【脚本】
バカリズム
【演出】
水野格 ほか
【プロデューサー】
小野玲奈 ほか
【キャスト】
市川実日子、鈴木杏、平岩紙、角田晃広 ほか
脚本は、芸人のバカリズムが手掛けます。
バカリズム脚本といえば、2023年1月期に放送され話題を集めた『ブラシュアップライフ』。
今回はその『ブラシュアップライフ』チームが再集結するということで話題を集めています!
今回も、原作なしのバカリズムによる完全オリジナル作品。
ザテレビジョンドラマアカデミー賞をはじめ、数々のドラマ賞を総なめした『ブラシュアップライフ』に続く傑作ドラマとなるのでしょうか?
この記事では、
1月期最注目のドラマ『ホットスポット』の各話あらすじと、感想レビューを書いていきます!
もくじ
ホットスポット あらすじ&感想レビュー(予告)
富士山麓のとある町には、 地球外生命体が潜んでいた!
ビジネスホテルで働くシングルマザー遠藤清美(市川実日子)41歳。
ある日、彼女はひょんなことから宇宙人と遭遇し…!?
小さな田舎町で不思議な出来事が 起こったり起こらなかったりする、 バカリズム脚本 地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー!
引用元:Tver
バカリズムワールド炸裂の予感!
バカリズム脚本の醍醐味と言えば「雑談」。
視聴者がつい画面の向こうで「あるある~!」となる話のネタを入れ込むのがお得意です。
前作『ブラシュアップライフ』では、
平成初期にやっていたテレビドラマやバラエティー番組をセリフに盛り込んだり、
30代が聴いたら「懐かしい~!青春~!」と思わず反応してしまう楽曲が、ドラマ内で何度も流れていましたね。
今作も予告映像を見る限り、「雑談」は健在の模様。
仲良し女子3人組のゆる~いトークが楽しみです♪
そして、そんな”あるある”な「日常」の中に「非日常」のスパイスを潜り込ませる天才がバカリズム!
今作ではなんと宇宙人が人間界に紛れ込んでいて…??
宇宙人と人間がどんなふうに交わっていくのでしょうか。
キャストも最高!
主演は市川実日子さん。
名脇役としていくつものドラマや映画に出演する女優さんです。
最近ではフジテレビのショートドラマ『月とケーキ』や、BS松竹東急の『À Table!〜ノスタルジックな休日〜』で主演を務めていましたが、ここにきてキー局ゴールデン帯ドラマの主演に大抜擢!
実力派女優によるコミカルな演技に期待したいですね。
脇を固めるキャストには、夏帆さん、木南晴夏さん、野呂佳代さん、田中直樹さんといった『ブラシュアップライフ』に出演していた面々が勢ぞろい!
さらに、2024年1月3日に「新春ドラマスペシャル」として日本テレビ系で放送されたバカリズム脚本によるドラマ作品『侵入者たちの晩餐』に出演していた、菊地凛子さん、平岩紙さん、角田晃広さん、池松壮亮さんの出演も決まっています!
そして今回、バカリズム脚本作品に初挑戦するのが鈴木杏さん。
はたしてどんなキャラクターを演じてくれるのでしょうか?
ホットスポット あらすじ&ネタバレ感想レビュー(1話)
1話 あらすじ
地元のビジネスホテルで働く遠藤清美(市川実日子)41歳。
支配人の奥田(田中直樹)の元、同僚の由美(夏帆)、えり(坂井真紀)、 高橋(角田晃広)らと平凡な日々を過ごしていた。
そんなある日、清美は交通事故に遭いそうになり…間一髪のところで宇宙人に命を救われる。
絶対に他言無用の“その秘密”を、 我慢できずに幼馴染の葉月(鈴木杏)と美波(平岩紙)に話してしまったことから、 平凡だった清美の日常が変わり始める…!
引用元:Tver
1話 感想レビュー
想像通りの面白い脚本。
こんなに「あるある」を巧みに組み込んだ、コントのような、でもリアルな会話劇を描けるのはバカリズムしかいません!
主演・市川実日子さんの演技が光る
長年、バイプレイヤーとして映画やドラマを支えてきた市川実日子さんを主役に抜擢して大正解!
表情や間の取り方、セリフの言い方で、清美の心情を見事に表現していました。
たとえば。
フロントでチェックアウト業務をしている時のこと。
同僚の由美からふいに、「実はこの前お客さんからルーチェン(ルームチェンジ)を頼まれて~」という話を切り出された清美。
ところが、ぽつぽつフロントに来るお客さんの対応するたび、ちょいちょい弓の話は中断されます。
なかなか先に進まなくて、じれったい思いをする清美。
”じれったい”という気持ちや、”話の先が気になるけど仕事も大事だよね”という気持ち。
そういった表現を仕草さ、表情、セリフの言い方で巧みに表現されていた市川さん。さすがです。
さらに特筆すべきシーンは、
清美が同僚の高橋から「実は俺、宇宙人なのね」と打ち明けられるシーン。
休憩室にて。
高橋「実は俺、宇宙人なのね」
(間)
清美「ん?」
高橋「いやあの、宇宙人なのよ。だから、ちょっと内緒にしてもらいたいんだよね」
(間)
清美「はぁ(笑顔になり、)ふっ。わかりました、内緒にします」
(にこやかにお辞儀をして、その場から去ろうとする清美)
高橋「ちょっとまって!俺なんか今、ヤバい人みたいになってるよね?」
(間)
清美「(笑顔で、)そんなことはないですよ」
高橋「いやいや、やばいこと言い出したと思ってすぐに切り上げたよね?」
清美「あはっ、いえ」
(笑顔で手を横に振り、その場から去ろうとする清美)
バカリズムの描くセリフ。
市川さんの表情や間の取り方やセリフの言い方。
二人の巧みなテクニックによって、思わずクスっと笑ってしまった。
これぞバカリズムドラマの真骨頂。
伏線
バカリズム脚本のもう一つの面白さと言えば、細かく張り巡らされた「伏線」。
1話の伏線は、
・温泉に入る親子
・鼻水をすする子
・朝、ホテルのアメニティである「温泉化粧水」を顔に塗る清美の娘・若葉
・山梨県内にある小中学校の校庭に突如描かれた、まるで「ナスカの地上絵」のような謎の絵に関する話
・清掃スタッフ中本のSNSをこっそりフォローしている清美
・ホテルの常連客
・「ホテルの備品を持ち出す客がいる」という話
・高橋は「宇宙人の父」と「人間の母」から生まれた宇宙人のハーフ
・少なくとも宇宙人ハーフの高橋は、「能力」を使うと副反応が出る
1話できちんと解消された伏線は3つ。
まず、ホテルの備品を持ち出していたのは清掃スタッフの中本だったこと。
犯行の理由について中本は「私シングルマザーなんです。生活が大変で」と清美に語っていた。
しかし清美は中本がシングルマザーではないことを知っていた。
なぜなら、清美は中本のSNSをこっそりフォローしていて、中本が独身であることを知っていたから。
2つ目は、「温泉」(もしかしたら富士山の麓にある温泉)が、宇宙人(もしくは宇宙人ハーフ)の副反応などを癒す効果があるということ。
「能力」を使ったことによる副反応で、鼻水が止まらなくなってしまった高橋だったが、温泉に浸かった途端に症状が改善。鼻水は止まった。
3つ目は、冒頭に登場した親子が宇宙人であるということ。
温泉にやって来た父親と息子。息子の方は鼻をすすっている。
ところが、温泉に浸かった途端、息子の鼻水は収まった。
このシーンから、親子が宇宙人であることがわかる。
この先に予想される伏線回収
①清美の娘・若葉が、実は宇宙人とのハーフ(もしくはクウォーター)である可能性がある。
★冒頭シーン。若葉が学校に出かける前、ホテルのアメニティ「温泉化粧水」を顔に塗るシーンがわざわざ入る。
(※もしかしたら単純に、「客室で使われなかったアメニティを持って帰っていいのは、地味に家計的に助かる」という伏線回収なだけかもしれないが)
★高橋が「宇宙人」と「人間」のハーフであるということは、宇宙人と人間の間で子どもを作ることができることが明らかになった
★知らず知らずのうちに宇宙人や宇宙人ハーフと結婚している可能性があるのでは?
清美も、相手が宇宙人と知らずに若葉を妊娠した可能性も考えられる。
②3か月前からホテルに宿泊している村上が、ナスカの地上絵を描いてる可能性がある。
★ここ最近、次々と県内の学校の校庭に「ナスカの地上絵」のようなものが描かれているという事件と、村上が宿泊している期間が重なるのでは?(あと、村上も猫背な気がする)
★清美は、昔も同様の事件(その時は数字が描かれていた)があったと話している。
ただし、清美自身はリアルタイムではなく聞きかじり程度しか知らないらしい。
清美がリアルタイムではないってことは40年前くらいの話?
70歳前後であろう村上なら、その時代でもすでに成人してるはずで、過去の事件も村上が起こしたと考えられなくもない?
張り巡らされる伏線に、面白い会話劇。
2話以降も目が離せません!
ホットスポット あらすじ&感想レビュー(2話)
2話 あらすじ
遠藤清美(市川実日子)は職場の同僚の高橋(角田晃広)が宇宙人ということを幼馴染の葉月(鈴木杏)と美波(平岩紙)に話してしまい…。
ある日、清美たちはランチをしながら互いの近況報告。美波は最近テレビの街頭インタビューを受けたらしい。
小学校で教師をしている葉月は、今後の教師生命が危ぶまれる面倒なトラブルに巻き込まれていると言う。
清美は葉月のピンチを解決するため、宇宙人・高橋の力を借りるお願いをするが…。
引用元;Tver
2話 感想レビュー
富士山は静岡と山梨どっちのものか論争
よくある都道府県問題「富士山は静岡のものか山梨のものか」。
永遠と繰り返される議論ではあるが、実は地元住民たちにとっては「どっちでもいい」ことらしい。
わかる。
埼玉県出身の身から言わせてもらえば、「埼玉と千葉はどっちが上だと思いますか?」とか、「埼玉と神奈川はどっちの方が上ですか?」という議論があるけど、総じて「どっちが上でもいい」という意見だし。
で、清美の幼馴染・美波はこの「富士山は静岡のものか山梨のものか」という街頭インタビューを受けた。
そこで美波は、どっちでもいいと思いつつも、「絶対山梨のものでしょぉ」と答えたのだそうだ。
清美はすかさず「絶対そこまで思ってないでしょ」とツッコむ。
それに対して美波は「それじゃあ使われないじゃん」と返答。
これもわかる。街頭インタビューとか受けたことないけど。
普段はまったく気にしてないことでも、いざテレビのインタビューで「どう思いますか?」と質問されたら、気を利かせて「そりゃあ千葉より断然埼玉の方が上です!」と答えると思う。
なんとなく制作側の意図を汲んじゃう気がする。どうせならテレビに映りたいし。
しかもこの街頭インタビュー、清美の同僚・由美も受けていて、美波同様、内心はどっちでもいいと思いながらも制作の意図を汲んで「山梨のものです」と答えたらしい。
みんな考えることは同じだ。
そしていざ街頭インタビューが放送される日。
清美は娘の若葉と番組を観ていると、「富士山は山梨のものか静岡のものか」という議題のインタビューが流れた。
がしかし。
美波も由美もテレビに映ることはなかった。
しかもこともあろうに、テレビで取り上げていた回答はまさかの「ぶっちゃけどっちでもいい」だった。
ああ、人生とはそんなものだ。
「こう言えばコメントをテレビで使われる」とか、「こう呟けばSNSでバズる」とか、余計な気をまわし過ぎた結果何にもならないことばかりだ。
相手側の気持ちを想像して本音を隠すくらいなら、率直な意見を言った方が案外いいのかもしれない。
人生の教訓をほのかに教えてくれていたような気がする。
さすが芸人・角田さんのツッコミ力
密かに感心していることがある。
それは宇宙人・高橋演じる角田さんのツッコミだ。
清美から「体育館の天井に挟まってしまったバレーボールを取ってほしい」という、しょうもないお願いをされ、「嫌だよ」と素直に答える高橋。
そんな高橋に対して清美は、「体育館の天井にバレーボールが挟まっていることがどれほど幼馴染・葉月の心を苦しめることになるか」を真面目に訴えて食い下がる。
なんとか高橋に「イエス」と言わせたい清美は話をどんどん飛躍させていき、高橋は都度「業者に頼めばいいじゃない」「いやいやいや、そうはならないでしょ」「上見なきゃいいだけでしょ」とツッコみを挟む。
まるでコントのようなボケとツッコミだ。
そして役者経験があるからこそ、声を大にして言いたい。ボケよりもツッコミの方がはるかに難しい!!
セリフがツッコミばかりだと一本調子になりやすい。
なのでツッコミセリフばかりの役をこなすのは、俳優さんといえど相当難易度が高いと思うのだ。
ツッコミが上手な俳優さんといえば思い浮かべるのは誰だろう。大泉洋さん、ムロツヨシさん、佐藤二朗さん…といったところだろうか。
角田さんはそこに入ってくるくらい上手だと思う。
とくに清美たち幼馴染3人と高橋の掛け合いシーンは最高。
普通ボケとツッコミのラリーが延々と繰り返されれば、観ている側もちょっとウンザリしてくる。
でも角田さんのツッコミが一本調子じゃないからずっと面白い。
「ナスカの地上絵」的な絵の犯人は宿泊客・村上ではなかった
2話で解消された伏線は、校庭に描かれた「ナスカの地上絵」的な絵を描いた犯人が判明したこと。
僕は清美の勤めるホテルに長期宿泊する、小日向文世さん演じる村上が怪しいと睨んでいたのだが全然違った。
犯人は役名のない単なるモブの若者だった。
なんだよ!
2話の冒頭にも謎の人物の足元カットがあったのに~。伏線かと思ったのに~。こんな考察崩しがあるのか~と、すっかり拍子抜けしちゃいました。
犯人たちのセリフの「なんか意味ありげなものにしてみた。勝手に考察とかしやすいようにね。実際まんまと宇宙人の仕業って騒いでる奴いるしね。思うつぼだね」にグサグサ。
まさに思うつぼでしたよ。まんまと宇宙人・村上(仮)が犯人かと考察しちゃいましたよ。
そして2話のラスト、『富士山は静岡のものか山梨のものか論争』のオチとして<制作側の意図を汲んでも、思い通りの未来にはならないよ>というメッセージを受け取ったとき、さらに打ちのめされました。
「きっとこの人が犯人じゃないかな~」なんて制作側の意図を詮索して考察してみたところで、そう簡単に予想通りの展開になんてならないよと、バカリズムさんにもてあそばれた感覚。
してやられたな~。
※追記
Yahoo!ニュースで衝撃の伏線が発覚!!
(記事抜粋)
…すると同じタイミングで、校庭に謎の絵を描く犯人がやってきて、校庭に謎文字を書き出す。
これを見た高橋は、落としたバレーボールを次々犯人にぶつけて倒し、犯人逮捕に尽力。無事に警察に引き渡した。
実はこの犯人、1話で清美がファミレスで高橋と葉月、美波を引き合わせた時に来店していた4人組。高橋は席を外して清美たちの会話を遠くから聞くという宇宙人技を披露するシーンがあるも、そこで聞き耳をたてたときに、男性の声で「地上絵」とささやいているのも高橋の耳に聞こえていた…。
引用元:Yahoo!ニュース(https://news.yahoo.co.jp/articles/7e3f755bb5ee1bbcb5d42c89d651c505e62dfe1a)
えー?!
地上絵の犯人、ただのモブ男たちと思いきや、実は1話のファミレスシーンにいただと?!!
ということでさっそく1話を見返してみると…いました!!犯人たち!
31分20秒頃に、ぞろぞろとファミレスに入店してきました!
しかもそのあと、高橋が宇宙人の能力披露のため、聴力を高めている時にしっかり「地上絵」という声も聞こえていました…!!
ぜんっぜん気づかなかった。
というか、さすがに言われなきゃとわからないよ!(笑)
なんにしても、「どうせ役名付きのキャストが犯人だろう」という見方をしていてはいけない。
なにが伏線になってもおかしくないという目で見るとより面白くなるかもしれません。
1話でスルーした気になることたち
ということで、ファミレスのシーンのために初回をもう一度ちゃんと見て、気になったことがあったのでピックアップ!!
・1話冒頭に登場する親子の父親と、長期宿泊客・村上と、宇宙人・高橋の3人とも似たような眼鏡をかけていること。
・清美、美波、葉月の3人とも映画『E.T』を知らないということ。
宇宙人は同じ眼鏡をかけている説。
そして清美たちの住む地域の人間は、映画『E.T』の記憶を抹消されている説。
と、これらの説が考えられます。
あと、より核心に近づいているのが、清美の娘・若葉が宇宙人説。
高橋の話では、
「うちのホテルの温泉に含まれてる成分って特殊で、その成分がうちの星の人間に有益な成分で、体を治す効力があんだよね。…逆に定期的に浸かんないと免疫力が落ちてくるんだよね」とのこと。
若葉は、朝も夜も清美の勤めるホテルの温泉成分が入った美容液を塗っている。
普通中学生くらいの子がそんなに美容液、朝も晩も塗るだろうか?
温泉成分を摂取しないと免疫が落ちるから塗らないといけないのではないか?
まぁ深読みしたところで、その予想が当たることは少ないのかもしれませんがね…。(笑)