2022年に社会現象を巻き起こしたドラマ「silent」のスタッフが再び集結!主演は目黒蓮。
月9ドラマ「海のはじまり」各話ネタバレ感想レビューを随時更新していきます!
【あらすじ】
東京の印刷会社に勤める月岡夏(目黒蓮)は、百瀬弥生(有村架純)という恋人と、平凡だが幸せな日々を過ごしていた。
ある日夏は、大学時代に交際していた南雲水季(古川琴音)の訃報を知らされる。
水季の葬儀に訪れた夏は、実は水季には6歳になる海(泉谷星奈)という名の子どもがいる事実を知ることに。
葬儀場を後にしようとしていた夏の元に、水季の母・朱音(大竹しのぶ)が海を連れて駆け寄り、告げられる。
「海の父親はあなたです」と…。
【脚本】 生方美久
【プロデュース】 村瀬健
【演出】 風間太樹、髙野舞、ジョン・ウンヒ
【出演】目黒蓮、有村架純、泉谷星奈(子役)、古川琴音、大竹しのぶ 他
もくじ
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(1話)
「silent」スタッフ再び集結!実力派キャストとともにつくる新たな「月9」
この月9ドラマ「海のはじまり」最大の注目は、何と言っても、【脚本・生方美久さん】×【演出・風間太樹さん】×【プロデュース・村瀬健さん】の「silent」チームによる制作と、「silent」で佐倉役を好演した目黒蓮さん主演ということだろう。
まず、主演の目黒蓮さん含め、キャスティングが最高すぎる!
目黒蓮さん演じる月岡夏の現恋人・百瀬弥生役に有村架純さん。
亡くなってしまう夏の元恋人・南雲水季役には、4月期ドラマ『アクマゲーム』でヒロインを演じるなど、最近注目を浴びている古川琴音さん。
水季の子・海役には、今回のようにチーム「silent」が集結して制作されたドラマ『いちばんすきな花』で、今田美桜演じる深雪夜々の子供時代を演じた泉谷星奈ちゃんが再び抜擢!
そして、水季の母・朱音役は、言わずと知れた実力派俳優・大竹しのぶさんが演じます。
さらに、池松壮亮さんや木戸大望さんなど、実力のあるキャストが脇を固める。
「silent」と共通する2つの要素
そして、この「海のはじまり」は、「silent」の醍醐味がたくさん引き継がれているので、最高のドラマになる予感がビンビンします!
「silent」と共通する部分は2つ。
1つは、好きな人に迷惑をかけないように「隠し事」をしていたこと。
もう1つは、時を経てその「隠し事」を相手が知ってしまったこと。
「silent」では、自分が聴力を失う病を患っていると知った目黒蓮が、彼女である川口春奈に迷惑をかけたくなくて、「好きな人がいるから別れてほしい」と告げます。それから時を経て、ある時偶然にも東京の駅で再開した二人。川口春奈は目黒蓮が耳が聞こえなくなってしまった事実を知り…という展開でした。
そして今回の「海のはじまり」では、水季が妊娠したことを夏に伝え、「堕胎同意書」にサインしてもらったものの、やはり水季は子供を堕ろすことはできませんでした。
(恐らく)子供を産み育てるため、夏に黙って大学を中退した水季。それを知った夏が水季にすぐ電話をかける。
すると水季は「別れてください。夏君より好きな人できちゃった。その人のこと夏君より好きで、ずっと一緒にいたいんだよね。夏君よりずっと」と夏に告げます。
この「夏君より好きな人」って絶対におなかの子供のこと。水季はきっと夏の人生に迷惑をかけたくなくて、1人で産み育てる決意をしたのだと思う。
そして6年の時を経て水季が亡くなり、あの時堕ろしたはずだった子を水季が産み育てていた事実を夏は知るところとなるのです。
夏の家に訪れる海ちゃん
海が自分の子供だと知り呆然としていた夏の家に、急に海が訪れます。
「なんでここ知ってるの?」と夏が尋ねると、「ママと来たことあるから」と告げる海。
ママと来たことある…?
葬儀の時に夏が海に見せていた過去の動画。それは夏と水季が交際していた時、海でのデートの際に撮ったものでした。その動画の中では、水季が「海だーい好き!うみー大好きだよー!」と思いっきり叫んでいる。
画面の中で楽しそうにはしゃぐ水季を楽しそうに観ている海。
泣く―!!!!これは泣くよ。
「海もママ大好き」って…。辛い…。
そして夏に向かって海が言います。「夏君は海のパパなんでしょ?」「夏君のパパ、いつはじまるの?」と。
生方さんの脚本
あと余談ですが、『silent』や『いちばんすきな花』の時には、脚本・生方さんが書く独特のセリフ回しが、かなり気になっていたのですが、今回の『海のはじまり』では、ほぼ気にならなくなっていたのも良かった!
今までの生方さんの書くセリフ回しってたとえばこんな感じ。
「そうだよね。そう。そうなんだよ。そういうことなんだよ」
「大根?大根って、あの、お味噌汁とかに入れる、あの大根?」
「分かるよ。うん。分かる。分かるからだよ。分かるから、今は、ね、ちょっと距離、置かない?って」
「あれ、なんででなんだろうね。許せないよね。ああいうことしてさ」
実際のセリフではないです。あくまでも雰囲気。でもニュアンスはこんな感じ。
分かる人には分かるはず!
登場人物のうち、1人が上のような喋り方なら違和感がないんですけど、主要キャスト全員、上のような喋り方なので、かなり気になっていました。
なので『海のはじまり』で、そこが気にならなくなったのはとっても嬉しい変化!
なんにしても次回が楽しみです♪
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(2話)
弥生と朱音の静かな怖さ
2話では、弥生と朱音が、動揺している夏に対して、静かに言葉で刺す姿がリアルだった。
〇夏が弥生に、海が自分の実の子であることを告げ、「こうなったのは、しょうがないことかもしれないけど、あの子のことちゃんと考えようって…」と言う夏の言葉に対して、「考えるって?父親になるかならないかってこと?認知するってこと?」と、刺すようなトーンで言い放つ。
〇海が夏に会いたいと言ってきかないので、喫茶店に夏を呼び出した朱音。そこで朱音が問う。
朱音「海、夫と近くの公園で遊んでます。どうします?」
夏「どうって…?」
朱音「海が会いたいって言ってて」
夏「なんで…?」
この夏の「なんで…?」という言葉を聞いた朱音は、呆れたように軽いため息をつき、にこやかに「なんでですかね」という言葉を夏に刺す。
どうしていいか分からず、混乱する夏の気持ちになってドラマを観ていると、まるで自分が詰められてるみたいで、息を飲んでしまう。
2話では夏は何度も「ごめん」とか「すみません」とか、弥生と朱音に謝ってばかりいるのも印象的だ。
弥生の過去
また、話の後半で弥生が昔、人工中絶をしていた過去があることが明らかにされる。
それを知ってから、夏が弥生に「当時、水季が妊娠していたことを知っていた」ことと、「人工中絶同意書にサインしたから、堕ろしたものだと思っていた」ことを告白したシーンを観返すと、心が苦しくなる。
夏「正直ホッとした。ずっと自分が殺したんだって思ってたから」
弥生「殺したなんてことは…」
夏「あるよ」
弥生「その頃まだ20歳とかでしょ。そういう選択するの珍しいことじゃないと思うし、悪いことじゃないと思…」
夏「歳とか関係ないし、自分の意志で同意したし。もっと話し合えばよかったって。もっとできること考えてれば一緒に育てる事だって…」
リアルタイムで観てると、「夏の実直な思いを受け入れたいのに、海ちゃんの存在を受け入れられない」葛藤に弥生は耐え切れず、思わずトイレで泣いてしまったのだと思っていた。
でも、弥生の過去を知ってからこのシーンを観返すと、夏の言葉一つ一つが、堕胎経験のある弥生の心をえぐっている…。
夏に会いたがる海ちゃん
そしてなんと言っても、海ちゃんが夏に会いたがってる姿が愛おしすぎる!
朱音に「黙って勝手にどこかに言っちゃダメ」と言われた海ちゃんは、後日「(鳩サブレ)夏くんも好きかな~」と言って鳩サブレを持って「お出かけしてきます!」と朱音に申告して、夏の元に向かおうとします。
そういうことじゃないのよ~!笑。と思いながらも、夏に会いたいという気持ちに真っすぐな姿が本当に可愛い!
朱音が夏を喫茶店に呼び出したものの、海ちゃんが来る前に夏が帰ってしまい、一人残っていた朱音に対して「夏くんは?」と言った時の悲しそうな顔…。
話の最後で、海に会うため朱音の家に来た夏。水季の仏壇前に座っている夏の姿を見た海ちゃんが、立ち尽くした後、駆け寄って夏に抱くシーンは、もう「良かったね~」という感想しか出てこなかった。
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(3話)
気持ちの整理がつかない人たち
3話では、色んな人の気持ちがぶつかりつつも次第にほどけていく。
個人的に3話で印象に残っているシーンは、津野さんが夏に対して「すぐ謝んないでください。意地悪してる気になって気分悪いんで」と言い放つところ。
というのも、1話から色んな人に謝罪しまくる夏に、いい加減だれか「謝るのやめてください」って言わないかな?と思っていたのだ。3話にしてやっと津野さんが言った!小さな伏線が回収されたくらいスッキリ!
それから同じシーンで、津野さんが夏に対してひたすら冷たい態度を取り続けた後、「すみません感じ悪くて。そちらもそうだと思いますけど、まだ感情がぐちゃぐちゃで。別に怒ってないんですけど、イライラした感じになっちゃって」と言って、最後は津野さんが夏に謝るところが、とっても生方さんっぽい脚本だなと感じた。
生方さんっぽいっていうのは【主要キャラに嫌な奴が一人もいない】ってこと。
たとえ意見が対立したり、一時的な感情で八つ当たりしてしまっても、最後にはきちんと「あの時の自分はどうかしていた。ごめんなさい」と相手に謝れる人しかいない。だからどのドラマも後味がいい。
夏と海ちゃん
もう一つ印象に残ってるシーンは、夏と海ちゃんが二人で海辺で話すシーン。
夏「パパいつはじまるのって聞いてくれたけど、はじめてほしいってこと?パパになってほしいってこと?」
海「うううん。夏くん、パパやらなくていいよ!でも、いなくならないで…。ママとパパ一人ずつしかいないから、だからいなくならないで」
夏「パパだから、いなくならないでほしいけど、パパやらないでいいってこと?」
海「うん」
というシーンでジーンとしてからの、
夏「ごめん…、パパやるって、なに?」
海「わかぁんない…」
には、ちょっと笑ってしまった。
たしかにパパやるってなんだろう?
あとは弥生が、夏と海ちゃんに対して疎外感を感じる描写がしんどかった。
血のつながりだけが親子じゃない。そう思っていても、海ちゃんが「夏を見る目」と「弥生を見る目」は違うわけで…。
さらに海辺のシーンで、夏と海ちゃん二人の関係がより深くなってしまったら…。
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(4話)
「産む決意」と「堕ろす決断」
4話は、未婚で妊娠した水季と弥生、二人が子どもを産むかどうか葛藤する様子が描かれていました。
印象的だったのは、二人の境遇が真逆だったこと。
水季はもともと堕ろすつもりでいたものの、夏や両親といったまわりの人たちが、「産まないの?本当にそれでいいの?」と、出産することにわりと前向き。
一方で弥生はもともと産むつもりでいたものの、彼や弥生の母親は「まさか産まないよね?無理だから」と、出産することに否定的だった。
周囲の気持ちを汲んで、自分の気持ち押し殺してしまった弥生が、ずーっと堕胎したことを後悔している様子を見ると、やはり、「自分がどうしたいのか」自身の心に問いかけることって大事なんだな。
相手の気持ちを想像しすぎるより、自分の気持ちを大切に
夏の気持ちを想像しすぎて、どうしても夏からの連絡に返信できない弥生。弥生から返信が来なくてウジウジしている夏。そんな二人を見かねて、海ちゃんが弥生に電話をかけるシーンが泣ける。
海 「ケンカしたの?」
弥生「してないよ」
海 「夏くんが悪いこと言ったの?」
弥生「ううん。違うよ。私がね、悪口言っちゃったの。それで傷ついてるんじゃないかな。会えなくて寂しいとかじゃないと思うよ」
海 「夏くん、好き?」
弥生「うん。好きだよ」
海 「海も!」
弥生「そっか、一緒だね」
海 「じゃあまた、3人で遊ぼう」
弥生「うーん、どうかな」
海 「ママじゃないからダメなの?弥生ちゃん、海のままじゃないから夏くんと一緒にいれないの?海のせい?」
弥生「ちがうよ。海ちゃんはなんにも悪くない」
海 「弥生ちゃん悪くないって、夏くん言ってたよ。誰も悪くないのに、みんな好きなのに、夏くんと一緒にいちゃダメなの?」
弥生「そうだよね。そういうことじゃないのに。自分が許せないなんてね。そのまま、自分だけその気持ち持ってればいいだけだよね」
相手の気持ちは相手にしか分からない。
そんな当たり前のことを忘れて、「相手はこう思うんじゃないかな…?」という想像を、まるで現実のように捉えてしまう弥生に、『自分が「好き」「会いたい」「一緒にいたい」「話したい」と思う気持ちを大切にしよう』と、海ちゃんが教えてくれたみたいで、弥生と同じ思考タイプの僕はハッとさせられて泣いた。
大人になると、シンプルなことを複雑に複雑に考え過ぎちゃうから、海ちゃんの無垢な言葉が染みます。
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー (5話)
シングルマザーの美容院
5話の中では、「美容院に行きたくてもなかなか行けない。とはいえ、行ったら行ったで子供に対して申し訳なさがある」というようなセリフが3度登場する。1度目は、水季が海と2人で生活していた頃の回想シーン。2度目は、夏の母・ゆき子が、シングルマザー期間のことを夏に語るシーン。3度目は、弥生が通う美容院でたまたま居合わせたシングルマザーの人が、お店の人と会話しているシーン。
本当は身なりを綺麗にしたい。でも自分のことに時間やお金を費やすのはもったいない。それよりも子どものためにお金も時間も使いたい。
そんなお母さんたちの想いを、「美容院に行けない」というセリフにして、3度に渡って差し込んでくるあたり、よっぽど”シングルマザーが金銭的にも時間的にも余裕がない”ということを、伝えたかったことがうかがえます。
母の正論
5話にしてやっと、夏が両親と大和に海ちゃんの存在を伝えます。
そこで母・ゆき子が夏に放った言葉が正論過ぎて、ぐうの音も出ませんでした。
母「なにそれ。お母さん何も聞いてないんだけど」
夏「心配かけると思って」
母「隠したの?学生の分際で、彼女妊娠させて。まわりに隠して中絶させたの?」
夏「中絶させたわけじゃ…」
母「同意してそうしたってことは、あんたがそうさせたってことなの」
母「中絶が悪いって言ってんじゃないの。産むのも堕ろすのもその子なんだから。あんたの意志なんてどうでもいいの。でも、産むって言われたら?どうしてた?それでも隠した?…心配かけると思ったんじゃないでしょう?隠せるって思ったのよ。男だから、サインしてお金出して、優しい言葉かけて、それで終わり。体が傷つくこともないし。悪意はなかったんだろうけど、でも、そういう意味なの。『隠した』って、そういう意味なの」
母の言葉に、父と大和が「でも、堕ろしたわけじゃないんでしょ?産んだんでしょ?」とフォローにまわるも、母にピシャリといい退けられる。
母「だから言ってんの。ああ良かった、生きてたんだーって、『罪悪感がなくてスッキリ』って、そんなのんきなこと思うの、お母さん絶対許さない」
さすが母親である。
夏は、どこか自分の行動や言葉に責任を持たないところがある。
相手の意見に合わせたり、自分の気持ちを控えめにする姿は一見優しい。だけど実は、そうやっているのは「よけいな争いごとを避けたい」「自分の言動に責任を持ちたくないから、誰かの意見に乗っかったほうが楽」という心理からきていたりするのではないだろうか。
夏のそういう責任逃れな姿勢を、母はピシャリと𠮟りつけていたわけだ。
「いた人がいなくなる」ことで変わってしまうこと
5話では、水季の死因が「子宮頸がん」だと判明する。
水季が病にかかる前、水季と海ちゃんのまわりにいたのは、水季の勤め先である図書館の同僚たちと、海ちゃんの学校関係の人たちだけだった。
それが水季が病に倒れてからは、水季の両親が、水季と海ちゃんのまわりに現れる。そして水季が亡くなってからは、夏や弥生、さらに夏の両親が海ちゃんのまわりに現れ、水季が勤めていた図書館の同僚たちとは疎遠になってしまったわけだ。
水季がいなくなってしまったことで、海ちゃんのまわりにいる人たちが変化している。
もし今後、海ちゃんが転校しなければならなくなったら、海ちゃんをとりまく環境は丸っきり変わってしまう。
「いた人がいなくなる」ということは、人と人の関り・繋がりを変化させてしまうものなのだ。
うみのはじまり ネタバレ!感想レビュー(6話)
ノートで繋がっていた水季と弥生
6話のサブタイトルにもなっている水季が出産を決めた理由。
これまでの流れでは、母・朱音の母子手帳を読んだことで気持ちが変わったと思われていた。
しかし実はそうではなかった。
中絶手術のために産婦人科に訪れた水季。待合室にあった「ご意見ノート」を手に取り中を開いてみる。
出産の喜びメッセージが並ぶ中、『妊娠9週で中絶をしました』という書き出しの感想に目を留める。
実はその感想メッセージを書いたのは弥生だった。
≪妊娠9週で中絶しました。強い罪悪感に襲われています。彼がああしてくれたら、母がこう言ってくれたらと、罪悪感を他人のせいにしてしまい、そんな自分にまた落ち込みます。まるで自分が選んだように振る舞っていただけで、実は他人にすべてをゆだねていました。人に与えられたものを、欲しかったものだと思い込むのが私は得意過ぎました。後悔とは少し違う。でも、同じ状況の人に同じ気持ちになってほしくありません。他人に優しくなりすぎず、物分かりの良い人間を演じず、ちょっとズルをしてでも自分で決めてください。どちらを選択したとしても、それはあなたの幸せのためです。あなたの幸せを願います。≫
このメッセージを読んだ水季は、読まずにいた母・朱音の母子手帳を読んでから、”産むか””堕ろすか”決めることにしたのでした。
つまり、水季が弥生のメッセージを読まなければ、海ちゃんを産んでなかったということ。
そして巡り巡って今、海ちゃんのそばには弥生がいる。
なんという奇跡。偶然。
その人らしさ
6話では、それぞれの登場人物の”らしさ”が言語化され、より分かりやすく印象付けられています。
夏の場合
夏「人に合わせちゃうんです。自分で決めるの苦手で。昔からずっとそうで。待つのも、待ってないで自分から動けって、仕事でもよく怒られたり。あと、自由過ぎるのも苦手で。ある程度やること決まってる方が楽に思っちゃうというか。」
弥生の場合
弥生「この性格だから、産んでたとしても一人で全部完璧にやろうとして、結果自滅してく未来が見えてる」
夏「弥生さんは…」
弥生「そうなりそうでしょ?」
夏「抱え込むから」
弥生「だから、産まなかったことが間違いだとは思ってないの。正解とも思ってないけど」
水季の場合
弥生の記したメッセージを読んで、中絶することを一旦止めることにした水季がぽろっとつぶやいたセリフ。
水季「あんまりないんだけどなぁ。人に影響されること」
生前、朱音との会話の中で。
朱音「(子供ができたら)自分の時間なんてなくなるのよ。全部子供に合わせて、水季絶対に向いてない。あんたみたいにマイペースな子は一番子育てに向いてないの。」
朱音「あんた本当他人の影響受けなさすぎ。普通もうちょっと気持ちが揺らいだりするでしょう?」
人に合わせる夏。
人からの評価を気にしすぎて自分を見失いやすい弥生。
人の影響を受けず、自分の意志で動く水季。
あえてそれぞれの性格を言語化するのは、終盤に向けて夏や弥生がどう変化していくのかを分かりやすく伝えるための布石なのだろうか?
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(7話)
近くにいる人が一番ツラい
7話は津野と水季の出会い~水季が亡くなるまでの回想がメインの回でした。
印象に残っているのは水季が津野に放った言葉。
津野「大変じゃない?そんな小っちゃい子、一人で。無理しないでね」
水季「無理です。みんなそう言うんですよね。大変だね、頑張って、でも無理しないでねって。いや無理しなきゃ子供も私も死んじゃうって」
津野「ごめん。無神経に」
水季「八つ当たりしました。すみません」
それまで職場の同僚とはある一定の距離を取っていたであろう水季。一人で海ちゃんを育てることに泣き言を言わなかった水季だったが、思わず津野に本音をぶちまけてしまう。
でもそれがあったから、そこから津野が海ちゃんの面倒をたまにみるという関係が始まったのでした。
津野は傍から見ても明らかに水季に気があることが分かる。水季はそんな津野の気持ちを利用しつつ海ちゃんをお願いしていました。
恋人や夫婦ではないけれど、海ちゃんを通して近い関係だった水季と津野。
そして水季の病気が発覚し、痛みに耐えてながら残りの人生を懸命に生きる水季を間近で見てきた津野。
亡くなる間際近くにいる人が、その人がいなくなった現実を一番受け入れられないということが、水季が亡くなった連絡を受けた津野の苦しそうに泣く姿から伝わってきました。
そして津野がしきりに言っていた「どんなに近くにいても他人だから」という言葉。
この言葉を津野が何度もこぼすようになったのは、ある出来事がきっかけだったみたいです。
それは水季が亡くなったあとのこと。
水季と海ちゃんが住んでいた家に訪れた津野。そこには海ちゃんの私物や遺品などを整理する朱音の姿がありました。そんあ朱音を手伝おうとする津野に対して朱音が言います。
朱音「触らないで。家族でやるんで。大丈夫です」
「あなたは他人」という現実を突きつけられたわけです。
「どんなに近くにいても他人だから」とこぼすようになってしまったのも当然ですね。
でも、朱音も無意識に言った言葉。
そして津野も深くとらえてしまった結果。
だれも悪くない。
自分で決められないこと
水季は入院中、お見舞いに来てくれた津野にこんなことを語りだします。
水季「自分で選べないのって、産まれてくるかどうかってことぐらいだと思ってたんです。お母さんと喧嘩すると、すぐ私が産まれたときの話になって本題とすり替えんの。産んでくれとか頼んでないし。ウザとずっと思ってたんだけど、海のことも産むかどうか私が決めるしかなくて」
水季「でも、自分で決められないのもう一個ありました。いつ死ぬかは選べないんですね。生まれるのも死ぬのも選べない。今ちょっとだけわかるんですよ。自殺する人の気持ち。死にたくないのに分かるんですよ。自分で選んでその道…」
水季「ここ(病院)にいてちょっと長く生きるより、海と一緒にいる時間がちょっとでも増える方がいい」
産まれてくることと亡くなることは選ぶことができない。
亡くなるまでをどう生きるか、それしか水季に選べることはないと思うと切ない。
そして水季が病院から実家に戻って最後の時を過ごします。その際、海ちゃんに関する情報を母・朱音に託すのですが、そのシーンで涙腺が崩壊。
水季「私いなくなったら(海が)甘えると思うけど、甘やかさないでね」
朱音「海のこと以外は?」
水季「他はいい。お母さんに頼みはないし」
朱音「そう。まぁ海のことで心配がなくなったらそれが一番よね」
水季「うん…」
朱音「何?何かあったら言いなさいよ。今さら気遣うことないでしょ」
水季「海のこと、不安なことなくなったら、急に怖くなっちゃった。死ぬの、急に怖くなっちゃった。安心していけるみたいな、そういう感じになると思ったのに、急に…」
それまで気丈に振る舞っていた水季が、母の前で本音を吐露して泣き出す姿は涙なしには見ていられなかった。
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(8話)
実の父と最悪な再会
夏の実の父・溝江基春(田中哲司)との再会が8話のメイン。
しかしこの基春がとにかく軽い。観ていてとてもイラっとしました。(笑)
実の父が夏に残してくれた唯一の物がフィルムカメラだったことから、夏は「実の父はカメラが趣味」だと思っていました。
しかし再会して話を聞いてみると、基春の趣味は釣り、競馬、ときどき麻雀らしく、写真は趣味ではなかったのです。
そして基春は面倒くさそうにこう夏に告げます。
基春「あ、やめてね?愛してたかどうかとかそういう話なしね。産んでもないし自分の子って保証もないだろ、男親なんて。(海ちゃんが)おまえの子かどうかわかんないよ」
夏が海ちゃんの手を取り握る。
基春「あ~、名前何だっけ?」
海「うみ!」
基春「うみ(笑)変な名前(笑)母親が変わってんだな(笑)」
へらへらと水季や海ちゃんを小馬鹿にする発言をする基春に、内心ブ千切れる夏。観ているこちらもブチ切れ。
いや~夏はよく堪えたと思う。僕だったら確実に手元にある飲み物をぶっかけてる!
夏は怒りを堪え、店の外に待機してもらっていた大和に連絡して、海ちゃんを連れ出してもらいました。
夏と二人きりになった元春は、なおも水季を小馬鹿にし続けます。
基春「あんなちっこい子いてなんで再婚とかするかねぇ~。あれ?二カ月前に知ったって言った?なにそれ?マジ?それ絶対お前の子じゃないぞ。女ってそうだろ。ずるいよな~。産めるってずるいわ~」
この発言に夏はブチ切れ。お店の椅子を蹴り飛ばします。
もしこれがアドリブだとしたら目黒蓮すごすぎる…!
もちろんお店の椅子を蹴り飛ばすのは良くないけど、夏のブチ切れる気持ちはよく分かる。
基春がどんな心持ちで夏に会いに来たのか分かりませんが、たとえ照れ隠しだとしても最悪な空回り方。
こんな父親に育てられなくて良かったね夏!という気持ちになりました。
夏の本音
フィルムカメラの現像をお願いしている写真屋の店主に促され、嫌々ながらも基春が釣りをしているという釣り堀に赴く夏。
そこで、「いつも予測不能な動きをする赤ちゃんの夏が面白くて、その面白い夏を記録に残しておこうとフィルム写真を買って撮っていた」というようなことを語り出す基春。
テキトーな感じの基春のペースに次第に乗せられる夏は徐々に今まで抱えていた本音を吐露していきます。
夏「めんどくさいことになったって思ったんです。堕ろしたと思ってたから、生きてたと分かってホッとしたけど、でもただ自分の罪悪感から解放されただけで」
基春「めんどくさいよな」
夏「今もう3年くらい付き合ってる人いて、普通に結婚とか考えてたし」
基春「アッチャ~」
夏「ほんとにもう全部、タイミングというか最悪で」
基春「最悪だ~」
夏「知らなかったこと責めてくる人もいるし」
基春「隠されたってのも被害者だけどな」
夏「みんな悲しそうで。俺よりツラそうで。でもたぶんみんなほんとに俺よりツラいから」
基春「どうかね」
夏「しかも優しいから。言えない。こういうの言えない。怒ったり、わがまま言ったり、その人たちより悲しそうにできない。俺だって悲しいのに。嫌いになって別れたわけじゃない人を、そのまま一回も会えずに死んで、子どものことも病気もなんも知らないまま死んで」
テキトーなノリの基春と話すことで、心に秘めていた心の内をポロポロと吐き出す夏。
水季の身近にいた人たちの悲しさを考えると、うかつに「悲しい」なんて言えない空気なのはたしかにそうだなと思う。
朱音や津野に責められて「ごめんなさい」ばかり言っていた頃の夏。その時の苦しい気持ちをバーっと吐き出せて良かった。
基春は正真正銘ダメな父親だけど、だからこそ夏は吐き出せたわけで。やるやん基春!
溜まっていた心の内を全部吐き出して、基春に「俺とは違って、お前はちゃんと父親としての責任持ってんじゃん」というような言葉をかけられた夏は、海ちゃんのパパになると決意したのでした!
しかし夏とは裏腹に、それまで「海ちゃんのママになりたい」と言っていた弥生が意見を一変しそうな予感…。次週予告では「(海ちゃんのママになるの)ちょっと考えさせてほしい」と言っていたし、夏と弥生は果たしてどうなるのでしょうか?
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(特別編)
目黒連の活動休止にともない、8月26日に放送予定だった第9話が延期に。
代わりに特別編として「恋のおしまい」をO.A。
目黒連の体調不良によって急遽制作されたであろう特別編だし、きっと今までのダイジェストにちょこちょこ水季と津野の話が入ってくるのかなぁと思っていたら、ぜんぜんそんな簡素なモノじゃなかった。
もう「これが9話ですよ」って言われれば「ああそうなんですか」って納得しちゃうくらい、本編と変わらぬ丁寧さで作られていて感動。
ペディキュア
津野のことが好きだと自覚している水季。でも、海ちゃんがいながら恋をしていいのか分からず自制。
それでもある時、津野と初めて二人でデートへ行くことに。
100均で買ったペディキュアを塗って。
しかし、ファミレスでご飯を食べてても、プラネタリウムを観に行っても、どこで何しててもつい海ちゃんの話をしてしまう水季。
そんな水季に何度も「いいよ」と言う津野。
水季のペディキュアを見た津野が「かわいい」とつぶやく。
すると水季は語りだします。
水季「爪に色塗るの大学生ぶりで。子どもいると自分に色がなくなっていきます。部屋とか、子どものものでどんどんカラフルになっていくのに、通帳とか見ちゃうと人生お先真っ暗みたいな。頭の中真っ白みたいな」
たぶんなんでも「いいよ」と受け止めてくれる津野だから、水季はつい、普段言いたくても言えない心のモヤモヤをポロポロ言ってしまうんでしょうね。
津野と恋愛できない理由
デートの最後に、「うちに帰って、海がいるとできないことしたいです。津野さん手伝ってください」と、自宅に津野を招いた水季。
いい感じの雰囲気になる中、水季は茶化してごまかします。
そして自分が津野と恋仲になれない理由を語りはじめるのです。
水季「海がいるから絶対忘れらんないです」
津野「誰を?」
水季「よく言う、女の恋は上書き保存ってやつ?あれ大嘘ですよ。別ファイルだし、海と共有してるし」
津野「いいよ別に」
水季「好きだなって思うたび、思った直後に毎回そっちも思い出しちゃうの。嫌でしょそんなの」
津野「嫌だけど、いいよ」
水季「いいよいいようるさいなぁ」
津野「いいからほんとに」
水季「津野さんのためを思ってとかじゃないんです。相手のためを思うなら付き合いますよ。両想いなんだから。津野さんとか、海とか、あとその父親とかに申し訳ないとかそんなことちょこっとしか思ってないです。自分がイヤなんです。今になって恋愛してるのも、それでいちいち前のこと思い出しちゃうのも嫌なんです」
津野「そんなの、南雲さんが勝手に嫌なだけで、俺が気にしなきゃいいんでしょ」
水季「今はまだいいんです。これからですよ。今はぎりぎり大丈夫だけど…」
津野「なに?」
水季「二人きりになりたいな。子ども邪魔だなぁ。この子じゃなくて、この人の子どもが欲しいなぁって思うようになっちゃうの怖いんですよ。海がずっと一番って決めて産んだから」
水季「半分は無意識だけど、半分はわざとです。海の話するの。忘れちゃうの怖いから。二人でいるの楽しーってなりすぎるの怖いから。ごめんなさい」
津野「いいよ」
津野と真剣に恋をした先に、海ちゃんを忘れてしまうんじゃないかという恐怖があると語る水季。
そんな話にも「いいよ」と返す津野。
自分の意見がなくて、ずっと水季の意見に「いいよ」と従う津野の姿が夏と重なった。
ママが大好きな海ちゃん
海ちゃんって、見せたい物がある時、「見て!」と言ってから物を出して見せるんですけど、それと同じことを水季も何回かやってて、それを見たとき「ああ、あれはママのクセを自然と真似してたんだ海ちゃん」って気がついて、ほんわかした気持ちになった。
それから、津野とデートに行くため水季の実家に預けられた海ちゃんは、祖父母と水族館に行くことに。
それを聞いた水季は、「海の初めての水族館、初めてのイルカは一緒に観たかったのに手…」と津野にボヤキます。
夕方、実家に預けた海ちゃんを迎えに行く水季と津野。
その帰り道で、津野が海ちゃんに「次は遊園地とかがいい?」と訊くと海ちゃんは「また水族館がいい!」と言うのです。
「違うところがいいんじゃない?」と水季が尋ねると海ちゃんは、「ママとまだ行ってないから。イルカ見るの我慢した」と言うのです。
これは泣く―!!!
初めてのイルカはママと見たいって…なんて可愛い子なんだ。
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(9話)
好きだけど、好きだから一緒にいられない
9話の物語の焦点は間違いなく弥生です。
弥生が今後、夏と海ちゃんとどう関わっていくか悩み、決断する回。
先に感想を言うと、観ているのがめちゃくちゃしんどかったです。
あれですね。「silent」を観ていた方は分かると思いますが、湊斗(鈴鹿央士)が、紬(川口春奈)に伝えたのと同じものがあります。
自分は相手のことは大好き。だけどその大好きな人の心には別の人がいて。
好きな人と一緒にいるはずなのに、会えばずっと嫉妬したり悔しい気持ちになったりしちゃう。
好きな人といる自分が大嫌いになる。
好きな人といると嬉しいはずなのに苦しくなる。
好きだけど。好きだから。もう一緒にはいられない。
そんな複雑な心のモヤモヤを解決したのは、ほかでもない、弥生自身の言葉でした。
水季の手紙に記された”弥生の言葉”
夏から渡された水季が書き残した手紙を渡された弥生。
「夏くんの恋人へ」と書かれたその手紙を読んでみると、後半の文章の中に、以前弥生が中絶を決意した際、産婦人科の「ご意見ノート」に書き記した言葉が綴られていた。
「他人に優しくなりすぎず、物分かりの良い人間を演じず、ちょっとズルをしてでも自分で決めてください。どちらを選択したとしても、それはあなたの幸せのためです。」
決断に悩んだ時は、自分の幸せを考えて選んでください。
それはまさに自分自身が「ご意見ノート」を通して、中絶するか悩んでる人に向けて書いたメッセージでした。
「海と夏君の幸せと同じくらいあなたの幸せを願います。」
思いがけず自分の書いた言葉が水季を通して返ってきた弥生。
決断して夏の家に向かいます。
そして、自分が抱えていたモヤモヤ、悩みを全て伝えたうえで
「海ちゃんのお母さんにはなれない」
「月岡くんとも別れたい」
と伝えるのでした。
予想外の展開だけど「そうだよなぁ」とも思う。
好きだからこそ一緒にいるのが苦しい。だから一緒にはいられない。
好きなのに別れなければいけない苦しさが画面から伝わってきて、ドラマを観終わった後の喪失感がすごかった。
しんどいけど、個人的にこの9話は「silent」以来の神回でした。
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(10話)
誰も傷つけない選択なんてない
夏は、海ちゃんと一緒に暮らしたいと思っている。
海ちゃんは、今の小学校を転校したくないと思っている。
水季の両親(特に父)は、海ちゃんとこのまま一緒に暮らしたいと思っている。
もし海ちゃんや水季の両親の希望を叶えるとすると、夏は東京の仕事を辞め、小田原付近で再就職先を見つけなくてはいけない。
もし夏が、東京の仕事を続けたまま海ちゃんと二人で暮らすことになれば、海ちゃんは転校しなくてはいけないし、水季の両親の家も出て行かなければならない。
自分の希望を尊重すると、海ちゃんや水季の両親を傷つけることになる。だったら自分が犠牲になればいいと思っていた夏。
そんな夏に弥生がこんな言葉を投げかける。
弥生「妥協とか諦めとか、大事なものを優先するためには必要なことだよ。自分だけが犠牲になればいいってことじゃない」
弥生「水季さんも言ってたよ。誰も傷つけない選択はないし、でも、自分が犠牲になればいいって事でもないよって。だから私は(夏と別れたことで)ふたりのこと傷つけたと思うけど、後悔はしてない」
どんな選択をしても必ず誰かが傷つく。
誰かが傷つくことを恐れて自己犠牲に走っても、結局は自分の心身がボロボロになってしまい、周囲の人に迷惑をかけることになりかねない。
最終的に夏は弥生の言葉を受け止め、
海ちゃんを水季の実家から引き取り、東京の学校へ転校させる決意をする。
そして夏は海ちゃんにも選ばせる。
「このまま水季の実家に住み、夏とは離れて暮らす」か「転校して、夏の家で二人で暮らすか」と。
海ちゃんは「転校して、夏の家で二人で暮らす」を選んだのでした。
「誰も傷つかない選択なんてない」という言葉がとにかく強烈でした。
どんな選択をしたとしても正解もないし間違いもない。傷つかない人がいれば傷つく人もいる。
そんな当たり前だけど、いざという時忘れてしまう大事なことを教わった気がしました。
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(11話)
言葉の難しさ
夏が住む東京の経堂で一緒に暮らすことになった海ちゃん。
二人で楽しく暮らしていける…と思っていた矢先、海ちゃんが突如家出してしまう。
行先は水季がかつて勤めていた小田原の図書館。
そこで海ちゃんは津野にこんなことを打ち明ける。
海ちゃん「ママがいた話すると、夏くんママいないって言うの。海もいないのはわかってる。津野君、ママいたのわかるよね?」
津野 「わかるよ。一緒にいたから」
海ちゃん「夏くんわからないみたい。水季はもういないから、二人で頑張ろうって。水季の話しなくていいよって。ママのこと忘れた方がいいの?」
この海ちゃんのセリフを聞いて、「え?夏そんなこと言ってたっけ??というかそんなひどいこと夏が言う??」と思って、11話を最初からもう一度見返してみた。
しかしやはり少なくとも11話の中では、夏はそこまでのことは言っていない。
どちらかというと、海ちゃんの方から「ママいないのに?」「ママいなくても?」と夏に問いかけている。
そんな海ちゃんの質問に対して夏は、海ちゃんを安心?励ます?ために、「パパがいるから大丈夫」「これからは二人で頑張ろう」と伝えている。
だけどその海ちゃんを安心させる・励ますために言った言葉が、海ちゃんには「水季はもういないから」「水季の話はしなくていいよ」という言葉に聞こえてしまったんだろうと思う。(もしかしたら10話以前、もしくはドラマでは描かれてない部分で言った可能性はあるけども)
どうしたらいいの…?八方塞がりの夏
水季と一緒に過ごした場所が恋しくてたまらない海ちゃん。
夏はなんとかして、「東京の自宅へ一緒に帰ろう」と促すのだが、海ちゃんは拒む。そしてこんなことを夏にこぼす。
海ちゃん「海のせいでみんな寂しいって」
夏 「みんなって?」
海ちゃん「海がいるからお別れしたんでしょ?」
夏 「弥生さん?海ちゃんが悪いわけじゃないよ」
海ちゃん「でも、海がいるからでしょ?おばあちゃんとおじいちゃん、海が夏くんのとこ行くって言ったせいで寂しくしてる。津野君も言ってた。家も学校も遠くなるし会えなくなるねって。海、夏くんといないほうが良かった?みんなそう思ってる?」
夏 「思ってないよ」
海ちゃん「みんなが寂しいの海のせい?」
海ちゃんは、夏が弥生と破局したのは自分のせいだと思っているよう。さらに、自分が夏と暮らすことで、寂しい思いをする人たちがいるとも思っているようです。
そしてこんな悲しい言葉を夏にぶつけます。
海ちゃん「海、最初からいなければよかった?」
自分のせいでみんなが苦しんでいると思い込んで、「自分がいなければいいんじゃないか」とまで考えている海ちゃん。
父親として一緒に暮らしたい。
だけど今のままでは、「周囲の人が寂しいのは全部自分のせい」と海ちゃんが感じてしまう。
でも、東京の会社を辞めて小田原に住み、転職するという自己犠牲的な選択を夏がしたところで、それもまた海ちゃんに責任を感じさせてしまう結果になる。
まさに八方塞がり。
はたして夏はどんな選択をするのか?
まさか最終回直前まで、夏と海ちゃんが一緒に暮らしていくのかどうかわからないなんて思わなかった。
最終回が楽しみ!
「いちばんすきな花」とのスペシャルコラボ
海のはじまりではたびたび、同スタッフ制作のドラマ「silent」と「いちばんすきな花」とのスペシャルコラボがある。
以前5話で、弥生が行きつけの美容院として、「いちばんすき花」の登場人物・深雪夜々(みゆきよよ)(演・今田美桜)が勤める美容院が登場したのだが、今回はなんと深雪夜々ご本人が登場!
これにはテンション上がりました~!!
しかも、海ちゃんを演じる泉谷星奈ちゃんは、「いちばんすきな花」では夜々の幼少期役を演じていました。
まさかのW夜々の共演!!
スタッフさん、今田美桜さん、素敵なサプライズをありがとうございました!
海のはじまり ネタバレ!感想レビュー(最終回)
すべてがまるく納まった
11話までは、夏・海・弥生・南雲家・月岡家・津野といった登場人物全員が、ぎくしゃくしていたのだが、最終話にして一気にまるく収まった印象。
夏は、どうにか海ちゃんと二人きりで生きていこうともがいていたけれど、そんなことは無理だと諦め、しんどい時は周りにいる人たちに積極的に頼り、手助けしてもらいながら生きていくことにしました。
そして水季の話しも、海ちゃんとたくさん話していこうと思うのでした。
弥生と夏は、結局復縁することはなく、それぞれの道をしっかり歩きながら、海ちゃんを通して付き合いを続けていくという関係に落ち着いたのも気持ちの良い終わり方だな。
全体的にまるく納まって良かった。
水季の手紙
水季が夏に宛てた手紙。
夏くんへ。
お久しぶりです。元気でしたか?
内緒で産むと決めたこと、後悔してません。
夏くんはいなかったけど、海と過ごせて幸せでした。
ひとりで海を育てたわけじゃないよ。
たくさんの人に助けられてきました。
たまーに夏くんにいてほしいと思うことはあったけど、全然大丈夫でした。
海と、海を大切にしてくれる人たちがいたからです。
その人たちは絶対に夏くんのことも大切にしてくれます。
一緒に過ごした人も場所も、海や夏くんのことも忘れません。
頼って、甘えてください。
親から子どもへの一番の愛情って、選択肢をあげることだと思う。
海には、自分の足で自分の選んだ道を進んでほしい。
夏くんには、大きくなっていく海の足あとを、うしろから見守ってほしいです。
私たちがお別れしてから、夏くんはどんなふうに生きていましたか?
誰と出会って、誰と過ごしてきましたか?
何を知って、何を大切にしてきましたか?
私や海とは関係ない、夏くんだけの大切なものがあっていいはずです。
思い出を捨てないでね。
人は二人の人から産まれてきます。
一人で生きていくなんて無理なんだよ。
夏くんも誰かと生きてね。
海を幸せにしながら、自分も幸せになってね。
二人が一緒にいる姿を見れないのはちょっと残念だけど、想像するだけでちょっと幸せな気持ちになります。
海と生きることを選んでくれてありがとう。
海の母より。
追伸
海はどこから始まってるかわかりますか?
海に聞かれて、「水があるところかな~?」と曖昧な答えしかできませんでした。
はじまりは曖昧で、終わりはきっとない。
今までいなかった夏くんが、いつからか海のパパになっていて、今そこにいない私は、いなくなっても海のママです。
父親らしいことなんてできなくていいよ。
ただ、一緒にいて。
いつかいなくなっても、一緒にいたことが幸せだったと思えるように。
まさにこのドラマの伝えたいことがダイレクトに詰まっている気がした。
・大変なときは、積極的に周りにいる人に頼っていいんだよ。
・一人で抱え込まないでね。
・海のことも大切にしてほしいけど、自分自身のことも大切にしてあげてね。
・自分だけが犠牲になろうなんて思わないでね。
・亡くなっても、そこにいた事実は変わらないし、いなくなっても私はずっと海のママだよ。
・ずっとは一緒にいられないけど、いられるならできるだけ一緒にいてね。
海のはじまり まとめ
このドラマで伝えたかったことは、
自分と他人は違う生き物で、他人の気持ちを理解することはできない。
だから、他人の気持ちを想像するこてゃ大事。
だからといって、「こう思ってるんじゃないかな?」と相手の気持ちを勝手に想像しすぎて空回ってしまわないよに注意してね。
ちゃんと相手の気持ちも聞いてみよう。
時には話し合ってみよう。
相手の気持ちを理解することはできなくても、寄り添うことはできる。
意外とみんなそんなに悪い人じゃない。
辛い時は周りに頼ったっていいんだよ。
家族も他人も、人間関係って面倒なことが多い。
でも面倒だからこそ、楽しいし面白いし幸せが生まれるんじゃないかな?
と、いうようなことだと思った。
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