【脚本】市川貴幸
【演出】三橋利行 ほか
【プロデュース】三竿玲子
【キャスト】松本若菜、田中圭、深澤辰哉 ほか
フジテレビ制作の不倫ドラマ『昼顔』『あなたがしてくれなくても』に続く第3作『わたしの宝物』。
今回のテーマは【托卵】。
つまり夫以外との間にできた子を産み育てるということ…。
禁断のドラマ『わたしの宝物』。
その感想レビューをネタバレを交えつつしていきます!
もくじ
わたしの宝物 あらすじ&感想レビュー(第1話)
あらすじ
第1話 『大切な宝物を守るために、わたしは悪女になった』
中学生時代の色あせない楽しかった記憶・・・。
そんな過去とは裏腹に、神崎美羽(松本若菜)はやりきれない現実を生きていた。
外面は良いが、乱暴な言葉をぶつけてくる夫の神崎宏樹(田中圭)と冷えきった夫婦生活を送り、いつの間にか偽物の笑顔を振りまく自分自身に嫌気が差していた。
そんな中、親友の小森真琴(恒松祐里)とその息子・幸太(岩本樹起)を家に招いていた美羽は、二人を見て、子供ができれば現状を変えられるかもしれないと考える。
翌朝、宏樹に恐る恐るそのことを話すが、自然に任せればいいと一刀両断され、いらだちを露(あら)わにされてしまう。
そんなある日、空高くそびえ立つ給水塔を見て、中学生時代、その給水塔の下で心の底から笑顔でいられた幼なじみとの日々を思い出す。
そして思い出をたどりながら、導かれるように昔よく通っていた図書館へ足を踏み入れると、突然声をかけられる。
そこには、幼なじみ・冬月稜(深澤辰哉)の姿が。中学生ぶりの再会に驚きながらも、あの頃に戻ったかのように無邪気に会話が弾む二人。
久々の再会に心躍った二人だったが、美羽は既に結婚していることを伝えると、どこか残念そうな冬月。そして冬月もまた、もう少ししたら仕事でアフリカに行くことを告げる。
「もうすぐ日本を離れる。その前に神様がくれたプレゼントだね―」
その冬月の言葉を最後に、もう二度と会えないのだと感じる二人だったが・・・。
引用元:Tver
ネタバレ感想レビュー
『昼顔』や『あなたがしてくれなくても』といった不倫ドラマを手掛けてきた、女性プロデューサー三竿玲子氏プロデュースの新作不倫ドラマ!
今回は「原作」や「原案」のクレジットがないので、オリジナル脚本のようです。
映像や音楽の感じは、まさに『昼顔』。
人間の生々しさを堪能できるドラマになりそうな予感!
モラハラ夫
外面は良いのに、家の中では典型的なモラハラ夫の宏樹。
ネチネチと美羽の行動ひとつひとつに難癖をつけてくるところが本当にイヤ。
結婚して化けの皮が剥がれたタイプかと思いきや、夫婦の回想シーンを観ると、仕事から泣いて帰ってきた美羽を慰めるなどしていた宏樹。
どうやら結婚初期の宏樹は”激甘旦那”だったよう。
ということは恐らく、美羽が宏樹をモラハラ夫に育てていったのかもしれない。
本音を押し殺すクセがある美羽。
なにをされても、なにを頼まれても、笑顔で「いいよ、いいよ」と応えてしまう美羽が、宏樹を調子に乗らせてしまったのかもしれない。
さらに文句を言われても「ごめんなさい。わたしが悪かったね」と自分を卑下するクセが、宏樹との間に上下関係を作っていったのかもしれない。
そう考えると、必ずしも宏樹だけが悪いとも言えない。
美羽の心を動かす冬月
中学生ぶりに再会した冬月との再会は、美羽のすさんだ心を開放していく。
冬月と会い、言葉を交わせば交わすほど、美羽の表情が明るくなっていくのがわかる。
久々に美羽は、「自分の心」に素直になれたのだろう。
「自分の心」に耳を傾けられるようになったからこそ、普段は夫に従順なはずの美羽が、夫からの急な”性行為の要求”を拒んだのだと思う。
ほとんどレイプのような行為のあと、助けを求めるように図書館に向かう美羽。
そこで偶然鉢合わせた冬月に、美羽は心の声を漏らす。
美羽「やめて!その声ダメなの。冬月くんがわたしを呼ぶその声さ、なんかいちいち目を覚ましてくれるんだよね。なんかダメなの。冬月くんと会って、心がちゃんと動くようになって、自分がどんなに傷ついてたか、本当はずっと心が痛かったんだって気づかされちゃって」
冬月「たぶん夏野(美羽)は、宝物をなくしてたんだよ。宝物がちゃんと心にしまってあると、ちゃんと心が動いて、痛がったり、喜んだりできる」
美羽「冬月君と会ってから、ずっと心が痛いよ。助けて」
抱きしめあったあと、二人はお互いの気持ちを確かめるように体も重ねるのだった…。
たしかに不倫は良くない。
しかし、夫から襲われるように抱かれる美羽と、冬月と互いに求め合うように体を重ねる美羽の姿を見比べると、「誰が悪いのか」わからなくなった。
冬月は本当に亡くなったのか?冬月との子を宏樹と育てる決意をした「悪女」
アフリカへ学校を設立しに行った冬月。
ほどなくして美羽は妊娠する。
妊娠の心当たりは「あの時」。夫に襲われ、冬月と求め合った日だ。
父親はどちらなのか?
いずれにしても宏樹とは離婚し、帰国した冬月と共に生きる気持ちでいた美羽。
検査をした結果、「冬月との子」であることが判明する。
しかしその直後、『アフリカのショッピングモールで、自爆テロによる爆発事故が発生。その事故で二人の日本人の死亡が確認された』というニュースが流れる。
そしてその犠牲者二人のうちの一人の名前が『フユツキ リョウ』だった…。
ー カッコウ托卵 ー
ほかの鳥の巣に卵を産み付け、その鳥に孵化したヒナ鳥を育てさせる。
この生態を托卵と呼び、托卵される親鳥を仮親と呼ぶ。
「冬月」との子どもを、「宏樹」という仮親の元で育てることを決意した美羽は、帰宅後、子どものエコー写真を見せ、宏樹に向かってこう言った。
「あなたの子よ」
…からのタイトルクレジット『わたしの宝物』。
華麗なタイトル回収である。
2話以降、はたしてどうなるのか?楽しみですね!
わたしの宝物 あらすじ&ネタバレ感想レビュー(2話)
2話あらすじ
神崎美羽(松本若菜)は妊娠していることが発覚したが、DNA鑑定の結果、夫の神崎宏樹(田中圭)の子ではなく、幼馴染の冬月稜(深澤辰哉)の子であったと判明する。
しかし美羽は、冬月がアフリカで大規模テロの犠牲者になったというニュースを見て覚悟を決め、宏樹に伝えた。
「―あなたの子よ」
美羽は、このまま嘘をつき続けることができるのか不安な気持ちはありつつ、冬月との子供が自分のお腹にしっかり生きていることを確信するのだった。
一方、 アフリカの医療施設では、土埃と汗で汚れた水木莉紗(さとうほなみ)がいた。
そして既に遺体と化した日本人の遺品が冬月のものとわかり、放心状態となっていた。
宏樹は子供のことを聞いて、喜びよりも複雑な感情を抱く。
日常的に厳しい言葉を美羽に浴びせてしまう宏樹。
そんな自分との間にできた子供に対して、これからうまくやっていける自信がなかったのだ。
そうした感情を喫茶店のマスター・浅岡忠行(北村一輝)に伝えつつ、自分はどのように美羽とこれから生まれてくる子供と接していくべきなのかを深く考えるのだった・・・。
引用元:Tver
2話ネタバレ感想レビュー
仕事が限界気味の宏樹
1話では家庭でのモラハラ場面がクローズアップされていたため、嫌な旦那という印象が強かった宏樹。
しかし2話では宏樹を見る目が変わった。
会社内では、上司からも部下からもいいように使われてしまう「都合のいい人」として立ち回っている宏樹。
頼まれればどんどん引き受けてしまい、仕事量はどんどん増えていく。
人一倍仕事をしているにもかかわらず、上司からはモラハラをされ、部下からは陰で馬鹿にされる始末。
「断りたい」けど「断れない」。
「嫌だ」と言いたいけど言えない。
本心を押し殺しながら遅くまで残業し、心も体もクタクタになって家に帰れば、自分に気を遣う妻の美羽がいる。
ヘラヘラと心にもない笑顔をつくる美羽に苛立ってしまう気持ちもわからなくはないかも…。
おそらく、ヘラヘラと自分に気を遣う美羽の姿が、会社での自分の姿と重なってしまうのだろう。美羽を通して嫌いな自分を見ているような状態なのではないだろうか?
本当は美羽のことが大好きだし、大切にしたい。
それなのに、「嫌いな自分」の姿と重なってしまう美羽に、無条件で苛立ってしまう葛藤。
冬月は生きていた
案の定、冬月は生きていました。
遺体のそばに冬月の私物が落ちていたことから、「冬月は亡くなった」と勘違いされていたのでした。
そのまま亡くなってしまっていたら、さずがにドラマとして成立しないですから当然ですよね。
さて、ここで話をややこしくする存在が現れます。
それは、冬月の同僚・水木莉紗。
治療を受けていた冬月のことを、「下原」(冬月の同僚男性)と勘違いしていた現地の医療スタッフ。
彼らが「この人は下原ですか?」と水木に確認すると、水木は「Yes」と答えるのでした。
その理由は、水木が冬月に好意を寄せているから。
以前、冬月から「日本に大切な人がいる」という話を聞いた水木は、冬月を亡くなったことにしてしまおうと咄嗟に思ったのだろう。
これは今後、美羽VS水木のシーンが描かれそうだ…。
わたしの宝物 あらすじ&感想レビュー(3話)
3話あらすじ
神崎美羽(松本若菜)の赤ちゃんが元気な産声をあげて生まれた。
神崎宏樹(田中圭)は、その子を抱いた瞬間、自然と涙が溢れてしまう。
美羽にはその涙の理由がわからなかった。
父親になる自信がなかった宏樹自身も、その溢れ出た感情に困惑し、行き場を無くした気持ちを喫茶店のマスター・浅岡忠行(北村一輝)に相談するのだった。
美羽は、親友・小森真琴(恒松祐里)のアドバイスと、自身の名前を父親につけてもらった思い出から、宏樹に子供の名前を付けてほしいとお願いする。
そして冬月稜(深澤辰哉)ではなく、宏樹の子供としてこれから育てる決意をするのだった。
そんな中、大規模テロの犠牲者と誤報されていた冬月が無事日本に生きて帰ってきた。
一緒に帰ってきた水木莉紗(さとうほなみ)と、冬月と間違えられた本当の犠牲者で、冬月の同僚・下原健太(持田将史)の弟・隼人(西垣匠)の元へ向かっていた。
そこで隼人に兄のいない悲しみをぶつけられた二人だったが、遺族の想いを背負って生きていくと、冬月は心に誓うのだった。
そして宏樹は、子供の名前を託されたことに対して、自分自身とさらに葛藤するのだった・・・。
引用元:Tver
3話ネタバレ感想レビュー
美羽の恐ろしさ
自身の名前を父親につけてもらったからって、冬月との間にできた子どもだと知りながら「あなたがこの子の名前をつけて」と宏樹に頼む美羽の神経が恐ろしい。
さらに、娘の栞の1ヵ月検診が終わり、宏樹の運転する車で帰宅する途中、美羽は平然と冬月と思い出の図書館に向かわせるのです。
つい先日まで、「罪悪感で心が痛い」と語っていたのに、宏樹を図書館に立ち寄らせることは平気なの…?
こういう機会でないと図書館に行けないから仕方ないとも取れるけど、それにしても無神経すぎる。
語っていたほど罪悪感を感じていないのかもしれない。
美羽は、相手を立てるために気を遣うわけではなく、「へたに波風を立てたくない」「争いごとは避けたい」と、責任から逃れるために、他人に意見を合わせているのかもしれない。
「こうなったのは宏樹のせいでもある」という気持ちがあるからこそ、無神経な言動ができてしまうのでは?
宏樹がまともになればなるほど可哀想
第1話の宏樹と、3話の宏樹の印象はだいぶ違う。
1話は「美羽が可哀想」という視点で観ていたのに、3話では「宏樹が可哀想」だ。
宏樹が親バカ・良い夫になればなるほど観ていて苦しくなる。
宏樹が、子どもを第一優先に考えたいという想いから、上司に「このチームのリーダーを下ろさせてください」と、自身の築いてきたキャリアを捨てる覚悟で直談判するシーンは驚いた。
子どもができるとものすごい力が湧いてくるんだな…と。
「汗水たらして築いてきたキャリアをそんなあっさり捨てちゃっていいのか?」と、行きつけカフェの主人に問われた宏樹が言っていた、「どんなに汗水たらしても手に入らないものがあるんですよ」というセリフが最高。
父親として人として成長している宏樹。
そんな宏樹の変化を喜べない美羽。
それはそう。
宏樹が溺愛すればするほど、美羽の心では「この子はあなたの子じゃないのに…」という罪悪感が高まるわけなので。
でも先に書いたように、おそらく美羽の心の半分では、「こうなったのは宏樹のせいでもある」と思っている気がする。
だから平然と思い出の図書館に行けて、結果、冬月と再会した。
今後の展開予想
死んだと思っていた冬月が生きていて美羽は嬉しいだろう。
だけどおそらく、美羽の「責任逃れの性格」が災いして、関係はぐちゃぐちゃになっていきそうな予感。
普通なら、冬月と再会した時点で、宏樹にすべてを告白して離婚してもらい、冬月と共に生きていくはず。
ところが、美羽は争いごとから逃れたい性格。
そのため、「宏樹を失望させたくない」などと言って、事実を宏樹にも冬月に打ち明けず、全てを隠して宏樹と共に育てていこうとするのではないだろうか?
しかし結局その嘘が徐々にバレていき…という展開を予想。
わたしの宝物 あらすじ&ネタバレ感想レビュー(4話)
4話あらすじ
神崎美羽(松本若菜)が図書館へ行くと、亡くなったと思っていた冬月稜(深澤辰哉)の姿がそこにはあった。
駐車場で待っていた神崎宏樹(田中圭)と娘の栞は、美羽の帰りが遅く心配になり、図書館へ向かう。
冬月に抱きしめられた美羽は震える手で冬月の背中に手を回しかけるが、その想いを必死にこらえて、冬月を突き放し、その場を離れた。
美羽は、冬月が生きていたことが嬉しかったが、以前と変わってしまった自分の環境から、複雑な感情を抱えていた。
その違和感を感じ取り、美羽を心配する宏樹。
そんな中、冬月は自分を待ってくれていると思っていた美羽の反応に動揺を隠しきれず、水木莉紗(さとうほなみ)へ相談をするが、莉紗もまた冬月に対してある想いを密かに抱えていた。
そして宏樹は、喫茶店のマスター・浅岡忠行(北村一輝)や、美羽の親友・小森真琴(恒松祐里)に相談をしつつ、美羽の為に自分のできることを必死に探していた。
その宏樹の優しさをしっかりと感じ取っていた美羽。色々な感情に葛藤している中、美羽のスマートフォンに、冬月から一通のメッセージが届く。
「最後にもう一度だけ会って話したい」
引用元:Tver
4話感想レビュー
決断を先延ばしにして逃げる美羽
ー 冬月が生きていた ー
自立心があって自分の言動に責任をもてる人間だったら、きっと迷わず夫に「申し訳ございません。この子はあなたの子じゃないんです」と真実を告白して誠心誠意詫び、冬月と一緒になる、と思うのです。
でも美羽はそうしなかった。
娘の栞が産まれ、人が変わったように優しくなった宏樹の姿を見ていると申し訳なくて、とても真実を話しだせない…ではなく、おそらく美羽の本心は(真実を話して宏樹や周りの人間に軽蔑されること、非難されることが怖い。できれば波風を立てたくない)だと思うのです。
自分で決断して真実を告白することから逃げている。
その証拠に、冬月から「最後に会いたい」という連絡をもらって、悩みながらも、なんやかんや会いに行ってしまう美羽。
夫に対して申し訳ない気持ちで押しつぶされそうなら、冬月のもとへなど行けないはず。
会ったら会ったで冬月にも非常に不誠実な対応をする美羽。
美羽「わたし子どもが生まれた。夫と復縁したの。子どもを、今の家庭を大切にしたい。だからごめんなさい」
「もう会えない」ときっぱり冬月を突き放さないところがやらしい。
さらに美羽は、
美羽「いつも苦しいとき、わたしに元気をくれた。どんなに助けてもらったかはわからない。わたしもすごく大切なプレゼントもらったよ。ありがとう。だから勝手だけど、わたしも冬月くんには幸せでいてほしいって願ってる。生きててくれてうれしかった」
いや~卑怯ですね~。
(わたしも本心では今もあなたを大切に思ってるよ)という含みのある言葉。
冬月はきっと(でももう遅いの。あなたがあのとき来てくれなかったから…)という責めの言葉に聞こえたのでしょう。
冬月は不甲斐ない自分に責任を感じて、「迎えに行けなくてごめん。なにもできなくてごめん…」と泣くのですが、そんな冬月に対して美羽はまたズルいことをします。
美羽はまるで、(そんなことないよ。あなたは悪くない)と慰めるみたいにして冬月に寄り添うのです。
はい。確信犯。
冬月と一緒になりたいけど、責任を負いたくないから、自分からは「やっぱり一緒にいたい!」なんて言う決断はできない。
だから「あなたのことは好きなんだけど、もう遅すぎたの…。でもあなたは何も悪くないのよ…」なんていうズルい態度をとって【冬月が一緒にいたがるから、不倫を決断した】ことにしたいのだと思う。
それらは考えてやってるのではなく無意識で。
無意識に「他責思考」の美羽
これまでの美羽の言動はすべて「他責思考」なのだ。
どんな決断もぜんぶ他人のせいにして、自分は決断の責任を一切負おうとしない態度がある。
宏樹が乱暴な性行為を強要したせいで、冬月と関係をもった。
親の医療費が高額だから、宏樹と離婚できなかった。
冬月が亡くなったと知らされていたせいで、宏樹と離婚できなかった。
宏樹が急に良い夫、良い父親の顔になってきたせいで、宏樹に真実を告げられない。
冬月が「好きだ」と抱きしめてきたから、わたしも抱きしめ返した。
こんなところだろうか。
美羽が自分の意見を押し殺し、周囲の人と意見を合わせる態度も良く見られるが、これも”相手を尊重しているから”ではなく、「波風を立てたくない」「面倒ごとから逃げたい」からだろう。
美羽の心はは常に「自分」「自分」「自分」。自分の保身ばかり考えている。
美羽の態度は、宏樹にも冬月にも誠実ではない。
振り回される男性陣が可哀想である。
わたしの宝物 あらすじ&感想レビュー(5話)
5話あらすじ
神崎美羽(松本若菜)は、いつも自分を助けてくれた冬月稜(深澤辰哉)が、大切な人たちを守れなかったことに本当は傷ついていて涙を流す姿に、寄り添おうと手を伸ばす。
そのぬくもりを感じた冬月は、思わず美羽を抱きしめてしまう。
そして、優しく抱擁しあう2人の姿を、美羽の親友・小森真琴(恒松祐里)が目撃してしまう。
動揺し、足早にその場を離れる真琴。
その一方、美羽が帰宅すると、夫・神崎宏樹(田中圭)が「おかえり」と温かく迎えてくれて、娘の栞と3人のこの場所を大切にしなければと再認識する。
そんな中、二人が不倫関係にあるのではと疑う真琴は、美羽の母・夏野かずみ(多岐川裕美)が一時退院して美羽の家で行われる食事会に訪れる。
そこには美羽と宏樹の絵に描いたような幸せな家庭があり、離婚をしている真琴はその状況をみて羨ましさと複雑な気持ちが募る。
冬月は、亡くなった同僚・下原健太(持田将史)がよく通っていた児童養護施設に訪れ、そこで下原の弟・隼人(西垣匠)に会う。
冬月の人柄に触れ、隼人は少しずつ心の靄を晴らしていく。
一方、真琴は美羽をランチに誘い、美羽の目をまっすぐ見て伝える。
「私、美羽さんのこと信じてますから・・・ちゃんと話してくれるって―」
引用元:Tver
5話感想レビュー
自分で選んでない美羽
不意に冬月から抱きしめられた美羽は、冬月の体を抱きしめ返します。
しかし我に返った冬月が、
「今のはありがとうのハグだから」
と言えば、
「…うん」
と笑顔で答える。
冬月が、
「さようなら」
と言えば、
「さようなら」
と返す美羽。
結局は冬月の態度に合わせるばかりで何も「自分で選ばない」美羽。
そんな美羽が自宅に帰り、宏樹や栞に出迎えられ、心の中でこうつぶやくです。
『お帰りと言ってくれる家族。私が選んだ、わたしの宝物』
その言葉がまったく爽やかじゃない。
それもそのはず。
だって美羽は自分で選んでない。
全部誰かの選択や決断に合わせてるだけだから。
真琴が宏樹に暴露した理由
真琴はなぜ、美羽に疑惑をぶつけて「真実を宏樹さんに話してください!」などと直談判せず、宏樹に暴露したのか?
美羽ではなく宏樹に暴露する真琴の態度に、「迷惑な奴」「嫌な女」と言う声もちらほら。
個人的には、真琴は冷静に考えた結果、宏樹に疑惑を暴露したのだと思いました。
真琴は、美羽と冬月が「抱き合っていた」という状況だけで「不倫」と決めつけませんでした。
美羽と冬月は本当に「不倫」しているのか?
その証拠を集めるため、あえて美羽と会う機会を増やし、事あるごとに美羽に「隠し事はないですか?」などと何度も質問して美羽の反応を観察していました。
さらに真琴は、冬月のことも呼び出して、「不倫とかしてないですよね?」と直球の質問をして、冬月の反応を確認。
また、「美羽の娘・栞の父親が冬月では?」という疑惑も抱いていた真琴。
その事実を確認するため、美羽と冬月を呼び出し鉢合わせさせ、冬月に「栞ちゃん抱っこしてあげてくださいよ~」と言って、冬月に栞を抱かせるよう仕向け、美羽の反応を観察。
証拠はなく、すべてが憶測。
とはいえ、美羽や冬月の反応をじっくり観察している時点で、真琴は嫉妬や怒りで燃えながらも冷静だったのでは?と思うのです。
さらに、真琴は美羽の性格を知っています。
美羽がその場しのぎでごまかす癖があること、波風を立てるのを極端に嫌うことを知っていた真琴は、美羽本人を問いただし白状させたところで、美羽の口から宏樹に真実を伝えることはできないだろうと踏んだ、とも思えるのです。
真琴は宏樹にこう告げます。
「ずっと宏樹さんのこと好きでした。だから私美羽さんのことが許せない」
「私、美羽さんのことが大好きだし、ずっと信頼してて、ずっと私にとって特別な人だったし、親友だから、だから、すごく悔しくて」
「美羽さんは宏樹さんを裏切ってますよ。不倫してます」
「結婚して他の人のことを好きになるなんて絶対ダメじゃないですか」
「それだけでも許せないのに…栞ちゃん…」
「女の勘ですよ」
「いや、母親の勘です」
わざわざ「ずっと宏樹さんのことが好きでした」などと発言してから切り出せば、宏樹からの心証が悪くなることは目に見えています。
真琴は宏樹から嫌われるのを承知で、真実を告白したと思うのです。
もし本当に性根が腐った嫌な女だったら、真実を暴露したあと、意気消沈した宏樹の背中をさするながら「わたしがそばにいますよ」なんて優しい声をかけるはずですし。
予期せぬ展開
DNA鑑定をした結果、栞が自分の子ではないと知った宏樹。
「今後、もっといろんな修羅場がまっている…!!」と思っていたのですが、意外にも宏樹は美羽を問いたださず、その代わり、宏樹は栞を連れて海で無理心中しようとするのでした…。
って!!
え?
美羽のことをみんなで寄ってたかって糾弾して、美羽が追い詰められていくパターンじゃないの??
宏樹の方が追い詰められてしまうのは予想外の展開。
ただ、正義感が強くて他人を思いやれる優しい性格の宏樹なので、「美羽をこれ以上苦しめないよに…。栞が苦しまないように」というような間違った方向の正義感や優しさに舵をきったとしたら…わからないでもない。
…いや待てよ?
宏樹が心を病んでいけばいくほど美羽が悪者になっていくわけだから、この展開の方が、より美羽を咎める声が大きくなるのでは…?!
それはエグい!
優柔不断で決断を他人まかせにして生きていると、そのツケがとんでもない大きさで返ってくるという教えなのかもしれない…!
そう考えると、今後美羽がどんな窮地に立たされるのか、怖いけど楽しみですね!