【脚本】
野木亜紀子
【演出】
塚原あゆ子 他
【キャスト】
神木隆之介、杉咲花、土屋太鳳、池田エライザ、宮本信子 他
主演を務めるのは、日曜劇場初主演となる神木隆之介。
共演には、杉咲花、土屋太鳳、池田エライザ、沢村一樹、宮本信子など、主演級キャストがずらり勢ぞろい。
1955年の端島(通称。軍艦島)、2018年の平成を舞台に、70年にわたる愛と友情と家族の壮大なヒューマンドラマ。
そんな『海に眠るダイヤモンド』のあらすじと感想レビューを、1話~全話書いていきます!
もくじ
海に眠るダイヤモンド あらすじ&ネタバレ感想レビュー (第1話)
1話 あらすじ
「私と、結婚しない?」
ー 2018年夏、東京 ー
その日暮らしのホスト・玲央(神木隆之介)は、出会ったばかりの怪しげな婦人・いづみ(宮本信子)から、突然プロポーズされる。
ホストクラブに案内すると玲央のために大金を使ってくれるいづみ。都合のいい客に巡り会った玲央は、後日再び現れたいづみの誘いに乗って、軽い気持ちで長崎を訪れる。
フェリーに乗る2人だったが、近づいてくる端島を前に、いづみは想いを馳せて…。
1955年春、長崎県・端島。
炭鉱員・一平(國村隼)の家に生まれた青年・鉄平(神木隆之介・2役)は、島外の大学を卒業後、島の炭鉱業を取り仕切る鷹羽鉱業の職員として端島に戻ってきた。
同じ大学を卒業した幼馴染の賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)も帰島した。
鉄平の兄・進平(斎藤工)や島の食堂の看板娘・朝子(杉咲花)、鉄平の母・ハル(中嶋朋子)ら、皆が鉄平の帰島を喜ぶなか、一平だけは激怒する。
さらに鷹羽鉱業の職員で賢将の父・辰雄(沢村一樹)もまた、息子の就職先については思うところがあるようだ。
同じ頃、端島に謎多き美女・リナ(池田エライザ)が降り立つ。歌手だというリナに、興味津々の鉄平たちだが…。
未来への希望と活力に満ちた高度経済成長期の端島と、どこか閉塞感が漂う現代の東京。
70年の時を超え、2つの異なる場所をつなぐ若者たちの物語が今、幕を開ける――。
引用元:Tver
1話 ネタバレ感想レビュー
物語の舞台は2つ。
1つは、第二次世界大戦から10年後の1955年の端島(軍艦島)。
もう1つは、2018年の東京・歌舞伎町。
2つの世界線を行き来するヒューマンドラマ。
端島を再現したセットの作り込みから、TBSがこのドラマにかける思いが伝わってきます。
「端島の暮らし」と「今の日本の暮らし」を比較
<海底炭坑だった端島は日本で最先端の暮らし・未来都市があった>
最盛期の1960年には狭い島内に5267人もの人々が暮らしており、東京の9倍という脅威の人口密度でした。
炭鉱労働者は所得も高く、大半の人が都会にも無かったコンクリートでできた高層マンションに暮らし、カラーテレビの普及率が平均10%時代に、この島では100%の人が所有しており、島には土地も無かったため土を購入しベランダで植物栽培をしたり、主婦の人気の習い事が生け花教室であったりと、水道や風呂、トイレ、炊事場以外は文化的な生活が営まれていました。
引用元:『九州の世界遺産』HPより抜粋
端島(軍艦島)のことを調べてみると、石炭から石油へという国のエネルギー転換政策を受け、1974年に閉山している。
また、地下での採掘作業では事故もいくつか起こっていたようだ。
日本の発展の裏側には、「炭鉱労働」という非常に危険で過酷な労働をしてきた人々がいたこと。
国に翻弄される人々がいたこと。
しかし互いに励まし合いながら支え合う端島の人々。
これらを描くことで、今の日本がどれほど恵まれているか、逆にどれほど寂しいかを伝えたいのかもしれない。
いづみの正体
さて、2018年編で登場する謎の金持ち老婦人・いづみ。
その正体は誰かという考察でSNSは盛り上がっている。
いづみの可能性があるのは、朝子(杉咲花)、百合子(土屋太鳳)、リナ(池田エライザ)の3人の中の誰かだろう。
1話のラストでは、百合子が意味深にネックレスを触るシーンが流れ、その直後、いづみもまたネックレスを触る。
「百合子=いづみ」と思わせたいことがうかがえる描写だが、個人的にこれはミスリードだろうと思う。
一番可能性があるのは朝子ではないだろうか?
端島時代、朝子は鉄平に片思いをしている。
そして時を経て、鉄平によく似た玲央と遭遇。
かつての思い人の面影がある玲央に何かしたいという気持ちが湧いてしまったのでは…?
海に眠るダイヤモンド あらすじ&ネタバレ感想レビュー(2話)
2話 あらすじ
現代。
いづみ(宮本信子)は一体何者なのか、自分に似ているという“忘れられない人”とはどんな人物なのかが気になる玲央(神木隆之介)。
そんな玲央にいづみは、かつて想いを寄せていた鉄平(神木隆之介・2役)のこと、そして島での複雑な“恋模様”について語り始める。
1955年9月。
端島では、リナ(池田エライザ)のことを気にかけて遊びに誘う鉄平を、複雑な思いで見つめる朝子(杉咲花)の姿が。
朝子の鉄平への気持ちに気付いているリナもまた、自分へ向けられた鉄平の好意をかわしながら、複雑な思いを抱えていた。
一方、端島に生活用水を引く海底水道計画の検討会に参加する賢将(清水尋也)に連れ立って、長崎を訪れた百合子(土屋太鳳)は、アメリカ生まれの“スクエアダンス”と出会い、気に入って端島に持ち帰る。すぐさま同好会を設立するべく、鉄平、朝子、賢将、リナを集めて練習に取り掛かる。その頃、端島には大型の台風が近づいてきて…。
引用元:Tver
2話 ネタバレ感想レビュー
端島版『ハチミツとクローバー』
全員が片思いしている恋愛ドラマの代名詞といえば『ハチミツとクローバー』。
端島編はまさにハチクロ状態!
百合子(土屋太鳳)→賢将(清水尋也)→朝子(杉咲花)→鉄平(神木隆之介)→リナ(池田エライザ)→進平(斎藤工)
賢将が朝子のことを好きだというのはわからなかった。
ただ、賢将と付き合ってるはずの百合子がわざわざ鉄平にちょっかいを出していた理由がこれで納得。
これからの展開が楽しみ!
自由に生きられる時代なのに不自由な現代人
売掛のお客に飛ばれた玲央は、先輩ホストの使いパシリに奔走。
やるべきことを終えた時にはすでに朝を迎えていた。
朝日に照らされたビル群の歌舞伎町。
その路上でいづみからの電話に出た玲央は、思わずこんな言葉を口にします。
「ここはさぁ、端島みたいな島じゃないからさ、水道も通ってるし、どこにでも行けるはずだった。でもなんで同じとこグルグルしてんだろ」
本当にそう。
脚本家はこう訴えたいのかもしれない。
ライフラインにおいては不便な生活を強いられていた端島。
島の外に行くのだって今ほど容易じゃない。
ところがみんなイキイキしていた。
明るい未来を信じて生命力にあふれていました。
令和になった今はどう?
自由ですか?
日本のどこにいてもライフラインは安定している。
鉄道、船、飛行機と、移動手段も充実。
住むところや働き口だって選り好みしなければあります。
それなのに、なんだかみんな息苦しさを感じている。
どうして?
生活が便利になって、色々自由にもなったはずなのに、端島の人たちのように活気のある生活を送れていない現代人に対するアンチテーゼと受け取ると、より面白く観れます。
いや~皮肉が効いてて面白いな~。
海に眠るダイヤモンド あらすじ&ネタバレ感想レビュー(3話)
3話 あらすじ
鉱員たちが働きやすい環境を整えるべく、自分たちなりのやり方で力を尽くす鉄平(神木隆之介)と賢将(清水尋也)。
鉱員の進平(斎藤工)の助言も役立ち、2人の活躍で新たな社宅制度も出来ることに。
そして季節は流れ、1957年10月。
ついに端島に水道が開通する。
新しい鉱員アパートや小中学校の新校舎も完成し、人口も出炭量も増えた端島は最盛期を迎えようとしていた。
そんな中、以前端島を舞台に製作された映画「燃ゆる孤島」の続編製作のため、プロデューサーの夏八木(渋川清彦)がやってくる。
活気に満ちた今の端島をフィルムに収めたいと熱く語る夏八木は、島民たちを対象に出演者オーディションを行うと宣言。
皆が一気に浮き足立つ中、夏八木から声をかけられた朝子(杉咲花)もまた、こっそり演技の練習を始めていた。
一方現代では、玲央(神木隆之介)がいづみ(宮本信子)の家に転がり込み、いづみの家族と初対面を果たす。いづみは家族に玲央のことを自分の婚約者だと紹介し…。
引用元:Tver
3話 感想レビュー
3話は「貧富」がテーマでしたね。
働かざる者はいらない
炭鉱の島として栄えていた端島。
炭鉱労働者と家族、東京から派遣される社員など、続々と島に入ってくる人が増え、最盛期には狭い島内に約5300人もの人が暮らしていたそうです。
ただ、職種や立場によって住居の格差はあり、中でも環境の悪いマンションを寮としてあてがわれる炭鉱職員たちは、たびたび誰がどの部屋に住むかで小競り合いがあったそうです。
ドラマの中では、鉄平がそんな炭鉱職員たちの住居争いを逆手に取ったプランを賢将に提案。
そのプランとは、
『働きに応じて得点を加算。得点の数で部屋の優劣を決める』というもの。
職員たちの仕事へのモチベーションをあげることが狙い。
実は炭鉱石の発掘作業はなかなかに過酷だったそう。
そのため欠勤をする者が多かったらしい。
賢将は鉄平の提案をさっそく会社のの会議で提案するのだが、
鷹羽鉱業の幹部職員で新たに炭鉱長に任命された賢将の父・辰雄がこう言い放つのです。
「やる気は当然だ。働かない者はこの島にいる資格はない」
こ、こわい…。
パワハラやん…。
しかし結果的には、前炭鉱長が「得点制やってみたらいいじゃない」と言ったことで鉄平の提案は採用されることになったでした。
お金を稼ぐ大変さ
劣悪な環境で働く炭鉱職員たちだったが、その給料は高額だったらしい。
1957年当時、本土のテレビの普及率は10%程度だった。
ところが、端島のテレビの普及率はすでに60%を超えていたそう。
端島の生活水準がいかに高いかがわかる。
ただしその一方で、食堂を営む朝子の家ではテレビを買う余裕はなかった。
朝子の弟なんかは、他人の家のテレビを勝手にのぞき込みに行っては、方々で咎められていた。
劣悪な環境を条件に高給が約束されている炭鉱職員と、毎日必死に食堂を切り盛りしてもテレビを買えない朝子の家。
どちらもお金を稼ぐ大変さを味わっているわけです。
そして2018年。
会社を経営するいづみのおかげで裕福な暮らしをしているいづみの家族たち。
お金のありがたみなどみじんも感じていない様子の彼らに対して、
「私の育て方が間違ってたのかも」
とつぶやくいづみ。
そしてなんと、
「(自分の会社を)潰してやろうじゃないか」
と、家族に生温い環境を与えてきたことを反省し、自らが築いてきた会社も財産もすべて手放そうとするのでした…。
いづみの正体は誰なのか?
3話は【いづみ=朝子】を連想させるような描写でしたがはたして?
海に眠るダイヤモンド あらすじ&感想レビュー(4話)
4話 あらすじ
1958年7月。
朝子(杉咲花)の初恋の人が自分だと知って以来、朝子のことが気になり、浮き足立つ鉄平(神木隆之介)。
そんな鉄平を尻目に賢将(清水尋也)は、何か思うところがある様子で…。
その頃、リナ(池田エライザ)のもとを訪れた進平(斎藤工)は、部屋である衝撃的な物を目にしてしまう。
一方、映画館を辞めて労働組合の新聞編集者としての仕事に精を出していた百合子(土屋太鳳)だったが、長らく体調を崩していた母・寿美子(山本未來)の容態が悪化する。
鉄平は、百合子の家族の運命を変えてしまった、1945年8月9日の出来事を思い出していた。
現代。
いづみ(宮本信子)から「一緒に会社を潰そう」と提案された玲央(神木隆之介・2役)は、社長であるいづみの第二秘書として雇われることに。
突然の出来事に戸惑う社員たちを前にいづみは、玲央のことを「次期社長候補」だと紹介する。
そんな中、いづみの家族たちの間で、玲央に関するある疑惑が持ち上がる。
引用元:Tver
4話 感想レビュー
4話では、百合子が朝子に嫌な態度をとってしまう理由が明かされました。
言葉にできない葛藤
長崎に原爆が落とされたあの日、教会のお手伝いをしに長崎へ行くことになっていた百合子。
「ゆりちゃーん」「」ゆりこー」と、百合子を探す百合子の母と姉から身を隠す百合子。
「今日は行きたくないから」と言って、一緒に遊んでいた鉄平、賢将、朝子にも一緒に隠れるよう指示します。
しかし、必死な百合子を見た朝子がイタズラ心で「はーい!」と返事をしてしまいます。
見つかってしまった百合子は、家族とともに泣く泣く長崎へ行くことになったのでした。
そして長崎で被爆した百合子と百合子の母、亡くなってしまった百合子の姉…。
もしあの時朝子が、「はーい!」と返事をしていなかったら。
もしあの時長崎へ行ってなかったら。
朝子のせいではない。
しかし、やり場のない怒りを朝子に向けてしまう。
そんな百合子の気持ちもわかる気がします。
「あんたのせいで!」と朝子に怒りをぶつけたところで朝子を苦しめることになる。
だからどうして百合子が朝子に意地悪をしてしまうのかを、百合子はもちろん鉄平や賢将も話せない。
憎たらしいけど大切にしたい朝子。
そんな心の葛藤がずーっと百合子の中であったと思うと胸が痛くなります。
また、百合子が「結婚などしない」と言っていた理由もわかりました。
おそらく、自身が被爆していることで、結婚や出産、恋愛を普通にしてはいけないという気持ちがあるのでしょう。
これは百合子が和尚と話しているシーンで、和尚が「戦争は終わった」という発言に対して、
「被爆した人には終わってない!」
と怒りの感情を露わにしていたことからもうかがえます。
母の死と精霊流し
精霊流しとは、
お盆の時期に先祖の霊を弔うため、精霊船にお供え物を乗せ、海や川に流すという行事のこと。
精霊流しの当日。
朝子に浴衣を着せてあげる百合子。
百合子は朝子にこんな言葉をかけます。
たくさんの意地悪を言ったわ、これまで。
ごめんなさい。
気味が悪いでしょうけど、心から謝りたいの。
あなたに許されたい。
あなたが許してくれなくても、私は、許すわ。
朝子のせいではない。
けれど朝子を見ると憎たらしくなる。
そんな百合子の複雑な気持ちが、母の死を境に少しずつ変化したのでしょうね。