嘘解きレトリック ドラマ 1話~全話ネタバレ!感想レビュー

【原作】都戸利津『嘘解きレトリック』

【脚本】武石栞、村田こけし、大口幸子

【演出】西谷弘、永山耕三ほか

【キャスト】鈴鹿央士、松本穂香、味方良介、杉本哲太、若村麻由美ほか

【あらすじ】
時代は昭和初期の日本。
田舎の村に暮らしていた浦部鹿乃子(松本穂香)
彼女は「人の嘘がわかる」という特殊能力を持っていた。

そして、その特殊能力のせいで、村の人間からは「気持ち悪い」などと言われ嫌われていた。
母・フミ(若村麻由美)にも迷惑がかかると思い、村を出て行くことを決意した鹿乃子。

鹿乃子は九十九夜町(つくもやちょう)という街に行き着く。
待ちゆく人の「嘘」に辟易しながら、働き口を探していた鹿乃子だったが、なかなか職が見つからない。


一方、九十九夜町で『祝探偵事務所』を営む祝左右馬(鈴鹿央士)は、友人であり警察官の端崎馨(味方良介)を連れ、稲荷神社の掃除に来ていた。
実は家賃を支払えないほど貧乏な状況の左右馬は、大家が管理している稲荷神社を清掃することで、家賃をまけてもらおうと思い、掃除の手助けとして馨を連れて来たのであった。

掃除をしようとしていた左右馬の耳に、獣の唸り声のようなものが聞こえてきた。

何事かと音のする方へ駆け寄ると、空腹に耐えかねた鹿乃子が、猫とメザシを巡って対峙していたのであった。
「なんだ」と呆れて帰ろうとする左右馬だったが、空腹で力尽きた鹿乃子は倒れてしまう。

倒れた鹿乃子を、左右馬と馨で「くら田」まで運んでいき…。

【ドラマ】嘘解きレトリック ネタバレ!感想レビュー(1話)

原作に忠実

マンガ原作の本作。
ピッコマで原作マンガの1話が無料で読めるので、ドラマを観た後に読んでみた。

すると驚くべきことに、1話に関していえば、鹿乃子が九十九夜町に来てからの登場人物のセリフや、鹿乃子の心の声、それぞれのキャラクター設定、さらにカット割りまで全てが原作を忠実に再現していた。

昨今の原作改変とは打って変わって、原作へのリスペクトがすごい。

ここまで忠実に再現してくれていれば、原作のファンも喜ぶこと間違いなしだろう。

セットの作り込みもスゴイ

予算削減が強いられているであろう昨今のテレビ業界。
もちろんドラマ制作もその影響を受けていることだろう。

時代劇ものをやるとなると、その当時の街並みを再現したセットを組まなければならなかったり、地方の山でのロケ、さらに和物の衣装の用意など、現代劇よりも圧倒的に予算が必要となるはず。

そのため、昨今のドラマで時代劇ものはなかなか作られていないか、作られてもチープなものになりがち。

しかし『謎解きレトリック』は、セットもしっかりと作り込みがされていてチープ感が一切ない。
衣装も和モダンのお洒落な感じでとても良い。

キャスティングは、地味だが原作に合っていて実力も伴っている

たとえ作られたとしてもキャスティングに予算が割けなくなる傾向もある。

今回も主演に抜擢された二人、鈴鹿央士さんと松本穂香さんは、タレントパワーで言えばまだそんなに高くないはず。
さらに、3番手に名前のある味方良介さんや、4番手に名前のある片山友希さんも知名度は高くないはずです。

言葉を選ばず言えば、月9にしてはだいぶ地味である。

しかしこの地味さが昭和初期にピッタリ合っている気がします。
特に松本穂香さんは、原作マンガの鹿乃子そのもののよう。(原作では鹿乃子は16歳で、松本さんの実年齢は27歳ですが、そこまで違和感ないように思います。)

個人的に、メインの4人は若手ながら実力がしっかりあるので、ドラマの完成度としては高い物になるのでは?と期待しています。
視聴率では苦戦を強いられそうですが…。

内容も面白い。けど実写としての魅せ方もほしい

人気のマンガが原作で、内容も忠実なので面白かったです。

1話は時代背景や人物紹介などがあるため、謎解き要素は少なめ。
それでも、物語の中に小さな伏線がたくさんあって、「ああ!そこが繋がるのか!」と感心しました。

ただし。
マンガを忠実に再現することで、若干の違和感があります。

マンガって、過剰にコメディーチックだったり、ノリツッコミが多かったりしますよね。
それを現実の世界で再現すると、なかなかシュールに映る時があるんですよね。

特に今回で言えば、左右馬と馨のノリツッコミ。
二人のしょうもない掛け合いは、マンガで見るとよくある光景なのですが、実際に大人の男二人が言葉として発しているとシュールに映ってしまう。

また、マンガだと「心の声」が多用されますが、今作ではこれも完全再現しています。

マンガだと細かなニュアンスを人物の雰囲気だけでは表現しきれないため、「心の声」が多くなる傾向があります。
通常、ドラマや映画にするとき、この「心の声」がカットされることが多い(と思います)。

そのかわり、セリフを足したり、人物の行動を原作から変えて、その人の心情を「心の声なし」で表現しようとするのだと思われます。
結果的に原作は改変されてしまうわけです。

今回は「心の声」をそのまま活用したため、登場人物のセリフや行動も、原作のままで問題ないため、原作を忠実に再現できたのだろう思います。

個人的には、ドラマで「心の声」が多用されるのはあまり好きではないです。

というのも、「心の声」が入ると物語の進みが滞る気がするのです。
「もう分かったからはやく話進めてよ!」という気持ちになっちゃうんですよね。

例えば、男がふいに「好きだよ」と言ったことに対して、女はびっくりして「何言ってんの!」と慌てます。ちょっとドギマギしてる様子で相手の顔を横目でチラ見しちゃう女。というシーンがあったとします。
観てるこちらは(ああ、照れてるんだな)とわかりますよね?
もしそこに「心の声」で『ちょっとちょっと!急に何言ってんの?!どうしていきなり…。え?私、もしかして試されてるー??』のような心の声で、気持ちの説明が入るとどうでしょう?

(いちいち言わなくてもわかるよ)

という気持ちになりませんか?

「心の声」で気持ちを表現しようとすると、こういうノックが起こる気がするんですよね。

『謎解きレトリック』でもそれがけっこうありました。

内容として間延びしてるわけではないんだけど、「なんか展開の進みが遅くて長いな~」という気持ちになってしまったので、2話以降はどうなっていくかやや不安…。

原作をやや改変してドラマ制作側としての魅せ方にこだわるよりも、原作に忠実であることをとった今作。
それが吉と出るか凶と出るか。

いずれにしても、原作に忠実である方が、原作者の方としては嬉しいに決まっていますが。

【ドラマ】嘘解きレトリック ネタバレ!感想レビュー(2話)

好き嫌いが分かれそう

鹿乃子の「嘘がわかる」という特殊能力は、ファンタジー感を演出しているので、そういうのが好きな人には好まれると思う。
しかし、謎解きミステリーとして楽しみたい人にとっては、誰が嘘をついているか分かってしまうと、全ての謎が解けたときの感動が減少してしまうというものだ。

かくゆう私は、謎解きミステリーとして楽しみたい派。
そのため、謎解きの面白さは…正直ちょっと物足りない。

今回の話をざっとまとめると、

車で舞台鑑賞に出かけたお嬢様。
しばらくすると運転手の男が頭から血を流して戻ってくる。
運転手の男が襲われ、その隙にお嬢様が誘拐されてしまったらしい。

運転手の男は犯人から「娘は誘拐した。身代金を用意しろ!」という紙を手渡され、急いでお嬢様の家に駆け戻り、身代金を用意するよう伝えます。

しかし!実はこの誘拐事件、運転手の男がでっちあげたものだった。

つまり狂言誘拐だったのだ!

実際はお嬢様は誘拐などされておらず、お嬢様が舞台を鑑賞している間に誘拐事件をでっち上げることで、身代金を奪おうとしたのだった…!

こんな感じ。

まるで小学生の時に読んだ、学園ミステリーの小説のような内容…。
小説やマンガとして読む分には面白いのかもしれないが、ドラマとしてやろうとすると、ややチープになってしまう。

「ほんわかファンタジー」として見れば申し分ないが、本格ミステリーとして楽しむには、やっぱり物足りない気がする。

少しずつ謎解きミステリー度が上がっていくことに期待したい。

【ドラマ】噓解きレトリック 3話予告


みや

みや

新しい体験をするのが好きです。
エンタメも好きです。特にドラマは好きなので感想レビューをどんどん書いてます。
自身のコミュニケーション下手を克服すべく、日々コミュニケーションや人間関係に関する勉強をしています。
内向型のアドバイザーとしても活動中です。 

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