
2012年に第1期。2年後の2014年に第2期が放送。それから11年の時を経て2025年。再び吉野千明と長倉家の面々が帰ってきた!!
それぞれが順調に年を重ね、体の不調はあれど11年前と何ら変わらない日々を送る千明と長倉家の人々。小さな日々の積み重ねの愛おしさを改めて思い知る、笑えて泣けるヒューマンドラマ。
そんな『続・続・最後から二番目の恋』の第1話の感想レビューをしていきます!
もくじ
『続・続・最後から二場目の恋』第1話のあらすじ
テレビ局のドラマ制作部でヒットシリーズを手掛けるゼネラルプロデューサーの吉野千明(小泉今日子)。もうすぐ60歳を迎える彼女は、定年を控えた社員へのセミナーに参加するも、ため息をついていた。
セミナーの内容は「これからの人生=セカンドライフについて」。仕事一筋の彼女に、退職後のキャリアを想像したことなどなく、まるで取り残された気持ちになるばかり……。
一方、鎌倉市役所の観光推進課。長倉和平(中井貴一)は、定年を迎えたあとも再任用制度で「指導監」という役職で働いていた。
押し寄せる観光客のインバウンド集団や、相変わらずの残業でストレス&疲労過多な日々だが、身体は言うことを聞いてくれない……。
その日の帰路。いつもの極楽寺駅でまたもばったりと会った、自宅がお隣同士でもあるふたり。千明は、和平との他愛のない会話の中でふと感じたことがあった。
「気の合う誰かが、隣にいてくれたらいい」 心にそんな言葉が浮かび、思わず笑みをこぼすのだった。
――千明がそうした心境になった理由の一端は、さかのぼること2020年。当時、世界はコロナ禍による未曾有のパンデミックの真っ只中。
ふたりの住まう鎌倉も例外ではなく、千明はコロナに感染して孤独と恐怖に苛まれていた。壁を隔て、彼女に問いかける和平。 「早く元気になってください。治ってコロナが収束したら何したいですか?」 「長倉和平を木っ端微塵に論破する」 千明はそう応じ、笑い合うふたり。千明にとって、和平は大きな支え、かけがえのない存在であることを実感するのだった……。
やがて、2025年現在――。 朝から鎌倉の古民家カフェ「ながくら」で、店長で和平の弟(長倉家の次男)の真平(坂口憲二)、和平の亡き妻との娘・えりな(白本彩奈)が働いている。
そこに集まってくる和平や千明。さらに千明専属脚本家で、和平の妹(長倉家の次女)・万理子(内田有紀)に、専業主婦でどこか退屈な毎日を過ごす、和平の妹(長倉家の長女)・水谷典子(飯島直子)の姿もあり、変わらぬ日常を過ごしていた。
「価値観のアップデート」「コンプライアンス」など、移り変わる常識の前で立ち尽くす大人たちの前に、「生老病死」の現実がやってくる。
「自分が古いんだか、新しいんだかよくわからない」。途方に暮れる、千明と和平。そのふたりの前に、予期せぬ「出会い」が訪れようとしていた――。
引用元:Tver
『続・続・最後から二番目の恋』ネタバレ感想
その関係に名前はない。でも、ただ軽口を言い合える人がいるという幸せ
恋人とか友達とか夫婦とか家族とか。世の中にはいろんな形の関係性がある。だけど、形にこだわる必要ってあるんだろうか?と思うことがある。
吉野千明(小泉今日子)と長倉和平(中井貴一)の関係は、夫婦でもなければ恋人でもない。たぶんお互いに友達だとも思ってないだろう。
なんとなく毎日のように顔を合わせては軽口をたたき合い、大人げなくふざけ合っている。そういう人がそばにいてくれるだけで、人生は満たされるんじゃないかな。千明と和平の関係を見ているとそう思えてくる。
コロナ渦真っ只中の2020年。長倉家の面々がリモートで、お互いの近況報告しているところに千明も参加。千明はコロナに感染してしてしまったことを報告。千明のお隣さんである和平と和平の妹・万理子(内田有紀)は、体調を心配してすぐさま千明の家に上がり込む。
自分にコロナが移るかもしれないという心配なんかそっちのけで、千明のために駆けつける和平と万里子の優しさに、思わず心を打たれた。
だけど千明は、「移したくないから!」と言って、駆け付けた2人を部屋に入れず、そのまま1人眠る。夜になって千明が目を覚ますと、部屋の外から和平が「目覚めましたか?」と声をかけてくる。
和平は千明が眠っている間ずっとそこにいたのだ。千明はびっくりして「迷惑おかけしてすみません」と謝る。それに「迷惑とか言ったら怒りますよ」と返す和平。
きっと和平にしてみれば、病気をしている千明を心配して見守ることは当然のことなんだろう。和平の優しさがじわ~と心に染みて、思わず頬が緩んじゃう。
「どんな形であれ、ずっと一緒にいるんでしょ。私とあなたは」と言う和平。その言葉に、「キープしといて良かった~」と返す千明。絶対照れ隠し。そこからいつものように2人とも軽口を叩き合って。ふざけあって。笑い合って。
ふと千明は泣いてしまう。
たぶん千明が泣いてしまったのは、こうやって和平と軽口を叩き合う日常が、いかに幸せだったのかってことに気づいたからじゃないかな。そして、「怖いよ」と言ったのは、こんな幸せな日常がなくなってほしくない。なくなってしまったらどうしよう。って思ったからじゃないかな。
「目が覚めるまで私ここにいますから」
さらっと男前なことを言う和平。なんて優しいの。なんていい奴なの。ああ一家に1人和平がほしい。ふざけたこと言いながら、ときおり優しをはさみこんでほしい。そうすれば、世の中の寂しい人たちはたぶん救われるよ。
変わらない千明と長倉家の面々に心がほっこり
人は何歳になっても基本的な中身はさほど変わらないと思う。
20歳になったときは20歳ってもっと大人だと思ってたし、30歳になったときは30歳ってもっと大人だと思ってた。
ずっと17歳くらいから成長してない気がするのは、たぶん僕だけじゃないはず。
還暦までのカウントダウンができるようにと、和平が千明にプレゼントした日めくりカレンダー。このカレンダーが良いか悪い論争が朝から勃発。
ひたすら皮肉を言い合う千明と和平。そこに和平の弟・真平(坂口憲二)や、和平の娘・えりな(白本彩奈)、それから万理子。それともう1人の和平の妹・水谷典子(飯島直子)も加わる。大の大人たちが時間も忘れて、「ああでもない」「こうでもない」と言い合う。
11年の時が経っても、相変わらず朝から騒騒しい千明と長倉家の面々。
相変わらずなのは朝の騒騒しさだけじゃない。
もう何年も週5で電車通勤しているのに、いまだに毎回交通系ICカードを見失う千明も。そんな千明をからかう和平も。49歳になっても、幼い子供みたいにキラキラした目で、毎日楽しそうな万理子も。旦那や息子の愚痴を言いながら基本グータラ日々を過ごす典子も。いつも明るくハキハキしてて大型犬みたいな真平も。
みんな見た目は年相応に老けた。だけど、中身は全然変わってない。良いところも悪いところも全部ひっくるめて変わってないことが、なんだか嬉しかった。
つられて笑ってしまう。それほど自然な演技に感服
60分の間にいったい何回笑っただろう。確実に10回以上は笑ってる。
とくに千明と和平の会話はすごい。2人の相性の良さは、それはもちろんわかっていた。だけど今回はもう次元が違う。
印象的だったのは、お互いが別々の人のお葬式に行った帰り、モヤる気持ちを解消するために2人で飲みに行ったときのこと。
亡くなった役所の同僚が、和平と旅行していたことにして実は不倫旅行をしていた。同僚の奥さんから、「いつも主人と仲良くしていただいてありがとうございました」と告げられた和平は、咄嗟に「それ、私じゃありません」と言ってしまった。それが正しかったのか。正解は何だったのかと悩む和平。
千明は千明で葬儀の席で、亡くなった上司が、飲みの席でことあるごとに「吉野とは色々あったんだよ~」と同僚たちに触れ回っていたことを知ってしまった。性接待で昇進したと、同僚たちに勘違いされていたことが不愉快だったけど、なんとなく上司の気持ちを察して「そんあわけあるか!」と言えなかった。間違いを訂正すべきだったのかと悩む千明。
答えのない問。その答えを探す2人。でも全然深刻じゃない。なんならつられて笑ってしまうような、そのぐらい2人は軽やかに明るく話してる。
あまりにも自然すぎて演技なんて信じられない。台詞があるなんて思えない。まるで今、言葉を紡ぎ出しているかのよう。だからかな?自分もその会話に参加しているかのような錯覚を覚えてしまったのは。とんでもない没入感。つい自分もどう答えるのが正解だったのかな?と考えてしまった。
千明と和平の名前のつけられない関係いいな。羨ましい。
そんな2人にも新たな出会いの予感。千明は渋イケ医師と。和平は鎌倉に帰ってきた未亡人と。今後の恋の展開も楽しみ。