【脚本】橋部敦子
【演出】三宅喜重 ほか
【キャスト】趣里、ジェシー、YOU、古田新太 ほか
女優・趣里にとって、NHK朝ドラ「ブギウギ」以降初の民放ゴールデン帯主演作品。
リーガルドラマは一定の人気がありますが、はたして『モンスター』はどんなドラマなのでしょうか?
1話から順に、各話あらすじと感想レビューをしていきます。
もくじ
モンスター ドラマあらすじ&ネタバレ感想レビュー(1話)
1話あらすじ
神波亮子(趣里)は大草圭子(YOU)が所長を務める「大草圭子法律事務所」に現れ、「弁護士をやってみることにした」と言い出す。
素性もわからない亮子に、若手弁護士・杉浦義弘(ジェシー)は戸惑いを隠せない中、大草はあっさりと受け入れてしまう。
さらに亮子は自殺教唆の罪で起訴された塩屋遼(萩原利久)の弁護に立候補。彼は自殺未遂の過去がある交際相手の川野紗江(藤吉夏鈴)に「死ね」とメッセージを送ったという。
杉浦は新人には無理だと進言するが、大草から命じられ亮子をサポートすることに。
接見した塩屋は、自殺した紗江への謝罪を口にし、むしろ自分が死にたいと思っていたと話す。
亮子は紗江の周囲に話を聞きに行くが、被告の弁護人である亮子に耳を傾けるはずもなく、八方塞がりになった亮子は思いもよらぬ行動に出る。
引用元:Tver
1話ネタバレ感想レビュー
正直ナメてました。「あまり面白くなさそう…」と。
しかし、SNSで評判が良かったので観てみたらけっこう面白い!
神波亮子の飄々としたキャラクターが、趣里にバチっと合っていて良い。
杉浦を演じるジェシーとのバディーもいい感じ。
なんといっても脚本が僕の好み。
人間ドラマとして面白い!
前置きしておくと、僕はドラマの中に「ストーリー」が観たいわけではなく、「人間性」を観たい派です。
(「ストーリー重視派」の人には理解されないかもしれません)
裁判系のドラマだとよく「どんでん返しストーリー」に重きが置かれます。
そういうドラマを観ているといつも思うのです。「ああ、ストーリーを成立させるために、人間(キャラクター)が動かされているなぁ」と。
本来は「罪を犯すに至る動機」があるはずです。
そして、その犯した罪がバレないように皆それぞれ工作する。
その嘘が徐々に暴かれていき、結果、どんでん返しになるわけです。
ところが「どんでん返しすること」に注力している脚本は、本来、一番大事であるはずの「罪に至る動機」や「罪を隠す」といった人間の心理描写がおろそかになりがちなのです。
そこが一番面白いのに!
今作『モンスター』では、その【一番面白い部分】を大切にしながら、話をひっくり返しているので見事なのです。
脚本を描かれている橋部敦子さんは、「僕の生きる道」シリーズなどのヒューマンドラマを手掛けてきた方。
人の心理・行動の描写が巧みなのにも納得。
暴けない闇
今回、川野紗江を自殺に追いやったのは会社の上司によるパワハラ・セクハラでした。
しかし、紗江に「自殺」の引き金を引いたのは、紗江が通っていた「心理カウンセラーの女」の言葉。
仕事で追い詰められていた紗江は、電話口でカウンセラーに「もう無理」と伝えます。
しかしカウンセラーは言うのです。
「頑張って。紗江さんならまだ大丈夫。ねぇ、頑張ってよ」
追い詰められている人間に「頑張って」と言う。それもわざと。
「言葉で人を操れるかしら?」と心理実験したかったのか?
「私が昔そうだったように、こいつも死ぬギリギリまで追い詰めてやろうか」という道連れの気持ちだったのか?
カウンセラーの心の真相はわかりません。
しかし、カウンセラーの「頑張って」を聞いた紗英がトラックにはねられ、その衝撃音を電話越しに聞いたカウンセラーの女はニヤリ笑うのです。
しかし、カウンセラーの言葉が引き金になったという証拠はありません。
司法では裁かれない。
スッキリしない終わり方というのもいい。
モンスター ドラマあらすじ&ネタバレ感想レビュー(2話)
2話あらすじ
女性アイドルグループ『ハッピー☆ラビット』の古参ファンだという寺田晃司(本多力)が事務所を訪れ、ライブ会場を出禁になったと杉浦(ジェシー)に泣きつく。
その直後、寺田の推しであるシホ(なえなの)が手がけた新曲の歌詞が、すでに発表されている楽曲に酷似していると指摘され、事務所社長の益岡伸也(津村知与支)が亮子(趣里)に助けを求め、やってくる。
盗作被害を訴えたのは、シホの元所属事務所社長の黒川正博(山中聡)。
実際、2つの曲の歌詞はそっくりだがシホは盗作はしていないという。
しかし、黒川は本人と所属事務所を著作権侵害で提訴するとマスコミに発表する。
批判的なコメントも次々と寄せられ、絶体絶命のピンチに追い込まれるシホ。
一方で亮子は寺田の元を訪ね、勝利のピースを掴み取るため“誠意を見せる”ことに…。
引用元:Tver
2話ネタバレ感想レビュー
表向きの問題は「盗作」でしたが、根本の問題は「美醜」についてでした。
ちゃんみなの歌がバチっとハマる
今回、「ブス」と言われることが耐えられなくて整形をしたシホ。
醜い過去を消し去りたいと願うシホだが、「ブス」とののしられた経験があったから書けた歌詞でもある。
「過去の自分を捨てて逃げても何も解決しない。いずれバレる。先送りにすればするほど自分を追い詰める」
神波のそのようなセリフと共に流れる、ちゃんみなが歌う主題歌。
「ブス」と批判されても、その悔しさを歌詞にしたため、「美人じゃないし、表に立つのは向いてないよ」とレッスンの先生に言われても歌い続ける。
その生生しい歌詞と、強さと、歌声で世間の声をひっくり返した【ちゃんみな】。
まさに今回の話しとバチっと合っていて、「ああ、このためにちゃんみなの曲が主題歌になったのか」と思うくらいだった。
モンスター ドラマあらすじ&ネタバレ感想レビュー(3話)
3話あらすじ
日本有数の企業の跡取り息子・五条和彦(渋谷謙人)が、妻の亜佐美(佐津川愛美)を連れてやってくる。
和彦が無精子症であることから、和彦と同じ東大卒の男から精子提供を受けて妊娠。
しかし、その男の経歴はでたらめで、精子提供を受けた別の女性が訴えを起こしたのだ。
事実を知られたくない和彦は自らの情報が出ないよう、亮子(趣里)にその男を弁護し示談でおさめてしてほしいと依頼する。
亮子から一任された杉浦(ジェシー)は、問題の男・斉藤文哉(佐藤寛太)に示談を持ちかけるが、斉藤は拒否。聞けば、原告の長岡茉由(吉本実憂)は、斉藤の経歴詐称に気づいていたという。
茉由の言動に違和感を覚え調べると、意外な素顔が明らかになる。
一方、和彦の身勝手な決断で中絶を迫られるが、どうしても産みたい亜佐美はある秘密を打ち明けて…。
引用元:Tver
3話ネタバレ感想レビュー
神波の毒全開!
五条亜佐美や、長岡茉由に投げつける神波の毒がグサグサ刺さりました。
五条亜佐美のお腹の中の子が、亡くなった亜佐美の元カレが、生前保存していた精子でできた子だとわかったとき
神波「わかるとしたらあなたの未来です」
亜佐美「なにがわかるんですか?」
神波「好きな人ができたけど、収入がないから結婚できない、こんなはずじゃなかった。家柄のいい人と結婚したけど、子どもができない、こんなはずじゃなかった。子どもが生まれたらまた思うんですよ。思ったように育たない、こんなはずじゃなかった、って」
亜佐美「…」
神波「でも、いいじゃないですか!五条さん夫婦はとってもお似合いの夫婦なんで!」
亜佐美「お似合い…?」
神波「はい。売れない画家とは結婚できないとか、子供は産まないといけないとか、夫の言う通りにしないといけないとか、五条家の人間はどうたらこうたらとか、お二人とも誰が決めたかよくわからない常識に従うことがお好きなようなので!」
「原告・長岡茉由には、被告・斎藤文哉に対する好意があったのでは?」と追求するシーン
神波「あなたはピルを使って排卵を止めていたのではないですか?妊娠しないように。被告との関係を続けるために。夫婦関係で欠けた穴を埋めるために」
茉由「…」
神波「夫に、被告との関係を疑われて咄嗟に嘘でもついたんじゃないですか?被告を悪者にして、夫婦関係を丸く収めようとしたんじゃないですか?」
茉由「…」
「さぞかし守る価値のある夫婦関係なんでしょうね。いや、その夫婦関係に価値はあるんですか?あるのは一生食うには困らないだろうというふんわりした安心だけなんじゃないですか?」
ふわりとした安定を守るため、自分の生活の安全を守るために嘘をつく。
誰もがやってしまうことだけど、こう突きつけられると痛い…。
モンスター あらすじ&ネタバレ感想レビュー(4話)
4話あらすじ
名門大学のサッカー部で体罰が横行していると週刊誌に掲載され、それが、部員Aと名乗る人物による告発とあって部内は騒然。
杉浦(ジェシー)の元同級生でサッカー部コーチの甘利弘樹(佐野岳)が、亮子(趣里)に相談したいとやって来る。
時を同じくして部員たちが、厳しい練習の数々は体罰だったとし、大学を提訴するという動画を配信。
理事長は亮子に、体罰がなかったことの証明と部員Aの特定を依頼する。
集団訴訟を起こしたのは神宮寺和也(夏生大湖)たち3年生の部員だったが、スポーツ特待生の武田大樹(本田響矢)だけは参加していなかった。
サッカー部の実態を知りたい亮子は杉浦を連れてなぜか街コンへ潜入。
さらに、高校時代に武田と神宮寺のチームメイトだった古賀勇作(大知)から2人の過去の因縁に関して話を聞き出す。
引用元:Tver
4話ネタバレ感想レビュー
優しい嘘
結果的に、「同級生をかばうための優しい嘘」と「教え子をかばうための優しい嘘」が引き起こした騒動だった。
スポーツ特待生として、入学金や学費を免除してもらって入学している武田。
彼は膝をけがしていた。
しかし、毎年スポーツ特待生の査定があるため、けがを理由に休むことができなかった。
その事実に気づいたコーチの甘利は、武田が怪我を悪化させ選手生命を絶たれないよう、「体罰」のでっち上げを週刊誌にリーク。(ただし告発者の部員Aが甘利であることは言及されておらず、神波が目で「お前だろ?」と訴えるだけだった)
一方、「体罰」のリークをしたのが武田だと思いこんだ神宮寺。
「部員Aは武田である」という疑惑の目を周囲から向けられないよう、神宮寺が先導をきって大学側を相手に集団訴訟を起こしたのだった。
どちらも武田を守るための優しい嘘。
その結果、事態が大事になってしまったのだった。
モンスター あらすじ&感想レビュー(5話)
5話あらすじ
LAの資産家の娘が来日。
がんの父に効果のない高額医療を受けさせ、死に追いやった日本の病院を提訴したいという。
亮子(趣里)は杉浦(ジェシー)と病院潜入を試みるが… アメリカの有名な資産家の娘・サトウエマ(秋元才加)が、日本の病院を提訴したいと神波亮子(趣里)を頼って来日する。
エマの亡き父・マサル(石橋凌)はアメリカでがんを患い、現地で抗がん剤治療を受けていたが、その合間に、日本のあるクリニックが海外の富裕層向けに作った医療ツアーに参加したという。
しかし、高額な費用をかけて臨んだ治療に効果はなく、それどころか、帰国したマサルは絶望のあまり、すべての治療を拒否するようになり、呆気なく亡くなってしまった。
エマは、クリニックがインチキな治療をしたことで父を死に追いやったことを証明してほしいと亮子に依頼する。
亮子の調査によると、マサルが治療を受けた岡本プレミアクリニックは、もともと地域に根差した総合病院だったが、経営難を理由に前院長の息子・岡本久嗣(阿南健治)が富裕層向けの病院に改革。
結果的に大成功を収めたのだという。
亮子が何とか実態を探ろうとクリニックの前で考えあぐねていると、突然、杉浦義弘(ジェシー)が極度の腹痛を訴え、2人は思わぬ形で敵陣への潜入に成功する。
やがて、亮子は、エマ同席のもと、クリニックの顧問弁護士と対峙。
終始優勢で話し合いを進めるが、亮子は相手方の弁護士の態度にどこか違和感を覚える。
数日後、事務所にやってきた相手方の弁護士は…亮子の父親で12年間失踪中の粒来春明(古田新太)だった!?
引用元:Tver
5話感想レビュー
親子バトル
ついに出てきた古田新太さん!
どういう存在なのだろう…?と思っていましたが、まさか父親とは。
5話と次週6話は「対立する親子」がテーマですね。
・弁護士の神波亮子と父・春明
・依頼人のサイトウエマと父・マサル
・岡本クリニック院長の岡本久嗣とその父
共通するのは、「父親の働く背中を見て、同じ道に進んだ子ども」であることだろうか。
分かり合えない「父親」と「子ども」の対立に注目です!
モンスター あらすじ&感想レビュー(6話)
6話 あらすじ
12年ぶりに再会を果たすと同時に法廷で争うことになった亮子(趣里)と粒来(古田新太)。
複雑な親子関係の2人の対決に不安を覚える杉浦(ジェシー)に対し、亮子は楽しみにしている様子。
相手は百戦錬磨の最強弁護士。
亮子は、治療が適切だったかを証明するのは難しいと考え、看護師の梶田素子(島田桃依)がマサル(石橋凌)をたぶらかして多額の遺産をだまし取ったことを証明しようとする。
唯一、素子の世話になった杉浦だけはその方針に難色を示すが、前院長によれば、過去にも患者とお金にまつわるトラブルがあったという。
杉浦は素子が悪女だとは思えず、真実を見極めようと再びクリニックに入院するが…。
一方、亮子はマサルが密かに遺言書を書き換えていたことが気になり、遺言書を作成者した人物の捜索を城野(中川翼)に依頼する。
引用元:Tver
6話感想レビュー
スッキリしない終わり方
これまでの回も、結局スッキリしないで終わっていたように思う。
今回も同じくスッキリしない箇所がいくつかあった。
まず、「認知に異変を感じていたマサルさんの指示で記録を残していました。マサルさんの意思がわかる映像です」と、マサルが病室で自身の考えについて語る映像が流される。
その中には、
私が築いてきた考え方や財産を娘に引き渡すことがベストだと考えてきたが、やはり違う。この世に渡しのコピーなど必要ないのだ。
そんな未来のために、私の財産をこのクリニックに投資する。
といった、家族が知っておくべきであろう事業の引継ぎや財産分与についても語られていた。
そもそもこんな重要な証言が記録されている大切な映像を、いったい誰が持っていたのだろうか?
それに素子に3億円寄付した件に関しては、映像内では何も触れられていないわけだが…それはいいのか?
神波が、父・粒来に負けるシーンを書きたかっただけでは?
神波の証拠集めも今回の件はずいぶん雑だったし、
粒来の逆転証拠も「いや、それ持ってるのズルくない?」というものだったし、
なんだか
≪父親と対立して敗北する神波≫という筋書きが描きたかっただけのような気がしてならない。
1 件のコメント
正直、モンスターの第四話は三話までと違い、モヤモヤが残り、イマイチと感じたのは私だけでしょうか。
主人公の心理をあらゆる方向から一つ一つ回収しながら真実を突き詰めていき、最終的に明確になっていくスタイルがなく、スッキリ感があまりありませんでした。次回以降期待しています。