ビリオン×スクール 感想レビュー!1話から全話ネタバレ含む!

【脚本】我人祥太
【演出】瑠東東一郎、西岡和宏

【キャスト】山田涼介、木南晴夏、水野美紀 他

【あらすじ】
「やる気ゼロ、才能ゼロ、将来性ゼロ」ゼロ3拍子揃った生徒たちで集められた3年0組。通称”ゼロ組”。
学校内からのけ者扱いされる彼らの前に現れた、新しい担任教師・加賀美雫(かがみれい・山田涼介)。彼の正体は実は日本を代表する財閥系グループを継いだCEOだった。
とある目的のためにゼロ組の担任となった雫は、学校の常識を完全無視。秘書の芹沢一花(木南晴夏)とともに思春期の子供たちが抱える問題に立ち向かっていく。

もくじ

ビリオン×スクール 感想レビュー(1話)

「探偵学園Q」の同級生3人が、17年の時を超え共演!

1話の見どころはなんと言っても、山田涼介×神木隆之介×志田未来の「探偵学園Q」メンツが揃い踏みというところだろう。
探偵学園Qといえば、2006年に単発ドラマ、2007年に連続ドラマとして放送されたわけだが、あれから17年の時を経て3人が共演する。しかも彼らは堀越学園の同級生。そして全員5月生まれ。

ほぼそれを目当てでこのドラマを観ることにしたのだが、内容もなかなか面白い。

人気コメディードラマ「おっさんずラブ」の監督による演出

まず、この映像演出のクセと、時折挟まれる役者によるアドリブがどこか見覚えがある…。と思ったら、演出は「おっさんずラブ」「魔法のリノベ」「うちの弁護士は手がかかる」などを監督・演出した瑠東東一郎さんだった。この方が手掛けるドラマは、いつもテンポがいいので見やすいのが特徴。山田涼介さん×木南晴夏さんによって、気楽なコミカルさが存分に発揮されているので観ていて楽しい。笑

脚本は「潜入捜査官 松下洸平」を手掛けた我人祥太さん。彼は元ピン芸人らしいです。
学園ものって、クラス内カーストや、貧困家庭の問題、イジメ、援助交際や性の問題など、重々しくなりがちなので、観る気力が必要。

しかし、このビリオン×スクールはそういった重い内容になる心配がなさそう!

1話では、前半に雫がなぜいきなり学校の先生になったのかといった説明があり、後半に、ゼロ組の西谷翔(水沢林太郎)の貧困家庭問題を解決する。
その解決方法が、”超金持ち社長”先生の雫だからなせる技(翔の母親が騙されて買わされた株の株価を、雫の力で超急上昇させて儲けさせたことで、翔はお金を気にせず高校に通えるようになった)なので、「社会風刺」だとか、「同じ悩みを抱える現代の学生に向けたメッセージ性」などといったものは一切ない。

きっと2話以降もこんな感じで、およそ現実ではありえない方法で解決していくのだろうと予想する。

思春期の高校生たちの悩みはリアルだけど、その問題を解決する雫が、非現実的という部分のコミカルさのおかげで、気楽に楽しんで観られそうだ。

ビリオン×スクール 感想レビュー(2話)

2話は「イジメ」問題。
学園ドラマとしては定番であり、観ているのがツラくなるストーリーになりがちだ。

イジメ問題の重さを中和する、職員室のワチャワチャ

今回は、1話まるまる「イジメ」vs「加賀美」なので、初回ほど気軽には観られなかった。
というのも、思いのほか「イジメ」の質が胸くそ悪いのだ。

「トイレに入ってたら水ぶっかけられる」
「教科書ボロボロにされる」
「服を脱げと強要される」
「暴力」

と、まさに”THEイジメ”のオンパレード。

しかし、時折挟まれる職員室での教師たちのワチャワチャシーンや、加賀美と秘書・芹沢のコントのような掛け合いのおかげで、胸くそ悪さが一旦リセットされる。
このシリアスとコメディのうまい中和加減は、さすが瑠東東一郎さんらしい演出だ。「おっさんずラブ」「うちの弁護士は手がかかる」にも通ずるものがある。

現実離れした解決法で、”フィクション感”を強める演出

ちなみに今回の解決方法も、なかなか現実離れしていました。
イジメが行われている「ビル」を、加賀美が即日買い取り、ビルの入居者たちを一斉に即退去させる。そしてすぐさま、そのビルの解体作業。それによってイジメが一時中断され…ってムリムリムリ!笑
即日ビル買取り→入居者一斉退去→解体って、どんな荒業使っても無理だろ!笑

しかし、そのムリムリムリな解決策によって、”フィクション感”が出る。おかげでエンタメとして「イジメ」問題を消化できるからか、ドラマを観終わった後味は良い。

でもね、こんなトンデモ設定トンデモ解決法ばかりなのに、人間の本質を突いてくるセリフが多いんですよ、このドラマ!

分かりやすいセリフが、ストレートに心に刺さる

今回の話しで印象的だったセリフを抜粋!

★イジメ被害者・梅野ひめ香のセリフ

「じゃあ先生、私のために死んでくれますか?」
「いじめを告発すれば、あの人たちに逆恨みされるかもしれない。さっきみたいに学校側にも面倒がられる。親だって私がイジメを受けてるなんて言ったら、傷つくに決まってる。どうして私がこんなに抱えなくちゃいけないんですか?どうして?」
「力になるって言うなら、先生がイジメを受けていたことにしてジサツしてくださいよ。それで全部解決しますから。」
「あと1年、あとちょっと我慢すれば全部終わるんです。簡単に力になるとか言わないでください」

★倒れてくるロッカーの下敷きになりそうなり、とっさに自分の身を守る梅野。そんな梅野を寸前で助けた加賀美のセリフ

「それがお前の本心だ、梅野ひめ香。お前の本心は、お前を守りたがっているということだ。」
「お前の言う通り、俺はお前のために命をかけたりはしない。今も、この程度なら大丈夫だと判断したからにすぎん。俺は、自分が一番大事だ。お前もそうあるべきだ。」
「人には誰でも、自分を一番大事にする権利があるからだ。嫌われようが波風を立てようが、誰かに心配をかけようが、それがどうした?俺などそんなのしょっちゅうだ。」
他のすべてから逃げたとしても、決して自分からは逃げられない。
「だから、自分を傷つける自分であってはならないんだ。お前は何も悪くない。堂々と自分を守れ。

セリフが端的で分かりやすいので、ストレートに心に刺さる。
今回は、「色んな人のこと、先のことをゴチャゴチャ心配するから、イジメられてるって誰かに相談することができないんだね。うん分かるよ。でもね、まずは今の自分を心配しなさい。そして何よりも自分を一番大切にして」ってことがダイレクトに伝わってジーンときた。

流し観するつもりが、いつの間にかじっくり観てしまい、最終的に加賀美のセリフがしっかり心を掴まれましたよ。

本当に色んな意味で、初回ほど気軽に観れなかった第2話だった。

ビリオン×スクール 感想レビュー(3話)

3話は「スクールカースト問題」。
学園モノのドラマなら避けては通れない題材。

スクールカースト問題を解決できる方法として、「音楽会」「運動会」「文化祭」などのクラス全体参加型の企画をやることを提案するAI教師(安達祐実)。カースト関係なく話すきっかけになるので有効なのだそう。ま、現実はそんな甘くないけど。

映画やドラマは「現実的ではない展開」だから面白い

そこで加賀美たちは、元映画研究部で脚本・監督をしていた鈴木(柏木悠(超特急))に映画製作を依頼。彼は授業中でも脚本を描いてしまうほど、脚本作りが好き。
鈴木を中心に、西谷(水沢林太郎)、梅野(上坂樹里)らと映画製作をすることになった加賀美と芹沢。

加賀美は、鈴木の脚本をAIでスキャニングし、「現実にはありえない都合のいい展開だとAIが判断した」と、脚本を修正しようとする。それに対して芹沢が放つセリフがメタ的で秀逸!

芹沢「あーもう全然わかってない。全然わかってない!フィクションでまで、不都合な現実見せつけられてたまるかって話ですよ!」

まさにこのドラマのことじゃ!?笑
ドラマの中でまで、リアルなスクールカーストの苦々しさを描きたくない!あくまでもこれはフィクションで、現実的ではない展開が面白いんだろ!っていう。

なので、もちろん今回も超ぶっ飛んだ解決方法でしたね。笑

映画のために、出演者スタッフみんなで作った小道具が何者かによって破壊され、撮影データも消されてしまう。そのため、撮影の続行が困難に。犯人は、1軍のパシリ紺野(松田元太(Travis Japan))ではないか?とみんなが疑います。

そこで、犯人をあぶり出すため、ハリウッドのスタッフの手を借り、エキストラを金で大量に集め、大掛かりなドッキリを敢行。
大勢のニセ警官やニセ野次馬が集まる中、加賀美が容疑者の紺野にライフル銃を向けます。

その結果、実は鈴木が、「映画研究部で一緒に映画を作っていた紺野と、どうしてもまた一緒に映画が撮りたくなってしまった。どうにか撮影を中断したくて、みんなで作った小道具を壊した」と白状。

かつての部活仲間・鈴木の告白を聞いた紺野。
そんな紺野に向かって、加賀美が「お前はどうなんだ?」と問いかける。
しかし、紺野は「でも…」と言い淀む。

煮え切らない紺野や、ウジウジする鈴木に対して加賀美の放ったセリフがまた痺れた。

誰といるか、どこに所属するのか、そんなことで「そいつの価値」は変わらない

加賀美「カーストというものについて、お前らが何を気にしているのか、俺にはさっぱり理解できん。1軍だからなんだ?3軍だからどうなんだ。お前(鈴木)が好きなクレヨンしんちゃんの園児たちは、そんなこと気にするのか?奴らは一緒にいたい相手なら、鼻垂れだろうが、泣き虫だろうが、犬だろうが一緒にいるだろ。だから大人帝国に立ち向かえたんだろ。誰といるのか、どこに属するのか、そんなことでそいつの価値は変わらない。誰の目も気にせずに、いたい奴と一緒にいろ

たしかに。
小さい頃は周りの目を気にせず、いたい子と一緒に遊んでいたはず。なのに、大人になるにつれて、自分の気持ちよりも、まず周囲の目を気にして一緒にいる人を選んでしまっていた。

大人になるって強くなることばかりじゃなく、弱くなっていくこともあるよな~としみじみ。

エンディングでは、紺野が、教室に張り出された【カースト表】から自分の写真をはがし、「俺はここでいいや」と、自分の写真をゴミ箱に捨てます。
それに続いて鈴木も、「俺もここでいいや」と自分の写真をゴミ箱に捨てます。

【自分は、こんなくだらないランキング表に入るくらいなら、ダントツ最下位でいいや。お前らは勝手に順位つけあってなよ】みたいな潔さがカッコよくて泣きそうになった。

ビリオン×スクール 感想レビュー(4話)

4話は”天才”不登校児を学校に来させるという話。

加賀美と不登校生徒・竹中の知識バトル

加賀美は、「学校で学ぶことなんてない」と言ってのける竹中を、学校に来させる方法を実行していく。
その方法は、「竹中、お前は天才ではない。だから学校に来て学ぶことが山ほどある」ということを、知らしめるために、ひたすら勝負を仕掛けて勝ちまくるというもの。

しかし、加賀美の思惑とは裏腹に、竹中は「加賀美からロジハラ(※)を受けた。加賀美が学校を辞めないかぎり、登校しない」と、学校に申し出ます。
(※ロジハラとは、相手の心理状態を無視して正論を押し付けて、精神的な苦痛を与えるハラスメントのこと。)

加賀美の辞職を回避するため、西谷・梅野・紺野・鈴木は、竹中を説得しに行くことに。

なにものでもないお前らが、失敗を恐れるなんて100年早い

そこで、学級委員長の西谷が、竹中の本音の核心を突きます。

西谷「学校に来なくなったのは、落ちないための予防線だったんじゃない?」
竹中「俺は失敗できないんだよ!少しのミスも許されないんだ」

「学ぶことがない」から学校に行かないのではなく、「成績トップを維持ずるためのプレッシャーから逃げるため」に、学校に行けなくなったというのが本当のところだったわけだ。

失敗に恐れる竹中を加賀美は、自社の研究施設へ連れて行きます。
そこで竹中

加賀美「失敗は一度も許されない。どれだけ高学歴だろうが、失敗する奴など無能な負け犬にすぎない。だが、俺は大きく間違えていた。思えばこの俺だって何度も失敗してきた。だが、それで挑戦を取り上げられることは一度もなかった。”失敗しない”ということは、”成功するまで続ける”ということだ。だからそのためにも、何度失敗してもいいということだ。それができるのは組織にいるからだ。社員の失敗は社長がカバーすればいい。そして、生徒の失敗は教師が教えてやればいい」

挑戦しなければ、失敗しないけど成功もできない。
組織にいるうちはカバーしてくれる人がいるんだから、失敗を恐れずにどんどん挑戦していけ!ということだ。そして、その後に続くセリフが個人的に刺さった。

加賀美自分の未熟さを認めて学べ。そして堂々と失敗して堂々と成長しろ。なにものでもないお前らが失敗を恐れるなんて100年早い」

なにものでもない自分が失敗を恐れるなんて100年早い。そう思っていれば、どんどん挑戦していこうと思える。

(余談)探偵学園Qメンバーでわちゃわちゃ

加賀美(山田涼介)と校務員(神木隆之介)の絡みは毎話あったものの、そこに教師の光井(志田未来)が加わることはなかった。しかし、4話にして2人の中に光井も混ざり、まさに探偵学園Qのメンバーでわちゃわちゃ!

エモい。

確実に狙った演出であることは間違いないので、5話以降も3人のわちゃわちゃが見られるのかもしれないと思うと楽しみ!

ビリオン×スクール 感想レビュー(5話)

5話の問題テーマは『パパ活』よりも『承認欲求』

5話は≪パパ活女子高生問題≫という触れ込みだったものの、ふたを開けてみればパパ活は問題の中心ではなく、   ≪承認欲求≫に振り回されて苦しむ女子高生が主なテーマだったように感じる。

スクールカースト1軍の松下リナ(倉沢杏菜)は、よくできる姉と妹に挟まれ、姉妹間で劣等感を抱えている。 さらに、クラス内でも1軍にはいるものの、東堂雪美(大原梓)や城島佑(奥野壮)のせいで存在がかすんでいる。そのため、SNSを投稿してもクラスメイトからの<いいね>がつくことはなかった。

家族からもクラスメイトからも認められず、頑張ってSNSを投稿しても誰も見向きもしてくれない。

そんな折、加賀美から「お前をバズらせてやる」と提案を受ける松下。
松下が「ま、夏休みだし」と加賀美の提案に乗ったところ、(加賀美の裏手法で)バズらせることに成功。
しかし、そもそも加賀美の卑怯な手口でバズっただけなので、すぐにフォロワー数は減少。頑張って投稿すればするほどフォロワーは減っていき、アンチコメントが増えていく。徐々に松下はメンタルを病んでいってしまう。

ちなみに問題の『パパ活』の方は、松下が自ら進んでやっているわけではなかった。
アルバイト先の男子二人から頼まれて、仕方なく『パパ活恐喝』の手伝いをしていたのであった。
ここでも彼女を突き動かすのは≪承認欲求≫。
バイト先の男子でも何でもいいから、とにかく誰かに認めてもらいたい。

≪承認欲求≫が松下を振り回し追い詰めていき、やがて事件が発生する。

≪承認欲求≫は、誰に承認されたいのかが大切

バイト先の男子に再び『パパ活恐喝』の手伝いを依頼され、引き受ける松下。
しかし、ダマそうとした相手が実は反社会的勢力の人間だったことが判明。バイト先男子たちは、松下をホテルに置き去りにして逃走…というお決まりの展開に。

そこに現れたのは芹沢だった。
加賀美は父の危篤に駆け付けるため、芹沢が一人で松下の救出に駆け付けたのである。
芹沢が反社会的勢力を撃退し、ひとまずホテルから脱走。そして芹沢が松下にこう語りかける。

芹沢「誰かに認めてもらいたい、褒められたい。みんなそうだと思う。全然悪いことじゃないよ。あなたの担任なんて承認欲求の塊みたいな人だし。でもね、あなたとは少しだけ違う。あの人は≪誰に認めて欲しいか≫それだけは絶対に見失わない。それを間違わなければ、承認欲求は大きな力になる。たぶん世界を変えられるほどのね。」

その後、父を看取った加賀美がヘリで松下と芹沢の援護に駆け付ける。
加賀美が反社会的勢力を完全に撃退して終結。
加賀美の「よく頑張った、松下リナ」という言葉を聞いて、松下は泣いて膝から崩れ落ちた。
そして松下は、SNSの裏アカウントにこんな投稿をする。

『決めた。自分だけでも自分を認められるように頑張る』

≪承認欲求≫は人間なら誰しも持っているもの。しかし誰かれ構わず承認されたいと思っていると、≪承認欲求≫に振り回されて、自分をどんどん苦しめてしまいかねない。
そうならないためにも、≪誰に認められたいのか≫をきちんと決めておくことが大切なのだと教えられる話だった。

ビリオンスクール 感想レビュー(6話)

嘘を渡せば嘘で返ってくる

0組のマドンナ・大杉美波(小宮山莉渚)は、神楽高校の花井歩夢(佐藤龍我)に片思いしていた。
加賀美の手助けの甲斐あって、美波は花井とどんどん親しくなっていく。しかし、全てがハイスペックな花井に対して引け目を感じていた美波は、自分が0組にいることを隠し、裕福な家庭環境のお嬢様であると嘘をついていた。

そんな折、花井は美波のことを「お姫様みたいだから」と『姫』と呼び始める。
実はこの『姫』という呼び名、花井が同時進行で弄んでいる女子全員に名付け、呼び間違わないようにしていたのだった。

花井の人間性を知った美波は憤慨するが、そんな美波に対して加賀美がピシャリと一喝。

加賀美「責める資格があるのか?お前だって嘘だらけじゃないか
加賀美「嘘を渡せば嘘で返ってくる。これは当然の原理だ」

類は友を呼ぶ。
似たもの同士は互いに無意識にひかれあうもの。
嘘をつく人には嘘をつくが引き寄せられるわけだ。

欠点を受け入れてくれる人が一緒に居るべき人

自分を認めてあげることができない美波。
理想の自分を作り上げるため、これまでたくさんの嘘を重ねてきた彼女に対して、加賀美がこう諭します。

加賀美「たしかにお前は欠点だらけだな。それでもお前と一緒に居てくれる奴はいる。人間はAIじゃない。どいつもこいつも欠点だらけだ。だが、それを知ったうえで受け入れてくれる人間は必ず存在するお前にもだ。そしておそらく俺にも。そいつこそがお前の一緒に居るべき人間なんじゃないのか?隠したままでは一生そいつは見つけられないんだぞ。

自分のダメな部分を晒すのは恥ずかしい。
自分の本当の気持ちを話すのも勇気がいる。
嘘を重ねた方が見栄えがいい。

そうやって自分を守るために本音や欠点をひた隠しにしていると、一緒に居るべき人間は一生見つけることができない。
加賀美の言葉を肝に銘じたいと思った。

ビリオン×スクール ネタバレ!感想レビュー(7話)

就職・受験面接版「ドラゴン桜」?

夏休みが明けて進路相談…。正直だいぶ遅い気がする。
就職ならまだしも、公務員試験や進学系は普通2年生の時秋ごろ、遅くても3年生の春には決めていないと間に合わなくない?!と思ったけど、現実はこのドラマでは不要でしたね!

生徒たちの就職や大学受験時の面接力をアップするため、外部講師を派遣した加賀美。その外部講師たちの指導がどう見ても「ドラゴン桜」。完全にパロディ!(笑)
kemio先生の変な動きをしながら校内を練り歩くレッスンがマジで意味が分からなかった。(笑)

とまぁドラマの前半はほぼパロディタイムでした。

思いやり教師の爆発

生徒のためならなんだってする、思いやり教師の光井ひかる(志田未来)は、元教え子の馬嶋沙里奈(工藤遥)から「バーの経営が危なくて…」という理由で金銭をたかられても、「元教え子のためになるなら」と貯金を切り崩して渡していた。

そんな教師いるんか!ってツッコミを入れたいけど、そうでした、このドラマは現実的に考えてはいけないんでした。

光井が「もうお金を渡せない」と断ると、馬嶋は音楽室に忍び込んで吹奏楽部の部費を盗んでしまうのでした…。って、ちょっと無理がありません?!
そして部費が盗まれた時間、学校にいたのが0組の紺野(松田元太)だけだったという理由だけで、紺野は部費を盗んだ犯人だと濡れ衣を着せられてしまう。紺野は就職の面接に行かなくてはならないのに、無実が証明されない限り学校から出られない…。ってこれまたちょっと無理がないですか??

実は元教え子が部費を盗む現場を目撃していた光井。真相を確かめるためにバーに行った先で、元教え子が悪そうな仲間たちに「どうせこの金を盗んだのも0組のせいになるはず」「生徒想いのATM教師使えるわ~」などと話している姿を目撃。
光井が訪れるのと件の会話のタイミングがバッチリすぎ。(笑)

加賀美に「お前の(教え子を守りたいという)理想のために、紺野を犠牲にするのか?高すぎる理想を下ろせ。手の届く理想を求めろ」とたきつけられた光井は、馬嶋にこう伝えます。

馬嶋「嘘ついて人ダマしてお金盗んで、そんな人間信じられるわけないでしょ?なにがATMだ馬鹿にすんな!あなたが刑務所に入ろうが、道端に野垂れ死のうが私は別に構わない。そこまで面倒みる時間も筋合いもない。いつまでも甘ったれてないで、自分の人生くらい自分で何とかしなさいよ!そのクソみたいな人生、自分で何とかしなさいよ!

おそらく光井にこのセリフを言わせたいがために、「そんなのありえないでしょ」が盛りに盛り込まれてしまったのでしょう。
それにしても今回は大掛かりな解決策ではないためか、話がうまくデキすぎてるように見えてしまった…。

ビリオン×スクール ネタバレ!感想レビュー(8話)

雪美を守るため、不良になった城島

8話では、いまだ加賀美に反抗する城島佑(奥野壮)と東堂雪美(大原梓)が、なぜ不良生徒になってしまったかがメインテーマでした。

結局のところ、城島は陸上のスポーツ推薦で入学したものの怪我で陸上を続けられなくなってしまうが、親からは転校するなと言われ、学校内では「陸上できなくなったくせに」と陰口を言われる。それらが耐えられなくて死のうとしていた。

そして城島が自殺しようとしていた場所に偶然居合わせたのが雪美だった。結果的に雪美のおかげで城島は自殺をやめる。

それから雪美と城島は密かに仲良くなっていくのだが、そんな折、雪美が校長の娘であることを理由に言われのない嫌味をクラスメイトから囁かれるようになる。

城島は雪美を守るため、雪美に対してコソコソと嫌味を言う生徒を片っ端からボコボコにしていく。やがて、雪美の生活態度に対して注意した先生にも容赦なく反抗していく城島。

そうして城島と雪美は学校中から煙たがられる不良生徒になってしまった…ということだった。

大切な人を守るためにやってきたことが、逆に大切な人を苦しめていた

ヤケクソになった城島は教室にガソリン?を撒きます。
そして、「全部終わらせに来たんだよ。連帯責任ってやつ?」と言ってライターに火をつける城島。

城島を暴走を止めるため、加賀美はあえて城島からの暴力を受け続けます。
そしてこう城島に告げます。

加賀美「大した力だ。なあ、お前のこの力は何のためにあるんだ?人を殴るためか?いじめをするためなのか?頭脳でも腕力でも、力に恵まれた者は、その力を誰かのために使う義務がある。誰かを幸せにするために使う義務があるんだ

そう言って加賀美は、2枚の雪美の写真を城島に見せる。
1枚は笑顔の雪美。もう1枚はムスッとしたような怒ったような表情の雪美。

城島と出会う前と後では雪美の表情が違うことを指摘する加賀美。

加賀美「お前の力はあいつのためになっていない。お前の力はあいつを笑顔にしていないんだ。

雪美を守るため、雪美に盾突く人間を徹底的に暴力でねじ伏せてきた城島。
すべては雪美のために、雪美の笑顔のためにやってきたことだったのに、「お前の暴力は雪美を笑顔にしていない」と告げられるわけです。

もちろん暴力された人や、何の罪もないのにいじめをされてきた梅野のことを考えると、「城島かわいそうに…」という気持ちは一切湧かない。
けど、「好きな人のために」と思ってやってきたことが全部裏目に出て、結果好きな人を苦しめていたのは自分だったっていうのは、相当ショックだろうな。

自分には雪美を救うことはできないと悟った城島は、加賀美に「雪美を救ってくれ…」とお願いするのでした。

9話はついに、最後まで反抗し続ける校長の娘・東堂雪美と対峙します。
さらに、今まで伏線を散りばめられてきた加賀美の過去もついに明らかに!?

ビリオン×スクール ネタバレ!感想レビュー(9話)

加賀美の過去

小学校時代の失われていた記憶を取り戻した加賀美。

実は、学園校長の東堂(水野美紀)は、加賀美が小学校を転校した際、転校先の担任だった。

新たな学校で過ごす加賀美はある日、内巻という児童が「くそまき」と言われイジメられている場に遭遇。
その際、思ったことを全部口にする加賀美は、イジメっ子たちに対して「クソなんてみんなする。そんなこと言ったらみんな「くそまき」「くそき」「くそなか」だ」と言い放つ。

それが原因で、イジメの対象が加賀美に切り替わってしまう。

ちなみに、「くそまき」とイジメられていた内巻は、絵都学園の校務員として従事していた内巻雫(神木隆之介)である。

内巻の代わりに日々イジメられる加賀美は、監視カメラを学校に設置し、自らイジメの証拠を集め始める。

そして集めた証拠を手に、担任の東堂を屋上に呼び出し、「ここにあるイジメの証拠を教員委員会他各所に提出します」と宣言。

慌てた東堂は、「それを先生に渡して。確認させて」と加賀美ににじり寄る。
加賀美は、近寄って来る東堂から逃れようと後ずさるが、次の瞬間、加賀美は屋上から転落してしまう。

転落した後遺症で、転校したという記憶がまるまるなくなってしまった…というのが事の真相だった。

そして加賀美の父・治は、加賀美に余計なことを思い出させたくないという思いから、東堂に「イジメや転落事故の件、そもそも転校してきた事実さえ、なかったこととして闇に葬ってほしい」と伝える。

治と東堂が結託して、加賀美を都絵学園を辞めさせたがっていたのは、
東堂と顔を合わせたり、学園の校務員として働く内巻と関わることで、なくした記憶を加賀美が取り戻してしまうのではないか?と危惧したためだったわけだ。

内巻は、加賀美の記憶を戻す危険性があるため、公務員を解雇されてしまったのか…。
でも結果的に、過去の記憶を全て取り戻したうえで、東堂やかつてのイジメの件を加賀美は受け入れたわけだし、もしかしたら内巻は再雇用される可能性あるのでは?!
最終回で、内巻が加賀美に「あの時は何もできなくてごめん」と謝れたらすごくいいエンディングになるなぁ。

ビリオン×スクール ネタバレ!感想レビュー(10話)

イジメは許さなくていい

城島や雪美から改めて謝罪され、
クラスメイトたちからも、城島や雪美に逆らえなかったからとはいえ、イジメに加担していたことを謝られた梅野。

これだけ謝られたら「いいよ」と返さないわけにはいかないよね。

でも梅野の本心は違いました。
許さなくてはいけないけど、そう簡単には許せない。

イジメられた記憶をなくすことなんてできない。

もうすっかりイジメのことなんて忘れたように、文化祭の出し物の練習を楽しげにしているクラスメイトたち。
「許さなくちゃ」「過去を忘れて一緒に楽しまなくちゃ」と頭ではわかっていても、心がついていかない様子の梅野。

そしてついに我慢できなくなり、梅野はみんなの前から逃げ出してしまいます。

そんな梅野の様子を受け、加賀美は0組の生徒たちに告白する。

加賀美「俺はイジメを受けていたんだ」

教室がざわつく中、加賀美は話を続ける。

加賀美「このあいだ、俺をイジメてた奴に会いに行った。…許せなかった。何年経とうが、そいつに家族がいようが、どんな奴だろうが、許す気になど到底なれなかった。そいつの店の観葉植物を全部めちゃくちゃにしてやろうかと思った」

小学生時代に受けたイジメの件を、本人に直接謝られたものの、まったく許す気になれなかったと語る加賀美。

加賀美「20年近く経った俺でもこれだ。お前もそうなんじゃないか?」

加賀美は梅野に問いかける。

梅野「はい。謝ってくれたことは本当に…。でも、どうやっても全然」

梅野は「謝られたところで簡単には許せない」という本音を、クラスメイトに打ち明ける。

加賀美「許さなくていい。許す義務など全くない。許せない自分を責める理由などこにもない。傷ついた人間が、そんなことでまた自分を追い込むなんて馬鹿げてる。それでは、”許さなくてはならない”という新たなイジメを受けているようなものだ。努力すべきなのは、すべてを背負うべきなのは、傷つけた側の人間だ。許されないとわかっていても贖罪し続けなければならない。どうして許してくれないんだと開き直ってはならないんだ。それが人を傷つけた者の責任だ。いつか受け入れてもらえる日が来るのを待つしかない。すべて自分のしたことを忘れずに贖罪し続けた先の話しだ」

イジメ問題だけは、生徒の心情・言動が丁寧に描かれている

これは個人的な見解なんだけど、脚本家の方は過去に、梅野や加賀美と似た境遇を味わったことがあるのではないだろうか?

ドラマを観てて思ったのは、

「他人と比べてしまうからスクールカースト問題が起きる」
「失敗するのが怖くて不登校になる」
「承認欲求を満たしたくてパパ活する」
「スポーツ推薦で入ったけど怪我で挫折しグレる」

といった”学校あるある問題”と”人が抱える心理あるある”を掛け合わせているストーリーの時は、ストーリー進行をしつつ「人間心理あるある」をスパッと加賀美に語らせたいがために、生徒の心情や言動が半ば強引に描かれている印象がある。

こういう時の加賀美のセリフは、言葉は違えど中身はだいたい同じだ。

「お前の心を変えれば世界は変わる」

というようなことを生徒に突き付けている。そして見事万事解決する。

それに対して「イジメ問題」は、
イジメられた側の心情や言動が丁寧に描かれていて、ストーリーとしての展開が鈍い。

そして加賀美の言葉の中身は

「お前は何も悪くない」

というものである。
「本人の気持ちの切り替えではどうにもできないことで、そう簡単に解決できない」という、なんとも煮え切らない締め方。

(個人的には煮え切らないまま終わる方が好き。)

他の問題の扱いと質が違うことから、脚本家さんは梅野のように苦しい経験をした経験があるのではないかなぁと思いました。

みや

みや

新しい体験をするのが好きです。
エンタメも好きです。特にドラマは好きなので感想レビューをどんどん書いてます。
自身のコミュニケーション下手を克服すべく、日々コミュニケーションや人間関係に関する勉強をしています。
内向型のアドバイザーとしても活動中です。 

FOLLOW

カテゴリー:
関連記事

1 件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です