないことを人のせいにする
4 間接的攻撃スタイル
・相手に自分の思い通りにしてほしい時に直接伝えず相手を操作しようとする
・あなたがそうすると私は恥ずかしい
・あなたがそうするなら私は死にたい、などと脅す
・あなたがそうすると私は世間に顔向けできない、などと間接的に相手を責める
5 嘘の作り話スタイル
・子どもや家族や仕事を口実にして断る
・本当は興味がないのに「また誘ってください」などと言う
いかがですか?
「当てはまるかも…!」というものはありましたか?
隠さずに申し上げると、僕は「1」「2」「3」「5」が当てはまりました。
知らず知らず危険な会話スタイルをやってしまっていたんですね。
「危険な会話スタイル」をしていると、対等な関係が築けない
こうした会話スタイルについて、海原さんはこう述べています。
こうしたスタイルは自分の考えを素直に表現する方法ではありません。
こうしたスタイルは表面的には波風が立たないことにはなるのですが、自分の意思や考えをきちんと相手に伝えられないわけですから、相手と対等なコミュニケーションを築くことができなくなります。
僕は「相手に決めてもらう」「小さな嘘をつく」など、やろうとしていなくても、相手との間に波風が立つのが怖くてつい無意識的にやってしまいました。
いわば「クセ」のようなものです。
危険な会話スタイルをすると、その場はたしかに波風が立ちません。
しかし、相手と接するたびに危険な会話スタイルを出し続けていると、
次第に
【決定権はいつも相手にある状態】になってしまったり、
【嘘に嘘を重ねなくてはいけなくなる状態】になってしまい、
相手に会うたびに苦しくなってしまっていきます。
本心を隠してコミュニケーションしなくてはいけない状態は、とても「対等な関係」ではありませんよね。
「危険な会話スタイル」で、相手に利用されることや信用を失うこともある
海原さんはさらにこんなことも述べています。
「逃避:幼さをよそおい他人に決めてもらう行動スタイル」の場合
自分を肯定する気持ちが育ちません。いつも自信がなく、自己肯定できないことで心に怒りや不満がたまります。不安や無気力感で気持ちが落ち込みやすくなり、また自由に自分の意見を話せる人がうらやましく、そうした人と比較することでさらに自信がなくなっていきます。
人に言われるがままになるので相手に利用されることも多くなります。
「表面的に服従・裏で反対の行動スタイル」「言い訳スタイル」「間接的攻撃スタイル」「嘘の作り話スタイル」の場合
裏でとった行動や陰口が伝わって信用をなくし、人間関係に信頼がなくなりやすくなります。また、作り話は相手にすぐわかってしまいますので、自分ではうまく断ったつもりでもすぐに嘘がばれて信用されなくなります。
引用:『誰でもできる!アサーティブ・トレーニングガイドブック』海原純子
対等な関係を築けないだけでなく、相手に利用されてしまったり、信頼を失ってしまう可能性もあるのですね。
「クセ」を治す方法
危険な会話スタイルをしてしまうのは、「波風を立てたくない」というような、【心のクセ】が原因でやってしまうことがわかりました。
そこで、クセを治す方法をご紹介いたします。
クセを治す方法は、まず「クセ」を自覚することから始まります。
自分が【波風を立てたくなくて危険な会話スタイルをしている】ことを自覚してみましょう。
次に、どんなタイミングでその「クセ」が出るのか?と、自分のことを観察してみます。
初対面の人と接する時?
親しい人と会話する時?
恋人と会話する時?
相手に対して「怖い」と感じた時?
「クセ」が出たなと感じたら、それがいつ、どんなタイミングだったかを毎回振り返りましょう。
ただここで注意していただきたいのが、「クセ」が出ても、「うわ~。またやってしまった…」などと自己否定してはいけません。
「クセ」を出す自分を自覚することが怖くなってしまうので。
自己否定するのではなく、「クセ」を出す自分を認めて未来の課題にしましょう。
たとえば【小さな嘘をつく】というクセをやってしまったら、
「ああ、また嘘ついちゃった。次回からは気をつけよう」と、嘘をついてしまう自分を認めて、「次は気をつける」という未来の課題にしてすぐ切り替えるのです。
そうすれば、「クセ」を振り返るのも怖くありません。
繰り返し【クセの振り返り】をやっていると、いずれ【クセが出るタイミング】が具体的に掴めてきます。
たとえば、
・一回何かを拒否されたことのある相手だと、拒否されるのが怖くて、つい「なんでもいい」と言ってしまう。
・相手が自分の話に興味ないと感じた時に、小さな嘘をついてしまう。
など。
そして、クセが出る相手、場所、状況が具体的にわかってきたら、
そのクセが出そうな場面に遭遇した際、
「あ!こういう時はクセが出ちゃうんだ!気をつけよう」と、【クセ】を出さないように注意してください。
そうやって事前に抑えられる頻度が上がってくると、必然的に「クセ」を出すタイミングがなくなっていき、気づいたときには「クセ」が消えていきます。
危険な会話スタイル まとめ
海原さんが提唱する5つの【危険な会話スタイル】のうち、あなたはいくつ当てはまりましたか?
「気づいたときには誰かに振り回されてしまう…」という状態にしているのは、他の誰でもなく自分自身。
「波風を立てたくない」と思ってしまう【心のクセ】が原因で、【危険な会話スタイル】をやってしまうわけです。
なのでぜひ、「クセ」を治す方法も実践してみて下さいね♪