
【脚本】
野木亜紀子
【演出】
塚原あゆ子 他
【キャスト】
神木隆之介、杉咲花、土屋太鳳、池田エライザ、宮本信子 他
主演を務めるのは、日曜劇場初主演となる神木隆之介。
共演には、杉咲花、土屋太鳳、池田エライザ、沢村一樹、宮本信子など、主演級キャストがずらり勢ぞろい。
1955年の端島(通称。軍艦島)、2018年の平成を舞台に、70年にわたる愛と友情と家族の壮大なヒューマンドラマ。
そんな『海に眠るダイヤモンド』のあらすじと感想レビューを、1話~全話書いていきます!
もくじ
海に眠るダイヤモンド あらすじ&ネタバレ感想レビュー (第1話)
1話 あらすじ
「私と、結婚しない?」
ー 2018年夏、東京 ー
その日暮らしのホスト・玲央(神木隆之介)は、出会ったばかりの怪しげな婦人・いづみ(宮本信子)から、突然プロポーズされる。
ホストクラブに案内すると玲央のために大金を使ってくれるいづみ。都合のいい客に巡り会った玲央は、後日再び現れたいづみの誘いに乗って、軽い気持ちで長崎を訪れる。
フェリーに乗る2人だったが、近づいてくる端島を前に、いづみは想いを馳せて…。
1955年春、長崎県・端島。
炭鉱員・一平(國村隼)の家に生まれた青年・鉄平(神木隆之介・2役)は、島外の大学を卒業後、島の炭鉱業を取り仕切る鷹羽鉱業の職員として端島に戻ってきた。
同じ大学を卒業した幼馴染の賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)も帰島した。
鉄平の兄・進平(斎藤工)や島の食堂の看板娘・朝子(杉咲花)、鉄平の母・ハル(中嶋朋子)ら、皆が鉄平の帰島を喜ぶなか、一平だけは激怒する。
さらに鷹羽鉱業の職員で賢将の父・辰雄(沢村一樹)もまた、息子の就職先については思うところがあるようだ。
同じ頃、端島に謎多き美女・リナ(池田エライザ)が降り立つ。歌手だというリナに、興味津々の鉄平たちだが…。
未来への希望と活力に満ちた高度経済成長期の端島と、どこか閉塞感が漂う現代の東京。
70年の時を超え、2つの異なる場所をつなぐ若者たちの物語が今、幕を開ける――。
引用元:Tver
1話 ネタバレ感想レビュー
物語の舞台は2つ。
1つは、第二次世界大戦から10年後の1955年の端島(軍艦島)。
もう1つは、2018年の東京・歌舞伎町。
2つの世界線を行き来するヒューマンドラマ。
端島を再現したセットの作り込みから、TBSがこのドラマにかける思いが伝わってきます。
「端島の暮らし」と「今の日本の暮らし」を比較
<海底炭坑だった端島は日本で最先端の暮らし・未来都市があった>
最盛期の1960年には狭い島内に5267人もの人々が暮らしており、東京の9倍という脅威の人口密度でした。
炭鉱労働者は所得も高く、大半の人が都会にも無かったコンクリートでできた高層マンションに暮らし、カラーテレビの普及率が平均10%時代に、この島では100%の人が所有しており、島には土地も無かったため土を購入しベランダで植物栽培をしたり、主婦の人気の習い事が生け花教室であったりと、水道や風呂、トイレ、炊事場以外は文化的な生活が営まれていました。
引用元:『九州の世界遺産』HPより抜粋
端島(軍艦島)のことを調べてみると、石炭から石油へという国のエネルギー転換政策を受け、1974年に閉山している。
また、地下での採掘作業では事故もいくつか起こっていたようだ。
日本の発展の裏側には、「炭鉱労働」という非常に危険で過酷な労働をしてきた人々がいたこと。
国に翻弄される人々がいたこと。
しかし互いに励まし合いながら支え合う端島の人々。
これらを描くことで、今の日本がどれほど恵まれているか、逆にどれほど寂しいかを伝えたいのかもしれない。
いづみの正体
さて、2018年編で登場する謎の金持ち老婦人・いづみ。
その正体は誰かという考察でSNSは盛り上がっている。
いづみの可能性があるのは、朝子(杉咲花)、百合子(土屋太鳳)、リナ(池田エライザ)の3人の中の誰かだろう。
1話のラストでは、百合子が意味深にネックレスを触るシーンが流れ、その直後、いづみもまたネックレスを触る。
「百合子=いづみ」と思わせたいことがうかがえる描写だが、個人的にこれはミスリードだろうと思う。
一番可能性があるのは朝子ではないだろうか?
端島時代、朝子は鉄平に片思いをしている。
そして時を経て、鉄平によく似た玲央と遭遇。
かつての思い人の面影がある玲央に何かしたいという気持ちが湧いてしまったのでは…?
海に眠るダイヤモンド あらすじ&ネタバレ感想レビュー(2話)
2話 あらすじ
現代。
いづみ(宮本信子)は一体何者なのか、自分に似ているという“忘れられない人”とはどんな人物なのかが気になる玲央(神木隆之介)。
そんな玲央にいづみは、かつて想いを寄せていた鉄平(神木隆之介・2役)のこと、そして島での複雑な“恋模様”について語り始める。
1955年9月。
端島では、リナ(池田エライザ)のことを気にかけて遊びに誘う鉄平を、複雑な思いで見つめる朝子(杉咲花)の姿が。
朝子の鉄平への気持ちに気付いているリナもまた、自分へ向けられた鉄平の好意をかわしながら、複雑な思いを抱えていた。
一方、端島に生活用水を引く海底水道計画の検討会に参加する賢将(清水尋也)に連れ立って、長崎を訪れた百合子(土屋太鳳)は、アメリカ生まれの“スクエアダンス”と出会い、気に入って端島に持ち帰る。すぐさま同好会を設立するべく、鉄平、朝子、賢将、リナを集めて練習に取り掛かる。その頃、端島には大型の台風が近づいてきて…。
引用元:Tver
2話 ネタバレ感想レビュー
端島版『ハチミツとクローバー』
全員が片思いしている恋愛ドラマの代名詞といえば『ハチミツとクローバー』。
端島編はまさにハチクロ状態!
百合子(土屋太鳳)→賢将(清水尋也)→朝子(杉咲花)→鉄平(神木隆之介)→リナ(池田エライザ)→進平(斎藤工)
賢将が朝子のことを好きだというのはわからなかった。
ただ、賢将と付き合ってるはずの百合子がわざわざ鉄平にちょっかいを出していた理由がこれで納得。
これからの展開が楽しみ!
自由に生きられる時代なのに不自由な現代人
売掛のお客に飛ばれた玲央は、先輩ホストの使いパシリに奔走。
やるべきことを終えた時にはすでに朝を迎えていた。
朝日に照らされたビル群の歌舞伎町。
その路上でいづみからの電話に出た玲央は、思わずこんな言葉を口にします。
「ここはさぁ、端島みたいな島じゃないからさ、水道も通ってるし、どこにでも行けるはずだった。でもなんで同じとこグルグルしてんだろ」
本当にそう。
脚本家はこう訴えたいのかもしれない。
ライフラインにおいては不便な生活を強いられていた端島。
島の外に行くのだって今ほど容易じゃない。
ところがみんなイキイキしていた。
明るい未来を信じて生命力にあふれていました。
令和になった今はどう?
自由ですか?
日本のどこにいてもライフラインは安定している。
鉄道、船、飛行機と、移動手段も充実。
住むところや働き口だって選り好みしなければあります。
それなのに、なんだかみんな息苦しさを感じている。
どうして?
生活が便利になって、色々自由にもなったはずなのに、端島の人たちのように活気のある生活を送れていない現代人に対するアンチテーゼと受け取ると、より面白く観れます。
いや~皮肉が効いてて面白いな~。
海に眠るダイヤモンド あらすじ&ネタバレ感想レビュー(3話)
3話 あらすじ
鉱員たちが働きやすい環境を整えるべく、自分たちなりのやり方で力を尽くす鉄平(神木隆之介)と賢将(清水尋也)。
鉱員の進平(斎藤工)の助言も役立ち、2人の活躍で新たな社宅制度も出来ることに。
そして季節は流れ、1957年10月。
ついに端島に水道が開通する。
新しい鉱員アパートや小中学校の新校舎も完成し、人口も出炭量も増えた端島は最盛期を迎えようとしていた。
そんな中、以前端島を舞台に製作された映画「燃ゆる孤島」の続編製作のため、プロデューサーの夏八木(渋川清彦)がやってくる。
活気に満ちた今の端島をフィルムに収めたいと熱く語る夏八木は、島民たちを対象に出演者オーディションを行うと宣言。
皆が一気に浮き足立つ中、夏八木から声をかけられた朝子(杉咲花)もまた、こっそり演技の練習を始めていた。
一方現代では、玲央(神木隆之介)がいづみ(宮本信子)の家に転がり込み、いづみの家族と初対面を果たす。いづみは家族に玲央のことを自分の婚約者だと紹介し…。
引用元:Tver
3話 感想レビュー
3話は「貧富」がテーマでしたね。
働かざる者はいらない
炭鉱の島として栄えていた端島。
炭鉱労働者と家族、東京から派遣される社員など、続々と島に入ってくる人が増え、最盛期には狭い島内に約5300人もの人が暮らしていたそうです。
ただ、職種や立場によって住居の格差はあり、中でも環境の悪いマンションを寮としてあてがわれる炭鉱職員たちは、たびたび誰がどの部屋に住むかで小競り合いがあったそうです。
ドラマの中では、鉄平がそんな炭鉱職員たちの住居争いを逆手に取ったプランを賢将に提案。
そのプランとは、
『働きに応じて得点を加算。得点の数で部屋の優劣を決める』というもの。
職員たちの仕事へのモチベーションをあげることが狙い。
実は炭鉱石の発掘作業はなかなかに過酷だったそう。
そのため欠勤をする者が多かったらしい。
賢将は鉄平の提案をさっそく会社のの会議で提案するのだが、
鷹羽鉱業の幹部職員で新たに炭鉱長に任命された賢将の父・辰雄がこう言い放つのです。
「やる気は当然だ。働かない者はこの島にいる資格はない」
こ、こわい…。
パワハラやん…。
しかし結果的には、前炭鉱長が「得点制やってみたらいいじゃない」と言ったことで鉄平の提案は採用されることになったでした。
お金を稼ぐ大変さ
劣悪な環境で働く炭鉱職員たちだったが、その給料は高額だったらしい。
1957年当時、本土のテレビの普及率は10%程度だった。
ところが、端島のテレビの普及率はすでに60%を超えていたそう。
端島の生活水準がいかに高いかがわかる。
ただしその一方で、食堂を営む朝子の家ではテレビを買う余裕はなかった。
朝子の弟なんかは、他人の家のテレビを勝手にのぞき込みに行っては、方々で咎められていた。
劣悪な環境を条件に高給が約束されている炭鉱職員と、毎日必死に食堂を切り盛りしてもテレビを買えない朝子の家。
どちらもお金を稼ぐ大変さを味わっているわけです。
そして2018年。
会社を経営するいづみのおかげで裕福な暮らしをしているいづみの家族たち。
お金のありがたみなどみじんも感じていない様子の彼らに対して、
「私の育て方が間違ってたのかも」
とつぶやくいづみ。
そしてなんと、
「(自分の会社を)潰してやろうじゃないか」
と、家族に生温い環境を与えてきたことを反省し、自らが築いてきた会社も財産もすべて手放そうとするのでした…。
いづみの正体は誰なのか?
3話は【いづみ=朝子】を連想させるような描写でしたがはたして?
海に眠るダイヤモンド あらすじ&感想レビュー(4話)
4話 あらすじ
1958年7月。
朝子(杉咲花)の初恋の人が自分だと知って以来、朝子のことが気になり、浮き足立つ鉄平(神木隆之介)。
そんな鉄平を尻目に賢将(清水尋也)は、何か思うところがある様子で…。
その頃、リナ(池田エライザ)のもとを訪れた進平(斎藤工)は、部屋である衝撃的な物を目にしてしまう。
一方、映画館を辞めて労働組合の新聞編集者としての仕事に精を出していた百合子(土屋太鳳)だったが、長らく体調を崩していた母・寿美子(山本未來)の容態が悪化する。
鉄平は、百合子の家族の運命を変えてしまった、1945年8月9日の出来事を思い出していた。
現代。
いづみ(宮本信子)から「一緒に会社を潰そう」と提案された玲央(神木隆之介・2役)は、社長であるいづみの第二秘書として雇われることに。
突然の出来事に戸惑う社員たちを前にいづみは、玲央のことを「次期社長候補」だと紹介する。
そんな中、いづみの家族たちの間で、玲央に関するある疑惑が持ち上がる。
引用元:Tver
4話 感想レビュー
4話では、百合子が朝子に嫌な態度をとってしまう理由が明かされました。
言葉にできない葛藤
長崎に原爆が落とされたあの日、教会のお手伝いをしに長崎へ行くことになっていた百合子。
「ゆりちゃーん」「」ゆりこー」と、百合子を探す百合子の母と姉から身を隠す百合子。
「今日は行きたくないから」と言って、一緒に遊んでいた鉄平、賢将、朝子にも一緒に隠れるよう指示します。
しかし、必死な百合子を見た朝子がイタズラ心で「はーい!」と返事をしてしまいます。
見つかってしまった百合子は、家族とともに泣く泣く長崎へ行くことになったのでした。
そして長崎で被爆した百合子と百合子の母、亡くなってしまった百合子の姉…。
もしあの時朝子が、「はーい!」と返事をしていなかったら。
もしあの時長崎へ行ってなかったら。
朝子のせいではない。
しかし、やり場のない怒りを朝子に向けてしまう。
そんな百合子の気持ちもわかる気がします。
「あんたのせいで!」と朝子に怒りをぶつけたところで朝子を苦しめることになる。
だからどうして百合子が朝子に意地悪をしてしまうのかを、百合子はもちろん鉄平や賢将も話せない。
憎たらしいけど大切にしたい朝子。
そんな心の葛藤がずーっと百合子の中であったと思うと胸が痛くなります。
また、百合子が「結婚などしない」と言っていた理由もわかりました。
おそらく、自身が被爆していることで、結婚や出産、恋愛を普通にしてはいけないという気持ちがあるのでしょう。
これは百合子が和尚と話しているシーンで、和尚が「戦争は終わった」という発言に対して、
「被爆した人には終わってない!」
と怒りの感情を露わにしていたことからもうかがえます。
母の死と精霊流し
精霊流しとは、
お盆の時期に先祖の霊を弔うため、精霊船にお供え物を乗せ、海や川に流すという行事のこと。
精霊流しの当日。
朝子に浴衣を着せてあげる百合子。
百合子は朝子にこんな言葉をかけます。
たくさんの意地悪を言ったわ、これまで。
ごめんなさい。
気味が悪いでしょうけど、心から謝りたいの。
あなたに許されたい。
あなたが許してくれなくても、私は、許すわ。
朝子のせいではない。
けれど朝子を見ると憎たらしくなる。
そんな百合子の複雑な気持ちが、母の死を境に少しずつ変化したのでしょうね。
海に眠るダイヤモンド あらすじ&感想レビュー(5話)
5話 あらすじ
現代。
いづみ(宮本信子)の家に、DNA鑑定の結果が届く。はたしていづみと玲央(神木隆之介)に血縁関係はあるのか。
次々と明らかになる真実。
2018年に生きるいづみは一体誰なのか…?
1958年12月。「全日本炭鉱労働組合」の意向に従い、一平(國村隼)や進平(斎藤工)たち鉱員は期末手当の賃上げを求める“部分ストライキ”を行なおうとしていた。
しかし、鉄平(神木隆之介・2役)たち鷹羽鉱業側は鉱員たちの要求を退け、鉱山のロックアウトを実施。
ロックアウトされると賃金自体が出ないため鉱員たちは生活に困るのだ。
父や兄、そして家族同然に思う鉱員たちと対立するという不本意な事態に、労働組合制度の仕組みに疑問を持つ鉄平。
そして鉱員たちの間では、ロックアウトを選択した炭鉱長の辰雄(沢村一樹)への不満が蔓延していた。
そんな中、リナ(池田エライザ)は進平に、自身の悲しい過去を語り始める。
引用元:Tver
5話 感想レビュー
これまで引っ張ってきた「いづみ」の正体。
5話にしてついに明かされました!
いづみの正体は朝子だった!
1話~3話くらいまで百合子=いづみを匂わせていましたが、やはり朝子でしたね。
旧姓の「出水」から「いづみ」と名乗っていたのですね。
ということは、鉄平と朝子は結局結ばれることはなく、端島衰退のタイミングで離れ離れになってしまったということなのでしょうか?
玲央ははたして鉄平の孫なのか?
いづみの正体が判明しても、まだまだわからないことがありますね。
一島一家
部分ストライキ以来、「炭鉱長親子」として鉱員たちから目の敵にされる賢将。
賢将が通れば鉱員たちは「アイいるで~」「有刺鉄線はやりすぎやろ~」「わ~怖い怖い」など野次を飛ばす。
そんな光景を見た鉄平の父・一平が賢将に声をかけます。
「おい!賢将!うちのカレーいつ食いに来るんだよ。
(ざわつく鉱員たちに向かって)なんだお前ら知らなかったのか?あいつはな、うちの家族なんだよ。
俺の自慢の息子、みたいなもんだ。
(賢将に近づきながら)いつだって来ていいんだぞ。
(探鉱作業で汚れた手で賢将の顔を触ってから)待ってるぞ」
賢将が島民たちから白い目を向けられていても、子どもの頃と変わらぬ態度で接する一平。
これは…泣く!!
味方がいてくれるって本当に救われるよなぁ。
その夜には、賢将を心配した百合子も賢将の家に訪ねて来てこんな話をする。
「組合の仕事辞めたの。だから堂々とここにここに来られるってわけ。
一生結婚できないって言ってた私に付き合ってくれたでしょ?
今度は私が賢将に付き合う。暇だし」
ああ、みんな優しい…。
もちろん島全体が家族ってわけではないけれど、少なくとも鉄平、百合子、朝子、一平といった昔なじみの人たちは、賢将をちゃんと家族のように寄り添って助けてくれる。
「端島を嫌いになりたくないんだ」
という賢将の言葉が、賢将の複雑な思いを全てを物語っている。
海に眠るダイヤモンド あらすじ&感想レビュー(6話)
6話 あらすじ
東京オリンピックを翌年に控えた1963年。
多くの炭鉱が閉山に追い込まれる中、端島にはいつも通りの正月が訪れていた。
その頃、園芸部での活動に熱を上げる朝子(杉咲花)は、鉄平(神木隆之介)に育てた鉢植えを見せる。
うれしそうな朝子を見て、表情が緩む鉄平。
2人の距離は確実に近づいているようだった。
一方、賢将(清水尋也)はある決意をし、鉄平にだけその胸の内を打ち明ける。
そんな中、進平(斎藤工)とリナ(池田エライザ)が荒木家を訪れる。
リナを追手から命懸けで助けて以来、仲を深めた2人はある報告を告げにやってきた。
現代では自分といづみ(宮本信子)に血縁関係がないこと、そしていづみの本当の名前が“朝子”だと知った玲央(神木隆之介・2役)は、自分と鉄平の関係を探るため、鉄平が残した10冊もの日記を紐解くことに。
するとその中の1冊に、“種”のようなものが挟まっていて…。
引用元:Tver
6話 感想レビュー
『ハチミツとクロバー』から『恋愛リアリティーショー』
2話では、

という全員が片想いする端島版『ハチミツとクローバー』だったが、3話から矢印の方向が少しずつ変わりはじめ、『恋愛リアリティーショー』的な展開になっていき、
そしてついに6話では、

めでたくカップル成立!
実に理想的な組み合わせですね。
進平とリナの間には子どもが産まれ、賢将と百合子は結婚。
鉄平と朝子も、照れ合いながらお互いの気持ちを確かめ合います。
この鉄平と朝子の二人のシーンが実に素晴らしかったです!
実力派俳優の二人が魅せる「演技」と「リアル」の狭間
6話の個人的悶絶シーンは間違いなく「朝子と鉄平の不器用な告白シーン」だ。
ちょっとそのシーンのセリフを書いてみようと思う。
鉄平「朝子が、食堂でやってたストライキ、あれ交渉の条件ってなんだったの」
朝子「…」
鉄平「やすみ…たかった?」
朝子「けっ…」
鉄平「ん?」
朝子「結婚せろってうるさくて、親がね。だけど結婚なんてしとうなか」
鉄平「しとうなかと?」
朝子振り返る
鉄平「ま、それは…朝子の、自由、なん、だけど…そうなの?」
朝子「…」
鉄平「あのさ、おれー…あのぉ…」
思わず笑ってしまう二人。
ふっと息を吐いて気合を入れなおす鉄平。
笑顔で頷く朝子。
鉄平「朝子が好きだ」
笑顔で黙る朝子。
鉄平「好き」
思わず笑いだす朝子。
そんな朝子の目からは涙が。
鉄平「いや、そんな急に、結婚、とか、そぉ、朝子の気持ち、も、そのぉあるし、俺はそのぉ、気が長い。朝子と一緒に、いつまでも、いつでも端島にいるし、だからゆっくり長い目で見てほしい」
朝子は笑顔で頷く。
朝子「わかった」
鉄平「ほんとに?ほんとに?」
朝子「うん」
セリフに起こしてみると、大したことは言ってないことがわかる。
だけど演者ふたりの「リアル」な質感が素晴らしすぎて、最高に印象に残るシーンとなっている。
「これって演技なの?」と疑うくらい生々しいのだ。
生々しすぎて、観ているこっちがおもわずニヤニヤしてしまうほど。
『あいのり』の告白シーンを観ているようだった。
現代でいえば『バチェラー』とか『今日好きになりました』といったものに近いだろうか?
何はともあれ、誰もあぶれることなく、全員が幸せの絶頂を迎えるわけですが、
次週、”炭鉱火災発生”という不穏な展開が待ち受けています。
さらに、いづみ(朝子)いわく、その火災を最後に鉄平の行方が分からなくなってしまったとか…?
海に眠るダイヤモンド あらすじ&感想レビュー(7話)
7話 あらすじ
現代、いづみ(宮本信子)から、鉄平(神木隆之介)は今もどこにいるのか分からないままだと告げられ、衝撃を受ける玲央(神木隆之介・2役)。
1964年。
荒木家では、進平(斎藤工)とリナ(池田エライザ)の息子が1歳を迎え、一平(國村隼)やハル(中嶋朋子)の喜びもひとしおの様子。
さらに賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)も結婚1周年を迎えるなど、周囲に幸せムードが漂う中、鉄平と朝子(杉咲花)もまた、秘密の交際を始めていた。
そんなある日、鉱山の坑内では一平が作業している中、ガス爆発による火災が発生して…。
訪れた端島最大の危機に、進平と鉄平も立ち向かうことに。
運命を揺るがす1日が始まった。
引用元:Tver
7話 感想レビュー
忘れてしまう「命」の尊さ
進平とリナの息子の1歳の誕生日。
荒木家総出でお寺に出向き、子どもの健やかな健康を祝う行事「餅踏み」をします。
その最中、進平の母・ハルが突然な泣き出し、こんなことを言います。
ハル「ごめんねぇ。お父さん、」
一平「ん?」
ハル「私たち、たくさん失くしたばってん、こん年になって、まだこがん幸せがあるってねぇ」
一平「ふふ…なぁ」
ハル「長生きするもんたいな」
一平「たしかにな」
戦争で自分たちの子どもを失くしてしまった一平とハル。
「命があること」「生きていること」ただそれだけで「幸せだ」という想いを、
一連のやり取りから感じました。
しかしその直後、地下炭鉱で火災が発生。
鎮火に当たった幾人もが負傷してしまう。
これ以上の消火活動は危険と判断した炭鉱長の辰雄は、深部区域を水没させる決断を下します。
それはつまり、炭鉱夫たちが必死で掘り続けてきた道を塞ぐことであり、端島での石炭採掘終了を意味します。
一平「どうするつもりだ?まさか諦めるんじゃんえぇよな?」
辰雄「…」
一平「なあ、中でまだうちのせがれが頑張ってんだよ」
辰雄「壁は壊れました」
一平「また作りゃあいい」
辰雄「負傷者が15人も出てるんです」
一平「俺たちは、いつだって覚悟して仕事してんだ。簡単に諦めてたまるか」
辰雄「こっちだって簡単な決断なんかじゃない!ここのすべてを諦めるということがどれだけの損害か…!」
一平「金の話しじゃねーよ!あの道は、海の下のあの道は、俺たち炭鉱夫たちが死ぬ思いで掘って切った血が通った道なんだよ。上の連中は自分で掘ってねぇからわかんねぇんだよ!」
辰雄「会社は、会社はまだ楽観的にみてる」
一平「だったら」
辰雄「それがどんな結果を引き起こすか…!」
一平「てめぇは島守る気ねぇのか?」
辰雄「守りたいんです。守りたいんですよ!島も、命も!失いたくないんです!誰一人!」
戦争で、「お国にのために!」と、命を危険にさらした結果、命を失っていった人たちをたくさん見てきた一平。
その教訓から、「ただ生きてさえいればいい」と思っていたはずなのに、
気づけば今度は、「島のために!」と命を危険にさらそうとしていたわけです。
辰雄に「守りたいんですよ!島も、命も!失いたくないんです!誰一人!」と言われるまで、島のために人が一人や二人死ぬのは仕方ないと思い込んでいた一平。
でも、そう思い込んでいたのは一平だけではない。他の炭鉱夫たちも、島の住民たちもそう思い込んでしまっていた。
そのことは、炭鉱長の放送を聞いていた島民たちの反応からもわかります。
「3日前に発生した火災。工員、職員共に消火に当たりましたが火は消えていません。
ガスも充満しています。よって、消化は不可能と判断しました。
これ以上は不測の事態を招きかねない。
全員、鉱内から撤退するよう指示を出しました。
撤退が済み次第、深部区域は水没放棄します。
これ以降、端島炭鉱では採炭ができなくなるということです」
これを聞いた炭鉱夫たちは「どういうことだ!」と激怒し、
島民たちは「島はどうなる?」「島が…」「端島が終わる…」と動揺します。
みんな火災の鎮火に当たる「炭鉱夫の命の危険」を案ずるより先に、「自分たちの生活」を心配している様子です。
しかし、その後に続く炭鉱長の放送が、島民の「忘れてしまっていた大事なこと」を思い出せます。
「端島は炭鉱の島です。
石炭は、我々の財産。生きる糧でした。
しかし、本当の財産は、ここで生きている、働いている皆さんです。
もう石炭が採れなくても、端島が終わっても、命には代えられない。
これ以上甚大な事故を起こすわけにはいかない。
この3日間の皆さんの働き、そしてこの島で働くすべての人に敬意を表します。
ありがとう。
皆さんが生きている限り、この島の灯は消えません」
この放送を聞いて、「命に代えられるものはない」という大事なことを思い出した島民たち。
この描写がとても怖いなと感じました。
戦争という悲劇を経験したにもかかわらず、
時が経っていつの間にか「生活を維持するためには犠牲が出るのも仕方ない」と無意識に思うようになってしまう。
そうして気づかぬうちに、人はまた同じ過ちを繰り返す…。
消火活動から撤退する際、一酸化炭素中毒によって倒れてしまった進平。
進平の命はどうなってしまうのか…?
海に眠るタイヤモンド あらすじ(8話)
8話 あらすじ
1964年。爆発事故を食い止められず廃鉱し、4ヶ月が経った端島では、鉱員たちの多くが島を去り、残った者たちも希望を失いかけていた。
荒木家でも、長年の無理がたたり、一平(國村隼)が病床に伏してしまう。
島全体を重たい空気が包む中、鉄平(神木隆之介)は、未開発の石炭の層がある新区域を開発し、なんとか端島を復活させようと励むのだった。
そんな中、鉄平と朝子(杉咲花)は、人目をはばかりながらも長崎へ久々のデートに出かける。
良好な関係を築く2人だったが、鉄平の良からぬ噂も流れていて…。
一方、現代のとある病院。いづみ(宮本信子)は和馬(尾美としのり)の勧めで認知症のテストを受けていた。
いづみの秘書・澤田(酒向芳)は、和馬が良からぬことを企んでいるのではと目を光らせる。
そんな中、鉄平の消息を辿るべく、端島の記録フィルムや資料をオークションで漁っていた玲央(神木隆之介・2役)のもとに、働いていたホストクラブのメンバーが乗り込んでくる…!
引用元:Tver
8話 感想レビュー
進平の死によって、人生を翻弄されることになる鉄平
消火活動から引き上げる際、一酸化炭素中毒で倒れてしまった進平は、すぐに引き返した仲間によって搬送されたものの亡くなってしまった。
リナと息子のマコトを残してこの世を去ってしまった進平。
母・ハルは鉄平にこんな相談をします。
「リナと一緒になれん?
お父さん具合のようなかやろ?私だっていつどうなるか…リナさんとマコト二人だけじゃあ…。
マコトは進平の子どもばい。あん子が残したたった一人の。
進平だってあんたが父親なら喜んでくれるさぁ!」
朝子のことが好きな鉄平にとっては簡単に「うん」と言える提案ではないですよね。
もちろんこの時は曖昧に返事をして濁す鉄平。
しかし後日、それが現実となります。
マコトが病気にかかってしまい、リナに付き添い長崎本土の病院に同行した鉄平。
そこで、「マコトの出生届が出されていな事実」と、「進平とリナが実は婚姻届けを出していなかった事実」を知ることになります。
えー?!
まさに鉄平にとっては青天の霹靂!
当然事情を知りたくなります。というか、マコトの今後を考えれば知らなくてはいけませんよね。
ドラマ内では、「リナが鉄平にどこまで話したか」については描かれていません。
しかし、役場に「荒木マコト」としてマコトの出生届を提出し、健康保険証をもらっていることや、
後に鉄平がリナとマコトを船に乗せ、人知れず端島を出て行ったことから推測するに、
リナからすべて(リナがヤクザに追われていることと、進平がヤクザを殺したこと)を聞いたうえで、リナと婚姻し、マコトの父親になったものと思われます。
リナとマコトを守ることが役目となってしまった鉄平は、朝子とは距離を置きます。
これは鉄平にとって苦渋の決断だったことは言うまでもないでしょう。
本当は朝子に事情を伝えたい。けど事情が事情だけに伝えられない。
それがどれだけ辛いことだったか、想像しただけで胸が痛くなります。
「裏切られた」と感じる朝子
何もしらない朝子は、「鉄平とリナがまるで夫婦のように仲良し」という噂を聞いてヤキモキします。
それはそうですよね。
ついこの前まであんなに楽しくデートしていたはずなのに、いつの間にかリナと仲良くしていたら、「裏切られた」と思うのが当然。
そんなヤキモキ状態の朝子に寄り添ったのが、当時朝子の家の食堂で料理人をしていた、後に朝子の夫になる男・池ヶ谷虎次郎だったんですね。
鉄平と朝子の関係を知りながらも、朝子に対して密かに想いを寄せていた虎次郎。
彼にとって、鉄平とリナが仲良くなっていくことは好都合だったわけです。
どうして朝子と鉄平が一緒に慣れなかったのか。
どうして朝子が他の男性と結婚をしたのか。
そういった真実が、少しずつ明らかになっていくのは観ていて楽しいものです。
その人にとってのダイヤモンド
自分の保身のために、キャバクラで働くアイリをホスト・ミカエルに再び貢がせてしまった玲央。
玲央のせいで、アイリはホストクラブが斡旋する風俗店で働かされることになってしましました。
歌舞伎町界隈ではよく聞く話ですよね。
恐ろしいことですが実際にあることです。
ホストに近いメンズ地下アイドル界隈でも同様のことが行われています。
自分のしたことがどんなに卑劣な行為か自覚した玲央は、自身の勤めるホストクラブに侵入し、客を風俗に斡旋している証拠をつかみます。
しかし、急いで店を後にしようとしたところをミカエルに見つかってしまいます。
玲央はミカエルにこんなことを言います。
「生きてて楽しいんすかミカさん!生きてて楽しいんすかミカさん!俺楽しくないんっすよ。
ここで騙して騙されて、なんか、そういうのいつまで続けんのかなって。
なんか、いつ死ねるのかなって。ないっすかミカさん?
俺、もっとこう、思いっきり笑って、誰かのために泣いたり、幸せになってほしいって祈ったり、石炭が出てきてほしいって、心の底から願ってみたいんっす。
ダイヤモンド。
俺もダイヤモンドがほしい…」
みんな自分のことばかり考えてる現代。
自分が良ければ、いくら他人が不幸になろうが関係ないの?
それで思いっきり笑ったり泣いたりできるの?
現代を生きる身としては、そう問われている気がした。
自分にとってのダイヤモンドはなんだろうか?
海に眠るダイヤモンド 9話予告
最終話前半 あらすじ
いづみ(宮本信子)から、鉄平(神木隆之介)はリナ(池田エライザ)と駆け落ちをしたきり消息を絶ったと告げられた玲央(神木・2役)。さらにいづみは玲央に、2人が消えた“あの夜”のことを語り始める。
1965年3月。
新区域から石炭が出たことで息を吹き返した端島では、本格操業へ向けて張り切る鉄平の姿が。
しかし、鉄平が誠の通院のために度々リナと長崎へ渡っていたことで、島民たちの間では2人の仲を疑うよからぬ噂も立っていた。
賢将(清水尋也)からそのことを聞き、すぐに否定する鉄平。
しかしその裏で鉄平はリナと、誰にも言えないある秘密を共有していた。
そんなある日、朝子(杉咲花)は鉄平から「話がある」と呼び出される。
しかし約束の夜、仕事を終えた朝子のもとに、鉄平が姿を見せることはなく……。
鉄平と朝子の運命が分かれた“あの夜”、一体何が起こったのか。
引用元:Tver
最終話前半 感想レビュー
狂いだす歯車
リナを拉致しようと端島に潜り込んできたヤクザ者を殺害した進平。
その事実を知った鉄平はおもむろにお寺へと足を運びます。
鉄平「俺は弱くなったのかな?間違ってることをそれはおかしいって昔は言えてた。それが段々言えないことが増えていって…、兄貴が、兄貴は正しくないことをした。だけどきっと、その時に一番だと思えることをした。命がけで。そんな兄貴を俺が簡単に間違ってるって言っていいのか」
和尚「大きな山のような動かない強さ、それから、清濁ぜーんぶ受け入れる広い海のような心。進平はそういう人だったね」
鉄平「俺も、兄貴みたいになれるかな?」
和尚「鉄平。人は全宇宙の中でもたった一人の自分として産まれます。あなたはあなたの道を行けばよか」
兄の行為は正しかったのか間違っていたのか?と、鉄平が真剣に考える姿がとても印象的なシーンでしたね。
しかもその直後、まさか鉄平の身にも「究極の選択」を迫られる時がやってくるなんて…。
進平とリナの息子・マコトが拉致されてしまった荒木家。
鉄平はどうすべきか考えた末、ヤクザ者を呼び出して交渉を試みます。
ヤクザ者は鉄平に究極の選択を迫ります。
・ヤクザ者の弟を殺害したのが「進平」だった場合、進平の息子であるマコトを殺す。
・いつまでも弟を殺害した人間を言わないでいれば、「端島の住民」に無理やり聞きまわる。
そんなん無理!!
どう転んだって誰かが犠牲になるやん…。
そうこうしているうち、しびれをきらしたヤクザ者が、かごに詰められたマコトをナイフで刺したのです。
鉄平は咄嗟に「俺が…殺した」と言ってしまいます。
鉄平の言葉を聞いてにじり寄って来るヤクザ者たち。
そして一瞬のスキをつき、ヤクザ者を倒してマコトを奪還する鉄平。
事前にそう言うと決めていたのか、それとも咄嗟の判断なのかわかりませんが、
ヤクザ者の標的が端島の住民に向かないよう、マコトとリナにも向かないようにと、
鉄平は自分を犠牲にする覚悟で、ヤクザ者にこう言い放ちます。
死体は俺が1人で始末した!俺が全部ひとりでやったんだ!だから、これは俺とお前の問題だ。悔しかったら俺を殺してみろ!
かっこいい…!
かっこいいけど辛い…。
和尚から、「あなたの道をいけばいい」と言われた矢先だったのに。
この瞬間、もう「端島の荒木鉄平」としての人生を送れなくなってしまうなんて…。
最終話後編 あらすじ
鉄平(神木隆之介)が去った後の端島では閉山に向けての準備が着々と進んでいた。
朝子(杉咲花)は鉄平への思いを断ち切り新しい道を歩み始める。
一方、本土へと逃げた鉄平は全国各地を転々としていた。
鉄平は外勤としての日々を綴った日記を、久し振りに再会した賢将(清水尋也)へと託す。
現代、いづみ(宮本信子)と玲央(神木・2役)は依然として謎が残る鉄平の日記に記された足跡を辿り、再び長崎を訪れることに。
黒く塗り潰された字、破かれたページの本当の意味。
そこで2人が知ることとなる鉄平の思いとは。
70年の時を超え、愛と青春と友情、そして家族の物語がついに、結着する。
引用元;Tver
最終話後編 感想レビュー
鉄平と玲央の関係
これまでずーっといづみは「玲央は鉄平にそっくり。うりふたつ」と言ってきていたが、実際の鉄平の映像を見ると、まったく玲央と鉄平は似ていなかったことが判明する。
なんだかとてもリアルなオチだ。
いづみ「玲央と初めて会った時、子どもたちと喧嘩して家出して、そしたら、鉄平に似てるあなた…」
玲央「いやいやいや、似てないよ~」
いづみ「そう見えたの。すべてがむなしく見えるのは、きっと年を取りすぎたせい。玲央は私が青春を過ごしていた頃とそう変わらない年のはずなのに。ただ、声をかけたかったのかも。どうかした?元気ないね~って。外勤さんみたいに」
玲央「そっかぁ。俺は鉄平に声をかけられたってことかぁ」
いづみの記憶の中にいる鉄平に、玲央は声をかけられたんですね。
庭一面のコスモスと、軍艦島に残されたダイヤモンド
鉄平はヤクザ者から逃げ続ける人生を過ごし続けました。
「鉄平の人生とは何だったのか?」ついそんなことを考えてしまいます。
1990年頃に長崎に家を買い、2010年に亡くなる時、持ち家を寄贈したのだそう。
亡くなるまでの間、鉄平はボランティアでご老人や、親が忙しい子どもの話し相手をしていたのだそう。
亡くなる直前まで、鉄平は外勤さんをしていたのですね。
そして、庭一面に広がるコスモス。
その人生をかけて朝子のことを想い続けていた鉄平の愛を感じました。
いづみはコスモスを見てこう語ります。
誰もいなくなってしまったけれど、あるわ、ここに。私の中に。みんな眠ってる
あったかもしれない「未来」を想像するいづみ。
鉄平が朝子のために手作りした「ダイヤモンド」。
誰もいなくなった端島で今もそこにある…。
全ての伏線回収が最高過ぎました!!
人が人を想う美しさ、儚さ、そういったものを教えてくれるドラマだったなと思います。